今年の春は、桜等の花見を兼ねて計画していたグループでのイベントが全てキャンセルとなった。今年は暖かく、桜の開花が早い。それでは、と、自ら桜を求めて出かけることにした。
3月22日の日曜日は大変暖かく、小金井公園の桜はほぼ満開。ここは桜の名所で毎年、屋台が並び、ビニールシートが敷かれ、花見客であふれているのだが、この日は、ビニールシートが散見され、散策する花見客で溢れている。
桜の下での宴席に入らないのなら、花は人のいないところで静かに観たいものだ、そう思いめぼしい、ほかの桜の奇麗なところへ行ってみると、やはり散策する花見客で溢れている。そうか、昔から、花見は多くの人と宴会などを楽しみ、桜の花は鑑賞するよりも酒の肴になってきたのだ。「酒なくてなにがこの世の桜かな」なのだ。そして、酒がなくとも皆と一緒にがやがやと花見を楽しむものなのだな。名所の桜を一人静かに楽しむなど、宴会自粛の今年でも見当違いか。
だが僕の知る「桜の隠れ名所」がまだある。自宅近くの、某大学内にあるソメイヨシノの並木。後ほど訪れると、満開の桜が迎えてくれた。大学構内なので人はほとんどいない、と踏んでいたが、男女二人の学生が現れ小さな宴会を始めた。それをほほえましくお思いスケッチした。
2020年3月23日 岩下賢治