世界3位の日本の名目国内総生産(GDP)が、2023年にも4位のドイツに抜かれる可能性があると報じられた。
原因と、対策について、アベノミクス誕生ブレーンの一員で、元内閣参事官・嘉悦大教授の、高橋洋一氏が解説しておられます。
日本の名目GDP、ドイツが肉薄 世界3位危うく - 日本経済新聞
日本とドイツでそれぞれ自国通貨建ての平均名目経済成長率の、1980年代から10年ごとの変遷。
日本は、80年代が6.1%増、90年代が1.5%増、2000年代が0.6%減、10年代が0.6%増。
ドイツは80年代が5.2%増、90年代が4.8%増、2000年代が2.0%増、10年代が2.9%増。
80年代には日本の成長率が若干高かったが、90年代以降、日本がほとんど経済成長しなくなったのに対し、ドイツは経済成長を続けてきた。90年以降の30年間で日本の名目GDPはわずか1.2倍だったが、ドイツは2.6倍になっている。なお、同じ30年間で人口増減の影響を除くために、1人当たり名目GDPの変化をみても、日本は1.1倍、ドイツは2.5倍と同様な数字になっている。
一方、名目GDPをドルベースでみると、
日本は、80年代が11.0%増、90年代が4.5%増、00年代が1.5%増、10年代が1.3%減。
ドイツは、80年代が 5.6%増、90年代が2.0%増、00年代が5.7%増、10年代が1.3%増。
ここ30年間でみると、日本のドルベース名目GDPは 1.6倍、ドイツは 2.4倍。
自国通貨建ての経済成長の差が基本にあり、徐々に差が詰められてきたが、日本の方が多少通貨高だったのでドルベースで見ると数値が高めに出て分かりにくかった。
ところが通貨高がなくなると一気に差がなくなったというわけだと、高橋氏。
自国通貨高は基本的に経済成長を阻害する。これは古くから知られる「近隣窮乏化」の逆で「自国窮乏化」だ。一方、ドルベースではGDPが高めに見えるので、あたかも経済成長しているかの錯覚に陥ってしまう。
90年代以降の30年間は、総じて言えば自国通貨建てで名目経済成長しなかったわけで、これが根本原因だと、高橋氏。
バブル潰しに端を発し、引き締めが正しいとの日銀官僚の無謬(むびゅう)性の下で、90年代以降、マネー不足を継続させたことを仮説としている。アベノミクスでは消費増税やコロナ禍という障害はあったが一定の効果が出ており、正しいと思っているとも。
マネーの過小供給はデフレの原因でもあり、それが経済成長を阻害し、さらに為替市場では円高要因になる。
ドイツの自国通貨の対ドルレートと円の対ドルレートは、90年代以降、円の過小供給によりほぼ平均的に10%程度の円高になっている。この円高で日本とドイツの経済成長率の差を部分的に説明できると、高橋氏。
そして、日本の取るべき手はアベノミクスを地道に継続し、経済成長を目指すしかないだろうと。
# 冒頭の画像は、安倍元首相
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原因と、対策について、アベノミクス誕生ブレーンの一員で、元内閣参事官・嘉悦大教授の、高橋洋一氏が解説しておられます。
日本の名目GDP、ドイツが肉薄 世界3位危うく - 日本経済新聞
【日本の解き方】日本のGDPが低迷した理由 お金の供給不足と円高が元凶、経済成長にアベノミクスの継続しかない - zakzak:夕刊フジ公式サイト 元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一 2023.5/10
世界3位の日本の名目国内総生産(GDP)が、2023年にも4位のドイツに抜かれる可能性があると報じられた。
まず、日本とドイツでそれぞれ自国通貨建ての平均名目経済成長率を1980年代から10年ごとに見てみよう。
日本は 80年代が6.1%増、90年代が1.5%増、2000年代が0.6%減、10年代が0.6%増だった。
ドイツは80年代が5.2%増、90年代が4.8%増、2000年代が2.0%増、10年代が2.9%増となっている。
