パンジー
統一地方選が始まった。選挙戦が騒々しいのだが、一方では候補者の定数割れが各地で発生しているという。議員報酬が少ないなどを理由にしている人もいるが、本当のところはなんなんだろう。地域の行政は報酬の多寡の問題ではないようにも思うのだが。無報酬でも地域に貢献する篤志家はいないわけではあるまい。
地方から上京した私の実感からすると、行政の課題が、焦点ボケしているからとしか思えない。
都内で配布される候補者のパンフレットを見ると、どの候補も中身が画一的である。皆、福祉オンリーである。子供支援、高齢者支援、健康増進、医療の充実など。
昔の地方選では、もっと地域に密着した、道路の整備、改修が中心だった。だから地域のボス達が率先し候補者に名乗り出たものだ。大袈裟に言えば、道路は、地域の死活に関わる課題だったのである。
今、都心の課題は、高齢者福祉や子育て支援より、私には人口の流動だと思う。巨大なビルができ、マンションが林立し、若手の労働者がどんどん流入する。人口が増える。東京だと世田谷区の場合が顕著で、詳しいデータを示すことはできないが、特に乳幼児の増加が明らかである。少子化どころではない。
以前、少子化現象で、学校の統廃合が各地で進んだ。今は逆に児童数が増え、保育園やら、学級が満杯。急遽、学級を増やす地域が続発している。新宿の一地域では、1学校29学級あるところもあるそうだ。低学年の方が多いから、1年生は6クラスになる場合もある。マンモス化し、校舎はもとより、教師から運動場、各種施設が追いつかない。
この問題をどうするか。戦後の団塊世代だとプレハブで授業を受けたものだ。そんな時代であってはならない。これこそ地域行政の先端的課題だと思う。逆に団地などは人口が急減し、若者たちがいなくなってしまう地域もある。都市での人口の流出入は、学校など公共施設の在り方を左右する。こうした課題解決の糸口を見つける選挙でありたいものだ。【彬】