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トランプ次期大統領が離脱を表明しているTPP。それでも日本は国会で批准・承認しました。遊爺は、大いに評価します。
人口減で国内市場が縮小する日本。経済の活性化を維持するには、国内市場と国際市場を結び、自由貿易での成長力を取り込む必要があると考えるからです。
民主党・野田政権(当時)が、自民党他が慎重論を唱えていたなか、交渉参加に踏み切る英断をし、安倍政権が引き継ぎ、甘利大臣が対米交渉他で奮闘し参加各国が合意に漕ぎつけたTPP。新しい自由貿易の規範ともなすべきものです。
と同時に、中国が勧める「一帯一路」による経済覇権獲得(成長の止まった国内経済脱皮の為の海外市場取り込み戦略)との対抗経済圏構築策でもあり、ゆくゆくはRCEPも呑み込んで一大自由貿易圏を目指すものでもあります。アベノミクス・第三の矢の中核政策のひとつでもあります。
トランプ次期政権が離脱を表明している現状で、今後はどう進めるべきなのか。遊爺は、去る者は追わず、米国抜きの新TPP設立、先ず稼働させ、参加国を増やしていき、ゆくゆくは、RCEPも米国呑み込むことを目指すのが良いと提唱しています。
【主張】TPP承認 成果を無にせぬ方策探れ - 産経ニュース
読売は三つの方向を提起しています。
TPP 三つのシナリオ 国会承認 トランプ氏翻意・米国抜き・日EU先行 (12/10 読売・朝刊)
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連法が9日の参院で成立した。だが、米国のドナルド・トランプ次期大統領は、TPP反対の立場を明確にしており、先行きは不透明だ。厳しい状況下でTPPの発効を目指す政府には、三つのシナリオが想定される。
説得優先
政府が優先するのは、トランプ氏を説得し、翻意を促すことだ。政府が今国会でのTPP承認案の成立にこだわったのは、「日本は諦めていない」とのメッセージを米国に送るためでもある。
アジアでは、日本や中国、インドが参加する東アジア地域の包括的経済連携(RCEP)の交渉が進む。TPPが発効しなければ、アジアの貿易ルールは中国などが主導するRCEPが基準となる可能性がある。政府は、米国にこうした事情も説明していく。
ただ、トランプ氏は11月に公表した声明で、就任後の施策としてTPP離脱を第一に掲げた。安倍首相も「厳しい状況」と認めており、トランプ氏が耳を傾ける保証はない。
要件変更
次に考えられるのは、米国を除く11か国でTPPを発効させる方法だ。
TPPは、参加12か国の国内総生産(GDP)合計の85%を占める6か国以上の承認を発効要件としている。米国は全体のGDPの6割以上を占めており、現状で米国抜きでは発効できないが、要件を変更して「新TPP」を発効させる計画だ。
ただし、各国は米国のTPP参加を前提に合意している。例えば、ベトナムは衣料品などの対米輸出拡大を見込んで、国有企業の改革に同意した。マレーシアが外資系の銀行やコンビニエンスストアの出店規制を一部撤廃するのも、米国とのビジネス拡大を期待したからだ。
各国がギリギリの損得計算をした上で合意に至ったTPPは、「ガラス細工」に例えられるほど微妙なバランスで成り立っている。米国抜きで発効させるには、交渉をゼロからやり直すのに等しい労力と時間が必要になるとみられる。
EPA注力
三つ目のシナリオは、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)に注力し、年内の合意にこぎつけることだ。
EPAが発効すれば、日本は欧州産のワインやチーズ、豚肉などの関税を引き下げ、米国産品にはEUよりも高い関税がかかる見通しだ。米国で農家などの不満が高まれば、米国内でTPP参加を求める声が強まるはず、との思惑が政府にはある。
ただ、EUとの交渉では自動車関税などの対立点が残っており、合意にこぎつけられるかは不透明だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連法が9日の参院で成立した。だが、米国のドナルド・トランプ次期大統領は、TPP反対の立場を明確にしており、先行きは不透明だ。厳しい状況下でTPPの発効を目指す政府には、三つのシナリオが想定される。
説得優先
政府が優先するのは、トランプ氏を説得し、翻意を促すことだ。政府が今国会でのTPP承認案の成立にこだわったのは、「日本は諦めていない」とのメッセージを米国に送るためでもある。
アジアでは、日本や中国、インドが参加する東アジア地域の包括的経済連携(RCEP)の交渉が進む。TPPが発効しなければ、アジアの貿易ルールは中国などが主導するRCEPが基準となる可能性がある。政府は、米国にこうした事情も説明していく。
ただ、トランプ氏は11月に公表した声明で、就任後の施策としてTPP離脱を第一に掲げた。安倍首相も「厳しい状況」と認めており、トランプ氏が耳を傾ける保証はない。