80年代には日本の成長率が若干高かったが、90年代以降、日本がほとんど経済成長しなくなったのに対し、ドイツは経済成長を続けてきた。90年以降の30年間で日本の名目GDPはわずか1・2倍だったが、ドイツは2・6倍になっている。なお、同じ30年間で人口増減の影響を除くために、1人当たり名目GDPの変化をみても、日本は1・1倍、ドイツは2・5倍と同様な数字になっている。
一方、名目GDPをドルベースでみると、
日本は80年代が11・0%増、90年代が4・5%増、00年代が1・5%増、10年代が1・3%減だった。 ドイツは80年代が6・5%増、90年代が2・0%増、00年代が5・7%増、10年代が1・3%増だ。
ここ30年間でみると、日本のドルベース名目GDPは1・6倍、ドイツは2・4倍である。
要するに、自国通貨建ての経済成長の差が基本にあり、徐々に差が詰められてきたが、日本の方が多少通貨高だったのでドルベースで見ると数値が高めに出て分かりにくかった。ところが通貨高がなくなると一気に差がなくなったというわけだ。
自国通貨高は基本的に経済成長を阻害する。これは古くから知られる「近隣窮乏化」の逆で「自国窮乏化」だ。一方、ドルベースではGDPが高めに見えるので、あたかも経済成長しているかの錯覚に陥ってしまう。
90年代以降の30年間は、総じて言えば自国通貨建てで名目経済成長しなかったわけで、これが根本原因だ。失われた20年ともいわれており、現在でも諸説ある。筆者としては、バブル潰しに端を発し、引き締めが正しいとの日銀官僚の無謬(むびゅう)性の下で、90年代以降、マネー不足を継続させたことを仮説としている。アベノミクスでは消費増税やコロナ禍という障害はあったが一定の効果が出ており、正しいと思っている。
名目経済成長率は、各国データでのクロスセクション(横断面)分析でもマネー伸び率と高い相関を持っている。マネー伸び率は人為的、政策的に操作可能であることから、因果関係も推測できる。
マネーの過小供給はデフレの原因でもあり、それが経済成長を阻害した。さらに為替市場では円高要因になる。ドイツの自国通貨の対ドルレートと円の対ドルレートは80年代はパラレルに動いていたが、90年代以降、円の過小供給によりほぼ平均的に10%程度の円高になっている。この円高で日本とドイツの経済成長率の差を部分的に説明できる。
日本の取るべき手はアベノミクスを地道に継続し、経済成長を目指すしかないだろう。
世界3位の日本の名目国内総生産(GDP)が、2023年にも4位のドイツに抜かれる可能性があると報じられた。
まず、日本とドイツでそれぞれ自国通貨建ての平均名目経済成長率を1980年代から10年ごとに見てみよう。
日本は 80年代が6.1%増、90年代が1.5%増、2000年代が0.6%減、10年代が0.6%増だった。
ドイツは80年代が5.2%増、90年代が4.8%増、2000年代が2.0%増、10年代が2.9%増となっている。
80年代には日本の成長率が若干高かったが、90年代以降、日本がほとんど経済成長しなくなったのに対し、ドイツは経済成長を続けてきた。90年以降の30年間で日本の名目GDPはわずか1・2倍だったが、ドイツは2・6倍になっている。なお、同じ30年間で人口増減の影響を除くために、1人当たり名目GDPの変化をみても、日本は1・1倍、ドイツは2・5倍と同様な数字になっている。
一方、名目GDPをドルベースでみると、
日本は80年代が11・0%増、90年代が4・5%増、00年代が1・5%増、10年代が1・3%減だった。 ドイツは80年代が6・5%増、90年代が2・0%増、00年代が5・7%増、10年代が1・3%増だ。
ここ30年間でみると、日本のドルベース名目GDPは1・6倍、ドイツは2・4倍である。
要するに、自国通貨建ての経済成長の差が基本にあり、徐々に差が詰められてきたが、日本の方が多少通貨高だったのでドルベースで見ると数値が高めに出て分かりにくかった。ところが通貨高がなくなると一気に差がなくなったというわけだ。
