遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

強気も曇るプーチン恒例「ボリショイ記者会見」

2019-01-26 00:37:58 | ロシア全般
 プーチン大統領が、国内外のジャーナリストを集めて1年に1度開催する「ボリショイ記者会見」として知られる大規模記者会見が、2018年12月20日に行われたのだそうで、上智大学外国語学部の安達祐子教授がレポートされています。
 外国人記者の質問では、昨年は指名されなかった日本の記者が、今年は指名され質問したのだそうです。

 
強気も曇るプーチン恒例「ボリショイ記者会見」 北方領土問題に関しては、日本は本当に独立国家なのかと指摘 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2019.1.25(金) 安達 祐子

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による年末恒例の大記者会見が2018年12月20日に行われた。
<中略>

■対ロ経済制裁とルソフォビア(ロシア嫌い)
 ウクライナ危機を契機に
2014年から欧米諸国によって科されている経済制裁の効果については様々な議論がなされている。
 今回の会見では
プーチン氏自身も、制裁がもつ負の面を認識しつつも、国内での生産拡大など制裁によってもたらされたポジティブな側面について、欧米の専門家からもそのような指摘があるとしながら強調した。

 
制裁解除の兆しが薄いなか、今回記者会見でみえてきたのは、プーチン政権が抱く制裁状態継続に対する覚悟というか諦め感のようなものが滲んでいる様子である。
 
背景にあるのは、プーチン氏の言う欧米諸国の「ルソフォビア(ロシア嫌い)」であろう。
 ルソフォビアが根底にあるかぎり、ロシアが欧米諸国に対していかなる融和的アプローチをしようと、何らかの形でロシアに対する圧力をかけてくる状態からは逃れられないだろう、といった
半ばお手上げモードが見え隠れする。
<中略>

■経済発展政策の理想と現実
 例年通り、記者質問を受ける前に、冒頭でプーチン氏による2018年1年間のロシア経済の成果発表からスタートした。
 2018年第1~第3四半期のGDP(国内総生産)成長率が1.7%であり、同年の鉱工業生産が前年2.1%から3%に上昇見通しであること、そして失業率が、2017年の5.2%の記録を塗り替え4.7%となる見込みであること、など数々のデータを淡々と列挙した。

 そして
質疑応答が開始され、トップバッターとして、優先的に指名された大統領府担当記者が質問をした。
 内容は、第3期プーチン政権の経済政策のキーワードといえる
「ナショナル・プロジェクト」の意義についてであった。
 プーチン大統領は、2018年の就任時に「5月指令」として知られる「2024年までのロシア連邦発展の国家目標と戦略的課題」を発表した。
 そこで、
ロシアを世界トップ5の経済大国の一員とし、マクロ経済安定を維持しながら世界の平均を上回る経済成長を達成するという目標を定めた。

 5月指令では12の優先的な政策分野が示されている。
(1)人口動態
(2)保健
(3)教育
(4)住宅および都市環境
(5)エコロジー
(6)安全で良質な自動車道路
(7)労働生産性と雇用支援
(8)科学
(9)デジタルエコノミー
(10)文化
(11)中小企業・個人ビジネスのイニシアチブ支援
(12)国際的協力および輸出

 これらの分野において、ナショナル・プロジェクトが実施されることになった。

 
ナショナル・プロジェクトについては、その実行可能性と経済効果への疑問符が拭えず、それが大統領府担当記者からの質問に反映された

 
プーチン氏は、幾度となく発言してきたと述べながら、ナショナル・プロジェクトの重要性と、ロシア経済が必要としている経済発展のブレークスルー(突破口)について説明した。
 突破口なしにロシアの未来はない、と。

 発展政策の説得性に欠けたからなのか、2番目に質問者として指名されたロシアを代表するテレビ局の記者もロシア経済のブレークスルーについての質問を続けた。
 さらに、経済政策を具体的に実行に移す役割のドミトリー・メドベージェフ首相のチームのパフォーマンスに満足かといった問いをつけ加えた。
 質問の内容も影響しているのだろうが、進行役のペスコフ大統領報道官から「質問は1つに」と釘をさされていた。

 
大統領にとって顔なじみの他のベテラン記者が、大記者会見の終了間際に質問する機会が与えられた。
 「経済指標は美しいが、現実の一般国民の生活は苦しい」といったコメントをしつつ、
ロシアにおける貧富の格差に関する問いを投げかけた
 それに対し
大統領は、格差は存在するが、ロシアだけでなく西側にも存在する、とかわした
 ロシア国内でどのように対処していくかといった、質問者がおそらく期待していた答えではなかっただろう。

 ほかにも
国内経済関連の質問は多くあったが、政策については強気でも、目標とする発展への道筋がいまひとつクリアでないという後味が残った
<中略>

 例年外国プレスの代表者数名も指名される。
 昨年は指名を受けなかったが、
今年は日本の記者が流暢なロシア語でプーチン氏に質問する機会を得た
 
領土問題と平和条約締結問題についての問いに対し、プーチン氏は、沖縄県の米軍基地問題に言及し、県民や県知事が反対している事実を述べながら、日本の主権について疑問を呈す発言をした
 その他、核の脅威、ウクライナ問題、シリア問題、年金問題など、多岐にわたった。

 ゴシップ的な質問では、現在シングルのプーチン氏に結婚の意思があるか問われ、「いつかは結婚しなければならないね、たぶん」と答え会場の笑いを誘っていた。
 ちなみに、ロシアのメディア調査会社の情報によると、記者会見当日の12月20日から22日まで3日間にSNSユーザーが残した大記者会見に関するメッセージは58万4000に上り、そのうち最も多かったのが、大統領の結婚に関する質疑応答についてだったという。

