中国の全人代が終了しました。
印象に残ったことのひとつに、王毅外相、李克強首相の相次ぐ日本非難があります。中国経済減速の対策として、外資の投資回復策があり、対日姿勢が軟化し始めていたと認識していたので、反転した姿勢に小さな驚きを感じました。南シナ海での人口島の暴挙に対する日米合同での反発への抵抗姿勢表明と理解しています。
ところが、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森氏は、ジョージ・ワシントン大学のロバート・サター教授による、中国のアジア政策の破綻や、対日姿勢の軟化を紹介しておられます。3月19日付けの記事ですので、王毅外相、李克強首相の相次ぐ日本非難後の記事です。事前に準備されていた記事なので両氏の会見内容を反映できなかったのか、両氏の日本けん制は、全人代での国内向けパフォーマンスで一時的なもので、基調の対日軟化など、アジア政策の破綻とその修復への方向転換は変わらないからなのかは計りかねます。
現実は後者であろうと考えますが、いかがでしょう。
南シナ海の人口島建設の暴挙に対し、軍の対抗提言を抑え、対話で解決させようとしたオバマ大統領が、習近平との会談での習近平の強気の反抗姿勢により、「航行の自由作戦」実施を許可し、中国非難の姿勢に変わったことは、既に諸兄がご承知のことです。日米が、対中けん制姿勢を強めたきっかけでもありますね。中国側から観れば、習近平の外交の失政と評価されることですね。
台湾の民進党への政権交代も、台湾統合を目指し続けている中国共産党にとっては、大きな後退結果で、習近平政権のマイナス評価になります。
これらの失政評価に加えて、習近平の「中華の夢」追及政策の強硬な、「韜光養晦(とうこうようかい)」をかなぐり捨てた覇権拡大政策への、アジア諸国のネガティブな反応、「新シルクロード構想」のつまづき、ASEAN各国との貿易の伸び悩みなどを、習近平のアジア政策が壁にぶつかった例として、記事は指摘しています。
その修復措置として採られるのは以下の四つだと。
・日本との距離を縮める。
・ベトナムとの緊張を緩める。
・北朝鮮との緊張の緩和を試みる。
・南シナ海での米国やその他の紛争当事国との緊張緩和を試みる。
減速する中国経済。南シナ海の国際法を無視した暴挙への世界各国の反発を考えれば、当然の修復措置と考えられますが、中国の言動の実態は異なる様に遊爺は感じています。
【緊迫・南シナ海】中国、新たな人工島造成か 「スカボロー礁周辺で測量活動」と米海軍 - 産経ニュース
経済成長の減速、その対策の「一帯一路」政策のつまづきは、習近平政権に重くのしかかっている。
その証が、王毅外相、李克強首相の相次ぐ日本非難。それはかつて、江沢民が採った、反日キャンペーンで国民の目や政権非難を逸らす政策の復活の予兆なのかと危惧するのは、遊爺だけでしょうか。
この花は、晩秋のオオユウガギク
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印象に残ったことのひとつに、王毅外相、李克強首相の相次ぐ日本非難があります。中国経済減速の対策として、外資の投資回復策があり、対日姿勢が軟化し始めていたと認識していたので、反転した姿勢に小さな驚きを感じました。南シナ海での人口島の暴挙に対する日米合同での反発への抵抗姿勢表明と理解しています。
ところが、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森氏は、ジョージ・ワシントン大学のロバート・サター教授による、中国のアジア政策の破綻や、対日姿勢の軟化を紹介しておられます。3月19日付けの記事ですので、王毅外相、李克強首相の相次ぐ日本非難後の記事です。事前に準備されていた記事なので両氏の会見内容を反映できなかったのか、両氏の日本けん制は、全人代での国内向けパフォーマンスで一時的なもので、基調の対日軟化など、アジア政策の破綻とその修復への方向転換は変わらないからなのかは計りかねます。
現実は後者であろうと考えますが、いかがでしょう。
中国のアジア戦略が失速、日本への態度も軟化? 強硬な戦略がもたらした「不都合な結果」とは | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.3.19(土) 古森 義久
中国の習近平政権は、米国への挑戦的な戦略を進めるとともにアジアでの勢力拡大にも努めてきた。しかし、ここに来てアジア戦略は壁にぶつかり、修正を試みるようになった。日本に対しても、この1年半ほど続けてきた安倍晋三首相「悪魔化」キャンペーンを減速させ、態度を軟化させる戦術を見せ始めた――。
米国のベテラン中国研究者から、中国の対アジア戦略の現状がこのように明らかにされた。
■アジアでの影響力発揮を最大限に試みてきた
前回の当コラム(「中国の『欺瞞』外交にオバマもいよいよ我慢の限界」)で、ジョージ・ワシントン大学のロバート・サター教授による3月9日の講演の内容を紹介した。