要件変更
次に考えられるのは、米国を除く11か国でTPPを発効させる方法だ。
TPPは、参加12か国の国内総生産(GDP)合計の85%を占める6か国以上の承認を発効要件としている。米国は全体のGDPの6割以上を占めており、現状で米国抜きでは発効できないが、要件を変更して「新TPP」を発効させる計画だ。
ただし、各国は米国のTPP参加を前提に合意している。例えば、ベトナムは衣料品などの対米輸出拡大を見込んで、国有企業の改革に同意した。マレーシアが外資系の銀行やコンビニエンスストアの出店規制を一部撤廃するのも、米国とのビジネス拡大を期待したからだ。
各国がギリギリの損得計算をした上で合意に至ったTPPは、「ガラス細工」に例えられるほど微妙なバランスで成り立っている。米国抜きで発効させるには、交渉をゼロからやり直すのに等しい労力と時間が必要になるとみられる。
EPA注力
三つ目のシナリオは、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)に注力し、年内の合意にこぎつけることだ。
EPAが発効すれば、日本は欧州産のワインやチーズ、豚肉などの関税を引き下げ、米国産品にはEUよりも高い関税がかかる見通しだ。米国で農家などの不満が高まれば、米国内でTPP参加を求める声が強まるはず、との思惑が政府にはある。
ただ、EUとの交渉では自動車関税などの対立点が残っており、合意にこぎつけられるかは不透明だ。
外交儀礼として、可能性は見込み薄でも先ずはトランプ次期大統領に翻意を説得するのは当然です。去る者は追わないのですが、翻意を説得することで、けんか別れの形は防げますし、新TPP稼働後に、米国の参入への障壁は除かれ、門戸を開いた形が採れます。
残る参加各国も、国内手続きを進めることで一致し、トランプ次期大統領に翻意を促す方向でも一致しているのですね。
その誠意と努力をしたうえで、米国抜きの新TPPを構築するのです。勿論、新規加入国にも門戸は開きます。
重要なことは、成長するアジアの市場を、中国が取り込もうとすることと、自由主義陣営が主導で取り込むかの主導権争いに勝たねばならないことです。しかもそれは、経済の主導権だけでなく、安全保障の主導権でもあるのです。
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・山下一仁氏も、米国抜きの新協定を推奨しておられます。
米国抜きの新協定検討も キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 山下一仁氏 (12/10 読売朝刊)
トランプ氏の反対で、TPPがすぐに発効する見通しは立たなくなったが、日本にとって重要な協定であることに変わりはない。人口減による国内市場の縮小が止まらない中、生き残るには海外の需要を取り込むしかない。
TPPが発効すれば農業の輸出拡大を図る上で役に立つ。ベトナムは、日本のコメにかけている関税22.5%を即時撤廃する内容だ。日本食を好む現地の富裕層向けに輸出を伸ばせる。みそ、しょうゆなどの調味料も販売増を期待できる。
海外で品質の高さが認められている国産牛肉は、米国やカナダ、メキシコがかけている25%前後の関税を最終的に撤廃する。品質の高い日本の農水産品を海外で売っていく上で、これらの合意内容は評価できる。
TPP反対派は、国内農業が輸入品で壊滅するかのような主張をしてきたが、国内農業が受ける悪影響は、ほぼない。
例えばコメ。国産米と外国産米は品質に大きな差があり、外国産米は安い価格でしか売れない。TPPでは米豪向けに約8万トンの輸入枠を設けるが、日本の年間生産量800万ゾに比べれば、ごくわずかだ。
豚肉については、現在の実質的な関税率は4.3%に過ぎず、関税撤廃の影響は小さい。野菜や果物の多くも、もともと数%程度の関税しかかけていない。強烈な円高を耐えてきた農家が、この程度の関税撤廃で負けることはない。
トランプ氏のTPP離脱発言を受け、「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に軸足を移すべきだ」という声が出ている。だが、日本政府は、あくまでTPPの発効を目指すべきだ。RCEPには、既存制度の変更に消極的な中国やインドが参加している。貿易自由化や、環境、労働などの分野で先進的なルールを導入するTPPの高い水準を達成することはできない。
欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)で妥結できれば、TPP実現に向けた弾みになる。スパゲティなどのEU産品は、米国産品よりも有利な条件で日本で販売されるようになるからだ。米国の農産品がEU産品に市場を奪われれば、雇用に敏感なトランプ氏はTPPの重要性に気づくはずだ。
それでも駄目なら、米国抜きの「新TPP」を検討するしかない。時間はかかるが、条文を修正して対応すればいい。現在の参加国のほかに、EUから離脱する英国に参加を呼びかけるのも一つのアイデアだ。
