ハイビスカス
自由民主党の総裁選挙が盛り上がっている。当然だろう。今まで派閥勢力の合従連衡で決着がついていたものが、純粋に選挙で決することになったのだから。今までのボス政治から能力のある若手の争いとなっているのだ。
でも、同じ党員なのだから、若手とベテランで政策が変わるはずがない。でも報道されているところだと、大分、違うようだ。そこで自民党の政治綱領を調べてみる。共産党ならいざ知らず、そんなものがあるのか、と思う人がいるかもしれないが、政党である限り、綱領は厳としてある。
自由民主党の誕生は、1955年に日本の保守政党であった自由党と日本民主党(現在の民主党ではない)が合同、いわゆる保守合同によって、自由民主党が結成されたことから始まる。
以来、いくつかの変遷をへて、現在の綱領=平成17年が制定されている。
この綱領は主に以下の10項目を定めている。
1 新しい憲法の制定
2 国際感覚豊かな高い志を求める
3 小さな政府を求める
4 持続可能な社会保障制度の確立
5 世界一安全・安心な社会を求める
6 食糧・エネルギーの安定的確保
7 国際競争力の確保
8 循環型社会の構築
9 男女が共に支え合う社会
10 生きがいと潤いのある社会
この中で自民党的とも言える綱領は、憲法改正と、小さな政府、持続的社会保障、エネルギー確保の4つと言っていいだろう。これが現在の自民党、あるいは保守政党の基本的な政策・方針と言っていい。
ところで、この4点、現政権ではうまく機能していない。関連する多くの政策は先送りである。理由はいくつかあるが、単なる保守的な視点からでは、解決不能な難題となっているからだ。その結果、行政組織は肥大化して、こども庁などという不思議な機構を発足させる。小さな政府の理念とは正反対である。
保守の理想・理念はなぜ実現できないのか。
私が思うに、上記10項目の理念は、北欧風な福祉国家論、それに欧米風な自由主義をミックスしたものだが、それぞれが限界状況を呈しているからに他ならない。原因は、インターネットに代表される言論や情報の錯綜、それに偽情報が絡む。そんなコミュニケーション状況下では、政治的経済的自由を根本とする自由社会は機能しがたい。それに負担と受給のバランスが少子高齢化で崩れ、赤字が累積する状況。
自民党は、自ら掲げた政策綱領が危機に瀕しているのだ。議員たち、投票権のある党員の人たち、願わくば、そのことを理解しての選挙であったほしい。【彬】
*自民党の綱領は紹介した平成17年版を補完する形で22年版が制定されているが、基本的な思想は同じである。
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