サター教授は米国務省、中央情報局(CIA)、国家情報会議などの中国専門官として30年以上を過ごし、中国の対外戦略研究では米国で有数の権威とされている。
サター教授によると、表と裏を使い分ける中国の対米戦略に対して、オバマ大統領がついに正面から批判を表明するようになったという。サター教授はこの講演で、米中関係だけでなく、日本にとっても重要な意味を持つ中国のアジア戦略についても見解を語っていた。
まず中国にとってアジアでの活動はどれほど重要なのか。サター教授は次の諸点を挙げる。
・中国の対外政策は、これまで一貫してアジア地域に主要な注意を向け、アジアでの影響力の行使を最大限に試みてきた。
・中国はアジアで安全保障と主権に関する様々な問題を抱えてきた。なかでも台湾問題を最も重視してきた。
・アジアでの経済活動は、中国の経済全体のなかで最大の比重を占めてきた。
・中国自身は、アジアで確固たる力の基盤を築いていないと他の地域でリーダーの役割を果たせないと判断している。
■強引な戦略によって立場はかえって不利に
サター教授は、以上のような中国のアジア戦略の特徴を挙げた上で、戦略の大きな目標は、米国に対抗し、アジアでの米国の力を後退させる「パワーシフト」だと説明する。
そして、その戦略がこの2年ほどの間にどのような結果をもたらしたのかについて、以下の諸点を挙げていた。
・中国の強引な領有権主張、国内のナショナリズム、軍事力増強、一党独裁体制、一方通行の投資規制などが、アジア諸国のネガティブな反応を強めた。
・習近平主席の「新シルクロード構想」は計画どおりに進まず、パキスタンやインドネシアでの鉱山事業が失敗した。中東と北アフリカへの投資も莫大な損失を生じた。
・東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との貿易と投資が伸び悩んでいる。
・韓国、オーストラリア、ミャンマー、台湾との貿易や投資は高い水準にあるが、中国の影響力の増大にはつながっていない。
・アジア諸国の多くが中国との有事を想定した軍事面での「ヘッジ(防御)」作戦を開始し、中国の影響力拡大にとってさらなる障害となってきた。
・オバマ政権の対アジア政策は欠陥もあるが、米国の開かれた国際経済システムやアジア諸国との軍事協力の強化が、中国の立場を不利にしつつある。
■安倍首相「悪魔化」計画は頓挫?
サター教授の見解によると、中国のアジア戦略には以上のような障害が立ち塞がっている。習近平政権は、アジア戦略のこうした「不都合な結果」を修正する必要があると判断し、これまでの大胆な政策や攻勢的な姿勢をある程度緩和させることを最近目指すようになったという。
習政権がアジア戦略をどの程度まで修正するのかは不明だが、中国がアジアでパワーシフトを遂行する能力は決して十分ではないことが、ほぼ立証されたというわけだ。
そのうえでサター教授は、習近平政権が現在アジアで着手していると思われる修復措置を次のように列挙する。
・日本との距離を縮める。
・ベトナムとの緊張を緩める。
・北朝鮮との緊張の緩和を試みる。
・南シナ海での米国やその他の紛争当事国との緊張緩和を試みる。
サター教授は、とくに中国の対日戦略について、「習政権はここ1年半ほど対日姿勢を硬化させ、とくに安倍首相に極端にネガティブなレッ?テルを貼る『悪魔化』キャンペーンを展開してきた。しかし、その効果があまりないとみてか、安倍非難を減速させてきたようだ」と述べた。
習近平主席の大胆で野心的な姿勢にもかかわらず、現在、中国の対アジア戦略はいくつもの壁にぶつかっている、というのがサター教授による総括である。
中国の習近平政権は、米国への挑戦的な戦略を進めるとともにアジアでの勢力拡大にも努めてきた。しかし、ここに来てアジア戦略は壁にぶつかり、修正を試みるようになった。日本に対しても、この1年半ほど続けてきた安倍晋三首相「悪魔化」キャンペーンを減速させ、態度を軟化させる戦術を見せ始めた――。
米国のベテラン中国研究者から、中国の対アジア戦略の現状がこのように明らかにされた。
■アジアでの影響力発揮を最大限に試みてきた
前回の当コラム(「中国の『欺瞞』外交にオバマもいよいよ我慢の限界」)で、ジョージ・ワシントン大学のロバート・サター教授による3月9日の講演の内容を紹介した。
サター教授は米国務省、中央情報局(CIA)、国家情報会議などの中国専門官として30年以上を過ごし、中国の対外戦略研究では米国で有数の権威とされている。
サター教授によると、表と裏を使い分ける中国の対米戦略に対して、オバマ大統領がついに正面から批判を表明するようになったという。サター教授はこの講演で、米中関係だけでなく、日本にとっても重要な意味を持つ中国のアジア戦略についても見解を語っていた。
まず中国にとってアジアでの活動はどれほど重要なのか。サター教授は次の諸点を挙げる。