新TPPができれば、米国は、小麦や牛肉などの日本市場をカナダや豪州に奪われる。そうなれば米国内からTPP参加を求める声が高まるだろう。 (経済部 一言剛之)
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やました・かずひと 専門は農業・貿易政策。1977年に農林省(現・農林水産省)に入省。ガット室長、国際部参事官などを歴任。2010年から現職。61歳。
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トランプ氏の反対で、TPPがすぐに発効する見通しは立たなくなったが、日本にとって重要な協定であることに変わりはない。人口減による国内市場の縮小が止まらない中、生き残るには海外の需要を取り込むしかない。
TPPが発効すれば農業の輸出拡大を図る上で役に立つ。ベトナムは、日本のコメにかけている関税22.5%を即時撤廃する内容だ。日本食を好む現地の富裕層向けに輸出を伸ばせる。みそ、しょうゆなどの調味料も販売増を期待できる。
海外で品質の高さが認められている国産牛肉は、米国やカナダ、メキシコがかけている25%前後の関税を最終的に撤廃する。品質の高い日本の農水産品を海外で売っていく上で、これらの合意内容は評価できる。
TPP反対派は、国内農業が輸入品で壊滅するかのような主張をしてきたが、国内農業が受ける悪影響は、ほぼない。
例えばコメ。国産米と外国産米は品質に大きな差があり、外国産米は安い価格でしか売れない。TPPでは米豪向けに約8万トンの輸入枠を設けるが、日本の年間生産量800万ゾに比べれば、ごくわずかだ。
豚肉については、現在の実質的な関税率は4.3%に過ぎず、関税撤廃の影響は小さい。野菜や果物の多くも、もともと数%程度の関税しかかけていない。強烈な円高を耐えてきた農家が、この程度の関税撤廃で負けることはない。
トランプ氏のTPP離脱発言を受け、「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に軸足を移すべきだ」という声が出ている。だが、日本政府は、あくまでTPPの発効を目指すべきだ。RCEPには、既存制度の変更に消極的な中国やインドが参加している。貿易自由化や、環境、労働などの分野で先進的なルールを導入するTPPの高い水準を達成することはできない。
欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)で妥結できれば、TPP実現に向けた弾みになる。スパゲティなどのEU産品は、米国産品よりも有利な条件で日本で販売されるようになるからだ。米国の農産品がEU産品に市場を奪われれば、雇用に敏感なトランプ氏はTPPの重要性に気づくはずだ。
それでも駄目なら、米国抜きの「新TPP」を検討するしかない。時間はかかるが、条文を修正して対応すればいい。現在の参加国のほかに、EUから離脱する英国に参加を呼びかけるのも一つのアイデアだ。
新TPPができれば、米国は、小麦や牛肉などの日本市場をカナダや豪州に奪われる。そうなれば米国内からTPP参加を求める声が高まるだろう。 (経済部 一言剛之)
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やました・かずひと 専門は農業・貿易政策。1977年に農林省(現・農林水産省)に入省。ガット室長、国際部参事官などを歴任。2010年から現職。61歳。
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EUとのEPAもさることながら、日豪では既にEPAは成立していますから、TPPを離脱する米国は、対日貿易で、牛肉ではオーストラリアとの競争に負けることになります。
TPP離脱を宣言するトランプ氏も、二国間の交渉はすると言っています。議会の共和党は自由貿易推進派で、オバマ大統領も、議会では共和党頼みでした。
ビジネスライクに判断するトランプ氏。強いアメリカと、雇用の確保を掲げるなかで、米国抜きの新TPPが稼働すればどうなるかは、当然見通せるはずです。中国との主導権争いにも、牽制球を投げているのは、経済でも、安全保障でも、オバマ政権で地盤沈下した強い米国の復活を意識しているからですね。
先ずは、米国抜きの新TPPを設立稼働させて、次世代の自由貿易圏を誕生させる。その上で、RCEPも、米国も、英国も参加を促し、次世代の経済圏を主導する。アベノミクスの世界レベルバージョン構想が実践されることになりますね。
# 冒頭の画像は、参議院で承認された時の様子
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この花の名前は、フシグロセンノウ
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