■大記者会見にまつわるその他のデータ
 毎度注目されるのが、大統領が、会見にどれだけの時間を割いたか、およびいくつの質問に答えたかである。
 今年は3時間43分をかけて、69の質問に答えた。

<中略>

 一つひとつの質問に真摯に答えようとする姿をみせながら、トリッキーな質問もうまくかわせる術を備え、これだけの対応ができるのはプーチン大統領の強みといえよう。
 3期目に入り、求心力を維持したいプーチン政権にとってこのようなイベントの意義は大きいことは確かであろう。

 ウクライナ危機を契機に2014年から欧米諸国によって科されている経済制裁の効果についてプーチン氏は、制裁がもつ負の面を認識しつつも、国内での生産拡大など制裁によってもたらされたポジティブな側面について強調したのだそうです。
 欧米諸国の「ルソフォビア(ロシア嫌い)」を基調に、ルソフォビアが根底にあるかぎり、ロシアが欧米諸国に対していかなる融和的アプローチをしようと、何らかの形でロシアに対する圧力をかけてくる状態からは逃れられないだろうと、制裁解除の兆しが薄い状況には、半ばお手上げモードが見え隠れすると。

 ロシアを世界トップ5の経済大国の一員とし、マクロ経済安定を維持しながら世界の平均を上回る経済成長を達成するという目標を定めて、第3期プーチン政権の経済政策のキーワードといえる「ナショナル・プロジェクト」が設定されているのだそうですが、大統領府担当記者がトップバッターとしてその意義について質問したのだそうです。
 プーチン氏は、ナショナル・プロジェクトの重要性と、ロシア経済が必要としている経済発展のブレークスルー(突破口)について説明し、突破口なしにロシアの未来はないと述べたのだそうです。
 発展政策の説得性に欠けた内容に、2番目に質問者として指名されたロシアを代表するテレビ局の記者もロシア経済のブレークスルーについての質問を続けたのだそうです。
 大統領にとって顔なじみの他のベテラン記者は、現実の一般国民の生活は苦しい」といったコメントをしつつ、ロシアにおける貧富の格差に関する問いを投げかけたのだそうです。
 それに対し大統領は、格差は存在するが、ロシアだけでなく西側にも存在する、とかわし、具体策は示さなかったのだそうです。
 経済政策について多くの質問があったが、政策については強気でも、目標とする発展への道筋がいまひとつクリアでないという後味が残ったのだと。

 質問をする機会を得た日本人記者の、領土問題と平和条約締結問題についての問いに対し、プーチン氏は、沖縄県の米軍基地問題に言及し、県民や県知事が反対している事実を述べながら、日本の主権について疑問を呈す発言をしたのだそうです。

 一つひとつの質問に真摯に答えようとする姿をみせながら、トリッキーな質問もうまくかわせる術を備え、これだけの対応ができるのはプーチン大統領の強みといえようとの安達教授の評価。

 領土問題と平和条約締結問題についての問いに、沖縄の米軍基地を例に、日本の主権について疑問を呈したというプーチン氏。
 北方四島についても、ロシア軍の基地を沖縄の様に残しながら返還といった説がありましたが、それは日本の国家の主権意識の欠如だと否定したのでしょうか。
 米軍の基地を抱える日本の現状、沖縄の県と国との対立を揶揄したののでしょうか。
 ロシア軍の基地がある北方四島は、ロシアが占拠し続けると言いたかったのでしょうか。

 経済問題について、第3期プーチン政権の経済政策のキーワードとする「ナショナル・プロジェクト」について、トップバッターで質問した記者を筆頭に、その実行可能性と経済効果への疑問符が拭えず、質問が多かったのだそうですが、このあたりは、中国とは異なり、政府批判を容認されているオープンな様子で驚きです。
 裏返せば、世論の不満が高まっているということですね。

 日露首脳会談で、プーチン氏が平和条約締結と経済支援を急ぐ根拠ですが、欧米の経済制裁が効いていて、日本の投資導入を急いでいるのが切実な様子が見て取れます。

 領土返還なしでの平和条約を迫ってきた、今回の外相会談。
 何故か、平和条約締結にのめり込み始めた安倍政権。
 領土返還のない平和条約は、若干の民間企業が、若干の投資利益を稼げるかもしれないといった程度のメリットしかありません。

 竹島の不法占拠、尖閣への侵略を抱える日本が、それこそプーチン氏が指摘する国家の主権を放棄する姿勢を示して良い道理は皆無です。
 いつも唱えていることの繰り返しですが、台所が火の車のロシア。交渉を急いてはことは仕損じます。既に、任期限界が見えている安倍政権の足元を見透かして強気に転じたロシアの領土問題の交渉。
 安倍政権の任期は有限でも、日本政府としてこれまで通りの姿勢で交渉を引き継げばよい話です。
 繰り返しますが、「ナショナル・プロジェクト」の成果が見込めず、欧米の制裁効果が浸透してきているロシアの台所は火の車なのです。
 そこを踏まえた、対露交渉が望まれます。



 # 冒頭の画像は、モスクワで行われたロシア国防省の会合に出席したプーチン大統領
 



  オクラ




政府広報(北方領土問題) - YouTube


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia


ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1月24日(木)のつぶやき | トップ | 1月25日(金)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ロシア全般」カテゴリの最新記事