ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

コロナ禍・保健所の役割

2020年05月27日 | 日記

アヤメ

 このところずっとコロナ問題にかかずらわってきたが、私が納得できる人に久方ぶりに出会ったので紹介します。
 関西大学の高鳥毛敏雄教授の見解である。今回不評を買った保健所について語りながら、日本の公衆衛生の由来、役割、その成果と危機について語っています。
 以下は、「47NEWS」というインターネットサイトに配信された、共同通信の武田記者の記事。一部を転記します。

 「日本の公衆衛生は、欧米とは異なる経緯でつくられた保健所と保健師に支えられています。その保健所が辛うじて生き残っていたことが幸いでした。保健所は、結核に苦しんだ長い歴史があったことでつくられたものです。2018年でも新規の結核患者は1万6789人、死亡者は2303人の状況です。日本のコロナ対策は、欧米では聞かないクラスター対策を行い流行拡大の阻止をしていますが、それは全国に保健所と保健師が残されていたからこそ成り立っています。そうでなければ欧米諸国と同じ展開となった可能性があります。」

 「日本は遅れて産業化を進めたために、近代国家の建設時期と結核の流行拡大が密接な関係にありました。死亡統計でみると1909~50年の40年間、連続して死亡者数が10万人を超える異常事態でした。結核の罹患者は青年層であり、国の重要な労働力と兵力の生命を失うことにつながります。その結果、国家、社会をあげて取り組むことが必要となりました。そうして設けられたのが保健所と厚生省(当時)だったのです。」

 「病院の多くは一般外来診療を行っていますが、欧米の病院は一般外来を受けつけていません。また病院の個室化が遅れている上、急性期病院での感染症の流行監視・制御する部門の設置が一部にとどまっています。感染症の患者が直接病院に受診した場合、院内感染が起こりやすい状況にあるのです。
 そのため、感染症が流行した時は、保健所が間に入り、〝門番〟として病院の機能を守ることが大切とされています。それが「発熱相談センター」とか「帰国者・接触者相談センター」というものが設けられた理由です。しかし、市中の感染者が増えていくと保健所だけではくい止められなくなり、院内感染が多発することになります。実際に新型コロナ感染症の流行拡大した3月中旬から、院内感染事例が多発しています。」
 
 私は感染症対策としては、癌研と同じような専門機関・病院を作るべきと、以前、書きましたが、上記の内容はそれを裏打ちするような内容です。保健所の役割をはっきりさせた明快な見解だと思います。
 知らないことを棚に上げ、いろいろ文句をいう輩がいますが、この先生の話をよく聞くべきです。そしてこのインタビューをした共同通信の記者はなぜ全国紙及び地方紙に配信しなかったのか、不思議に思う。新聞社から無視されたのかな。【彬】

 

コメント
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