・中国の対外政策は、これまで一貫してアジア地域に主要な注意を向け、アジアでの影響力の行使を最大限に試みてきた。
・中国はアジアで安全保障と主権に関する様々な問題を抱えてきた。なかでも台湾問題を最も重視してきた。
・アジアでの経済活動は、中国の経済全体のなかで最大の比重を占めてきた。
・中国自身は、アジアで確固たる力の基盤を築いていないと他の地域でリーダーの役割を果たせないと判断している。
■強引な戦略によって立場はかえって不利に
サター教授は、以上のような中国のアジア戦略の特徴を挙げた上で、戦略の大きな目標は、米国に対抗し、アジアでの米国の力を後退させる「パワーシフト」だと説明する。
そして、その戦略がこの2年ほどの間にどのような結果をもたらしたのかについて、以下の諸点を挙げていた。
・中国の強引な領有権主張、国内のナショナリズム、軍事力増強、一党独裁体制、一方通行の投資規制などが、アジア諸国のネガティブな反応を強めた。
・習近平主席の「新シルクロード構想」は計画どおりに進まず、パキスタンやインドネシアでの鉱山事業が失敗した。中東と北アフリカへの投資も莫大な損失を生じた。
・東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との貿易と投資が伸び悩んでいる。
・韓国、オーストラリア、ミャンマー、台湾との貿易や投資は高い水準にあるが、中国の影響力の増大にはつながっていない。
・アジア諸国の多くが中国との有事を想定した軍事面での「ヘッジ(防御)」作戦を開始し、中国の影響力拡大にとってさらなる障害となってきた。
・オバマ政権の対アジア政策は欠陥もあるが、米国の開かれた国際経済システムやアジア諸国との軍事協力の強化が、中国の立場を不利にしつつある。
■安倍首相「悪魔化」計画は頓挫?
サター教授の見解によると、中国のアジア戦略には以上のような障害が立ち塞がっている。習近平政権は、アジア戦略のこうした「不都合な結果」を修正する必要があると判断し、これまでの大胆な政策や攻勢的な姿勢をある程度緩和させることを最近目指すようになったという。
習政権がアジア戦略をどの程度まで修正するのかは不明だが、中国がアジアでパワーシフトを遂行する能力は決して十分ではないことが、ほぼ立証されたというわけだ。
そのうえでサター教授は、習近平政権が現在アジアで着手していると思われる修復措置を次のように列挙する。
・日本との距離を縮める。
・ベトナムとの緊張を緩める。
・北朝鮮との緊張の緩和を試みる。
・南シナ海での米国やその他の紛争当事国との緊張緩和を試みる。
サター教授は、とくに中国の対日戦略について、「習政権はここ1年半ほど対日姿勢を硬化させ、とくに安倍首相に極端にネガティブなレッ?テルを貼る『悪魔化』キャンペーンを展開してきた。しかし、その効果があまりないとみてか、安倍非難を減速させてきたようだ」と述べた。
習近平主席の大胆で野心的な姿勢にもかかわらず、現在、中国の対アジア戦略はいくつもの壁にぶつかっている、というのがサター教授による総括である。
南シナ海の人口島建設の暴挙に対し、軍の対抗提言を抑え、対話で解決させようとしたオバマ大統領が、習近平との会談での習近平の強気の反抗姿勢により、「航行の自由作戦」実施を許可し、中国非難の姿勢に変わったことは、既に諸兄がご承知のことです。日米が、対中けん制姿勢を強めたきっかけでもありますね。中国側から観れば、習近平の外交の失政と評価されることですね。
台湾の民進党への政権交代も、台湾統合を目指し続けている中国共産党にとっては、大きな後退結果で、習近平政権のマイナス評価になります。
これらの失政評価に加えて、習近平の「中華の夢」追及政策の強硬な、「韜光養晦(とうこうようかい)」をかなぐり捨てた覇権拡大政策への、アジア諸国のネガティブな反応、「新シルクロード構想」のつまづき、ASEAN各国との貿易の伸び悩みなどを、習近平のアジア政策が壁にぶつかった例として、記事は指摘しています。
その修復措置として採られるのは以下の四つだと。
・日本との距離を縮める。
・ベトナムとの緊張を緩める。
・北朝鮮との緊張の緩和を試みる。
・南シナ海での米国やその他の紛争当事国との緊張緩和を試みる。
減速する中国経済。南シナ海の国際法を無視した暴挙への世界各国の反発を考えれば、当然の修復措置と考えられますが、中国の言動の実態は異なる様に遊爺は感じています。
【緊迫・南シナ海】中国、新たな人工島造成か 「スカボロー礁周辺で測量活動」と米海軍 - 産経ニュース
経済成長の減速、その対策の「一帯一路」政策のつまづきは、習近平政権に重くのしかかっている。
その証が、王毅外相、李克強首相の相次ぐ日本非難。それはかつて、江沢民が採った、反日キャンペーンで国民の目や政権非難を逸らす政策の復活の予兆なのかと危惧するのは、遊爺だけでしょうか。
この花は、晩秋のオオユウガギク
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