遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国で、非共産党閣僚

2007-06-17 17:08:34 | 東シナ海ガス田
 中国にアメリカ生まれの「政党」があるのだそうです。
 「中国致公党」という、共産党の指導を受ける民主諸党派のうちのひとつなのですが、この党の副主席で、上海の「同済大学」の学長でもある万鋼(ワン・ガン)氏(54歳)が、4月26日の全国人民代表大会第27回常務委員会最終日に、国務院科学技術部部長に任命されることとなったのでした。
 共産党員以外の閣僚任命は1972年傳作義(チュアン・ズオイー)水電部部長の辞任以来35年ぶりなのだそうで、胡錦濤、温家宝政権の民主化路線を明確に示す人事と見られています。
 
中国細見 編集委員 藤野 彰
35年ぶり非共産党閣僚 一党独裁 変化の兆し (6/16 読売朝刊)

 中国にアメリカ生まれの「政党」があると言ったら、奇異の念を抱かれるかも知れない。
 中国致公党。共産党の指導を受ける民主諸党派 8組織のひとつである。1925年10月、華僑団体を母体に米サンフランシスコで設立された。現在、帰国華僑とその家族ら約 2万8000人の党員を擁する。

<中略>

 共産党が再び民主諸党派から閣僚を選抜したことをどう見るか。相反する二つの評価が可能だろう。

 その1。
 民主諸党派は「共産党指導下の多党協力」という枠組みの中でしか存在を許されておらず、独立した政治勢力ではない。人事も予算も共産党に握られており、共産党が「中国は一党独裁ではない」と装うための飾り物た゜。
 閣僚とはいえ、実は共産党員の筆頭次官の手中にあり、「有職無権」ではないか。科学技術と知識人の尊重を宣伝したい胡錦濤総書記の人気取り政策にすぎない。

 その2。
 国民の社会階層や価値観の分化が進む中、補完的政治勢力としての民主諸党派の役割は少なくない。非共産党員の県長級以上の幹部は全国に約 3万2000人。「副」の役職者が大半ではあるが、多くは高学歴者だ。専門知識が求められる今日、その地位はむしろ「有職有権」に近い。
 胡錦濤政権が政治面で「調和社会」建設ムードを盛り上げるための人事であり、時代の要請に添った必然的な選択である。

 長い目で中国政治の変容を展望するなら、後者の評価をとりたい。
 注目すべきは、胡錦濤総書記が「政治の指導ポストを共産党が全て独占するつもりはない」との明確なメッセージを国民に発したことだ。閣僚職たったひとつのことではあるが、政治の閉塞状況にかすかな風穴が開いたことの意義は見逃せない。

<中略>

 「民主諸党派は小さい子供であり、また腰の曲がった老人でもある。共産党に養ってもらっているんだからね。共産党の面前で怒ることなどできはしない。」
 民主諸党派「九三学社」に所属する中国の友人は自嘲気味に語る。共産党員はざっと7000万、民主諸党派は全部ひっくるめても50万。衆寡敵せず、非情な力関係は変わらない。
 しかし、国民の多くは、腐敗した共産党に愛想をつかしている。いつか「共産党の天下」が弱まれば、建国の原点ともいうべき、緩やかな連合政府的体制への移行を求める声が高まる可能性は排除できないだろう。
 胡政権の狙いがどうであれ、重要なのは、国民の厳しい視線にさらされる共産党があえて民主諸党派を担ぎ出さざるをえない環境にあるという現実だ。それは、数ヶ月後に迫った第17回党大会を前に政治の風向きの微妙な変化を予感させる。

 民主諸党派は、共産党に対して”民主”と呼ばれている様で、中華人民共和国建国(1949年)以前に成立していた合法政党です。
 中華人民共和国の政党一覧 - Wikipedia 
 中華人民共和国憲法では、結社の自由を権利として有していると規定しているのだそうですが、実際には新党派の成立は厳しく規制されていて、建国以後は成立しておらず、申請を拒否・弾圧された非合法政党として、中国民主党(米国に支部がある)があるのだそうです。

 建国当初は今のような共産党独裁ではなく、非共産党員が主要ポストに半数近く居たのだそうですが、派間の闘争や文化革命などを経て共産党一色になってしまっていたのでした。8民主諸党派は、よくぞ生き残っているとも言えます。

 建国の同士として共産党も一目置かざるを得なかったのでしょうが、ここへ来て奢りと腐敗が満ちあふれ、2004年に7万4000件といわれた民衆暴動が、06年には11万件以上(香港報道)と増大してきては、暴動の矛先を反日でかわすことが反独裁に向く危険性を持つことの限界から、同士の登用で機先を制する必用が出てきている証と受け取れます。
 大国になり、経済で世界に大きな影響を持つ中国の大きな混乱は世界の混乱をも招くもので、中国の動乱を野次馬的に喜ぶものではありません。中国に限ったことではないのですが、民意をくみ上げる政権構造でなくては、グローバルな情報網が発達した今日、長期的に見たとき長続き出来るとは考えられません。

 中国人民解放軍の名前の中国軍の独走にも胡政権は手をやいている気配が感じられます。
 東シナ海のガス田の共同開発を、欧米系メジャーを参入させた合弁会社で行おうという話が持ち上がっているそうです。
 中国側も、日本との譲歩に対する国内の反発をかわせることから、前向きに取り組む姿勢の様です。
 EEZ問題の棚上げ、先送りとなりますが、目の前の争点(共同開発)を解消し計画実現に向け進歩するもので、前向きに検討を進める価値がある話で、是非協議を進めて頂きたいものです。
 民間の活用も、独裁で面子にこだわる国には役立つものです。民主化とは言いづらいのですが、今までの流れを変える、独裁国家と民主国家の新たなおつきあい手法と言えます。


 

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中国はなぜ「反日」になったか  胡錦涛の反日行動計画

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