近くの路地で咲き始めたバラ
特措法の延期に際し、肝心の専門家委員会から、政府の対策や方針に齟齬が出始めた。我々は経済については専門家ではないから、医学以外のことはアドアバイスできないとのこと。外出の自粛など収束への対策が社会経済問題に跳ね返っていることに、逃げ腰になってきたのである。
今回の特措法はもともと思いつき的な側面があった。従来のインフルエンザ対策法の延長上に国家が強権を発動(発動をわざと発出としている)できる法改正したにすぎないのだ。これは野党や多くのマスコミ識者が、すみやかに国家として強権を行使すべきと急き立てた結果でもあった。急な法改正だったから、医療面と社会面の調整など、まったく視野になかったから当然である。
ところで議会はいったい何をしているのか。
生活困窮者の保障をせよ、第二次の補正予算を組め、医療関係者の支援をせよ、などと思いつきの空疎な無理難題を喚いているにすぎない。単に金を出せと言っている圧力団体のようだ。その原資はどこから持ってくるのか、国には資金が無限にあるというのか、まったく他人事である。
結果はともかく場当たりはよくない。とくに国家の強権発動に関してはなおさらである。今回の発出は欧米のような罰則を伴わない緩やかな権限だという。緩やかであろうが、罰則を伴うらろうが、この特措法は憲法に触れる疑念がもたれる法案なのである。こうした際どい問題をよく把握し、禍根を残さないようにするのが、議会の役目である。そして今回執行されている具体的な施策について、議会として定見を持ち、アドバイスを送るべきなのが議会である。
具体的には議会内に党派を超えた特別委員会を設置し、内閣の専門家委員会とは別個に、各界の意見を集約する機関を設けるべきだと思う。二重権力状況にしたいわけではなく、施策の妥当性を検証すべく議会としての機関を持つべきだと思うのである。いわば対策本部をモニターするような機能である。
議会にこうした動きがまったくないのが、本当に不満である。
戦後民主主義の本義はどこにいってしまったのか。そしてそのことを明言すべき識者はどこにいってしまったのか。【彬】