自国通貨高は基本的に経済成長を阻害する。これは古くから知られる「近隣窮乏化」の逆で「自国窮乏化」だ。一方、ドルベースではGDPが高めに見えるので、あたかも経済成長しているかの錯覚に陥ってしまう。
90年代以降の30年間は、総じて言えば自国通貨建てで名目経済成長しなかったわけで、これが根本原因だ。失われた20年ともいわれており、現在でも諸説ある。筆者としては、バブル潰しに端を発し、引き締めが正しいとの日銀官僚の無謬(むびゅう)性の下で、90年代以降、マネー不足を継続させたことを仮説としている。アベノミクスでは消費増税やコロナ禍という障害はあったが一定の効果が出ており、正しいと思っている。
名目経済成長率は、各国データでのクロスセクション(横断面)分析でもマネー伸び率と高い相関を持っている。マネー伸び率は人為的、政策的に操作可能であることから、因果関係も推測できる。
マネーの過小供給はデフレの原因でもあり、それが経済成長を阻害した。さらに為替市場では円高要因になる。ドイツの自国通貨の対ドルレートと円の対ドルレートは80年代はパラレルに動いていたが、90年代以降、円の過小供給によりほぼ平均的に10%程度の円高になっている。この円高で日本とドイツの経済成長率の差を部分的に説明できる。
日本の取るべき手はアベノミクスを地道に継続し、経済成長を目指すしかないだろう。
日本とドイツでそれぞれ自国通貨建ての平均名目経済成長率の、1980年代から10年ごとの変遷。
日本は、80年代が6.1%増、90年代が1.5%増、2000年代が0.6%減、10年代が0.6%増。
ドイツは80年代が5.2%増、90年代が4.8%増、2000年代が2.0%増、10年代が2.9%増。
80年代には日本の成長率が若干高かったが、90年代以降、日本がほとんど経済成長しなくなったのに対し、ドイツは経済成長を続けてきた。90年以降の30年間で日本の名目GDPはわずか1.2倍だったが、ドイツは2.6倍になっている。なお、同じ30年間で人口増減の影響を除くために、1人当たり名目GDPの変化をみても、日本は1.1倍、ドイツは2.5倍と同様な数字になっている。
一方、名目GDPをドルベースでみると、
日本は、80年代が11.0%増、90年代が4.5%増、00年代が1.5%増、10年代が1.3%減。
ドイツは、80年代が 5.6%増、90年代が2.0%増、00年代が5.7%増、10年代が1.3%増。
ここ30年間でみると、日本のドルベース名目GDPは 1.6倍、ドイツは 2.4倍。
自国通貨建ての経済成長の差が基本にあり、徐々に差が詰められてきたが、日本の方が多少通貨高だったのでドルベースで見ると数値が高めに出て分かりにくかった。
ところが通貨高がなくなると一気に差がなくなったというわけだと、高橋氏。
自国通貨高は基本的に経済成長を阻害する。これは古くから知られる「近隣窮乏化」の逆で「自国窮乏化」だ。一方、ドルベースではGDPが高めに見えるので、あたかも経済成長しているかの錯覚に陥ってしまう。
90年代以降の30年間は、総じて言えば自国通貨建てで名目経済成長しなかったわけで、これが根本原因だと、高橋氏。
バブル潰しに端を発し、引き締めが正しいとの日銀官僚の無謬(むびゅう)性の下で、90年代以降、マネー不足を継続させたことを仮説としている。アベノミクスでは消費増税やコロナ禍という障害はあったが一定の効果が出ており、正しいと思っているとも。
マネーの過小供給はデフレの原因でもあり、それが経済成長を阻害し、さらに為替市場では円高要因になる。
ドイツの自国通貨の対ドルレートと円の対ドルレートは、90年代以降、円の過小供給によりほぼ平均的に10%程度の円高になっている。この円高で日本とドイツの経済成長率の差を部分的に説明できると、高橋氏。
そして、日本の取るべき手はアベノミクスを地道に継続し、経済成長を目指すしかないだろうと。
# 冒頭の画像は、安倍元首相
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA