遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

調査捕鯨と日豪同盟

2008-01-20 19:41:09 | EEZ 全般
 日本の調査捕鯨阻止に「軍艦の派遣も辞さない」と息巻いた、親中派のラッド労働党党首が新首相に選出され、米中関係も含めた日豪の関係に注目しています。
 南極海で調査捕鯨を行っている日本の調査船に、軍艦は出てきませんでしたが、豪州税関の巡視船が調査船を追尾し、国際法廷への提訴に備え、写真やビデオなどの証拠収集を行っています。もちろんハワード政権時代には抑えられていたことです。
 労働党へのハワード政権からの交代は、圧勝の形で国民に選択されました。捕鯨反対の世論に応え、「日本の調査捕鯨監視」を選挙公約としていたのですから当然のなり行きといえますが、捕鯨問題が日豪関係に悪影響及ぼす危惧が、残念ながら現実味をおびつつあります。
 産経で調査捕鯨の記事が連日乗っていましたが、よくまとめられている今日(20日)の記事を、長いのですが、転載させていただきました。

【土・日曜日に書く】ワシントン支局長・山本秀也 覚悟問われる日本の捕鯨 (1/20 産経)

 ≪盟友たちの反発≫
 年々薄くなっているという南極あたりの氷は、実のところ、逆に厚さを増している-。
 南極海での日本の調査捕鯨を取り巻く国際環境の厳しさを考えると、こんなふうに、進行する地球温暖化の現実とは正反対の光景さえ思い浮かべてしまう。

 日本の調査捕鯨船団が、昨年11月18日に下関港を離れた。だが、予定海域に到達する前に、今年から予定していたザトウクジラの捕獲を断念することになった。
 厚い氷に阻まれ、捕鯨船団が立ち往生したわけではない。日本政府による「1、2年の見合わせ」の決定のためだが、背後には米国、オーストラリアの強い反発がある。米国務省のマコーマック報道官は、船団出港の翌日、「日本が今年の捕鯨を自粛するよう呼びかけたい。とりわけ、ナガスクジラとザトウクジラには配慮を求める」と、米政府の具体的な要請を表明していた。

 この後、11月24日投開票の総選挙で政権交代があったオーストラリアでは、かつて日本の調査捕鯨阻止に「軍艦の派遣も辞さない」と息巻いたラッド労働党党首が新首相に就いた。さすがに海軍艦艇への出動命令は控えたが、豪税関の監視船が日本船団の追跡に乗り出した。

 年が明けて今月15日、豪連邦裁判所は、調査海域が豪州独自に設定した「クジラ保護海域」にあたるとの理由で、日本の捕鯨差し止めを命じたのである。

 ≪凍結された法的権利≫
 差し止めを求めたのは、野生動物保護を叫ぶオーストラリアの環境保護団体だ。日本側は「公海上での活動」として判決を拒む構えだが、司法の衣を着た政治的な圧力は、活動家による海上抗議などより、ある意味では対応が難しい。司法までもが「捕鯨反対」を支持したことで、今後の影響はオーストラリア国内にとどまらない懸念がある。


 日本にとって悩ましいのは、米国、オーストラリアといった安全保障分野での重要な同盟国が、またも日本を標的に「捕鯨反対」を声高に叫びだした点である。
 豪連邦裁の判断はいうまでもなく、IWC(国際捕鯨委員会)で認められた調査捕鯨の法的権利が、このところ事実上凍結されているようにすら思える。マコーマック報道官も調査捕鯨に関して「日本の法的権利は認めるにせよ」と前置きしつつ、「クジラの生息数に関するほとんどすべてのデータ収集は、非致死性調査が技術的に可能だと指摘しておく」と踏み込んでいた

 この主張をかみくだけば、「調査の権利は認めるが、クジラを殺すな」ということだろう。言葉にこそしないが、「副産物」の鯨肉が調査後に日本の水産市場に流通する現状を想定すればこそ、「非致死性」というくだりに力も入る。日本がよって立つ科学的反証は一顧だにされない。ニューヨーク・タイムズ紙の社説(昨年4月1日)は、クジラの解体、販売をともなう捕鯨に「調査」の名を冠することを「世界中の生物学者が恥ずべきこととしている」と切り捨てたことがあった。
 米議会関係者によると、かつて民主党の大統領候補にもなったケリー上院議員ら米与野党議員は、マコーマック談話に続いて加藤良三駐米大使に書簡(11月29日付)を送り、「差し迫った約1000頭もの捕鯨を見合わせよ」と迫っている。

 ≪慰安婦問題との類似性≫
 捕鯨問題への賛否議論を見渡すと、慰安婦問題に関する米下院の対日非難決議といった歴史責任の議論にも似た構図がみえてくる。論争のキーワードを「史実」(慰安婦の実態)から(調査捕鯨の)「科学的根拠」に置き換えると、浮かび上がるのはかみ合わない議論と不信に満ちた感情論だ。
 まして対日非難の出所は、近隣の中韓ではなく、米豪や英国などだ。高飛車に来られると、日本人の体内時計は昭和20年に針が戻り、敗戦の古傷が痛む。日米豪の3首脳が、シドニーでの会談(昨年9月8日)で、アジア・太平洋地域での安保協力を誓ってわずか4カ月でこの捕鯨問題騒動である。ああ、寒い光景だ。

 鯨料理も食文化の一つととらえる日本に対し、米豪の捕鯨反対論の根底には、クジラという高等動物を食べること自体が野蛮だという思いがある。
 南極海を航行中だった日本の調査捕鯨船には先日、反捕鯨派の米環境保護団体のメンバー2人が侵入し、激しい妨害行為を行い、波紋を広げた。
 たかが、クジラ。されど、クジラ。日本が「国家の意思」として捕鯨を維持する覚悟なら、「科学」と「法理」を武器に、対日包囲網の中でも堂々と主張し続けるしかあるまい。(やまもと ひでや)

 米環境保護団体「シー・シェパード」の男性活動家2人(英国人とオーストラリア人)の引き取りに団体が反応しない中、監視についていた豪税関の巡視船に引渡が出来たのは、対立し緊迫している状況の中、逆に緩衝剤の役割を果たしてくれたとも言えます。

 米国一辺倒の安全保障体制から、新たに得たパートナーのオーストラリアでしたが、これからと言うときに、豪の政権交代と日本の首相交代でした。

 ホエールウォッチしている目前で捕鯨がおこなわれれば、幼い頃から今でも鯨を美味しいと食べている私でも直視に耐えれないでしょう。牛や豚、鶏でも同じですが...。
 調査するのに何故殺傷が必要なのか、またその肉を市場に流通させるのか。捕鯨基地としても開港を迫った、かつての大殺戮国から、自分たちは殺戮しなくなったからと言われて戸惑いは感じつつも、きちんと説明・主張しなくてはいけませんが...。

 同じ哺乳類で、牛肉(殺すために飼育している)の売り込みは激しくて、鯨という高等動物を食べること自体が野蛮という理論の押しつけです。馬鹿なら殺しても食べても良くて、賢いところしてはいけないという基準。山野を駆け狩猟で食を満たしてきた文化と、海にタンパクを求めてきた文化の違いとは、言い尽くされてきた論争ですね。文明とは異なり、文化の違いの融合は太古から戦争になることはあっても併合は困難です。相互に尊重し合うしかないのですが...。
 自然保護の観点での論争には、数字で示すことが出来ているようですが、それ以前の感情論が先行しています。

 感情以外にも考えなくてはならないのは、鯨を食べなくても、米豪からの牛肉を食べろと言う話...?日本でも、子供物頃の安くて食卓の常連だった食習慣から今でも鯨を食べる世代と、家庭の食卓に上りにくくなり、肉といえば牛や豚となり鯨の食習慣のなくなってきている世代とで、今後の需要動向はどうなるのかという話(または、自給率や、マグロの減での多様化の必要性 etc.)...?

 豪州独自に設定した「クジラ保護海域」は、豪州が主張するEEZの域内だということだそうです。
 日本側は「公海上での活動」という立場。南極でのEEZの設定には国際的にも同意は得られていないはずです。
 北極海でも、氷が融けて資源開発が可能になると言うことで、沿岸各国のEEZの主張争いが起き始めています。(なんだか納得しずらい変な話で、記述は別の機会にしますが)

 資源を持つ国として発展していて、日本としても信頼できる資源供給国として頼りにしている豪州です。
 同盟国として歩を踏み出す早々の関門ですが、更なる両国の関係強化に向け、両国の首脳の連携強化を進めていただけることを願っています。

 冒頭の写真は、「シー・シェパード」の男性活動家2人が乗り込み拘束された第2勇新丸です。

 

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 竹島プロジェクト20007

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