遊爺雑記帳

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ロシアへの制裁 経済のエンジンである巨大な石油・ガス産業への打撃が鮮明に

2022-03-26 01:55:55 | 英国全般
 NATO、EU、G7の首脳会談がいっきに開催され、対露対抗姿勢の団結が示されました。内容は、対露団結姿勢誇示が主眼で、メディアの事前盛り上げに対し、具体策は希薄だった印象を受けたのは、遊爺だけでしょうか。
 プーチンの捨て身の核使用や、第三次世界大戦への発展を厭わない脅し(今回の侵攻の成否が政治生命に影響の為過激化)に、ひるまざるを得ないのですね。
 但し、バイデン氏の、当初の発言で「米国は軍は動かさない」との発言で、プーチンが安心して侵攻に踏み切ったのは諸兄がご承知の通り。正直に本音を吐露したのでしょうが、政治家としては落第発言。今回の、各首脳会談の記者会見では、ぼかし発言が多用されているようですが。。

 一方、民間企業ベースの制裁、特にロシアの収入源の命綱といえる、原油や天然ガスの開発支援や購入では、着実に効果があがってきつつあるようです。

 化学・生物兵器や核兵器からの防護装備、NATOが提供…G7は対露追加制裁へ : 読売新聞オンライン

 
ロシアのエネ業界に制裁の痛み、油田の衰退加速も - WSJ By Georgi Kantchev 2022 年 3 月 24 日

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻と、これに伴う西側諸国の制裁措置を受けて、ロシア経済のエンジンである巨大な石油・ガス産業への打撃が鮮明になってきた。

 
米国とカナダはそもそも少なかったロシア産石油輸入を禁止したほか、欧州連合(EU)も禁輸の検討に入った。だが、西側の制裁措置は今のところ、ロシアのエネルギー輸出の大半を直接制限することは避けている。とはいえ、米国とEUの制裁は、老朽化するロシア油田の開発・維持に必要な資金と先端技術へのアクセスをすでに遮断している。

 
また西側エネルギー企業のロシア撤退が相次いでいることで、北極圏から太平洋に至るまで大型開発案件に支障が生じている。トレーダーや銀行はロシア産石油を搭載した貨物船の取り扱いを避けるようになった。そのすべてが、世界全体の1割を占めるロシアの石油生産を脅かしている。経済制裁を科されたイランやベネズエラなど産油国は、石油生産が深刻な打撃を受けて、それ以降なかなか回復できずにいる。ロシアも同じ道をたどることになりかねないとの指摘は多い。

 ロシアの石油企業を顧客に抱える
独立系コンサルティング会社ラスエナジーのパートナー、ミハイル・クルティキン氏は「ロシアのエネルギー業界は何年にもわたり後退することになる」と話す。「これは競争力を失うことを意味する」

 
エネルギー業界の衰退は、ロシアが持つ強力な地政学的な武器の威力を損なうことにもなる。ロシアは長らく、エネルギー供給を交渉の材料に使って顧客から有利な条件を引き出し、外国政府に圧力をかけてきた。また石油・ガス業界はロシア政府の歳入の約4割を占めており、すでに苦境にある同国経済にとってさらなる痛手となる。エネ業界に従事する推定150万人前後が来年までに失業するとの試算もある。

 
マイナスの影響はすでに顕在化しつつある大型パイプラインのコンソーシアムは先頃、制裁により一部区間の修復が遅れる可能性があるとの見方を示した。ロシアは今週、カザフスタンから黒海に向かうパイプラインを経由した石油輸出が、一時的に日量100万バレル程度(世界の石油需要の1%に相当)落ち込むかもしれないと明らかにした。悪天候によりインフラが打撃を受けたという。ロシア当局者は修復には最大2カ月を要するとしている。その「カスピ海パイプラインコンソーシアム」は予備部品の調達について「現在の状況ではかなり困難だろう」と指摘している。同コンソーシアムにはロシア、カザフスタン、米 シェブロン などが出資している。シェブロンの広報担当は「現在、状況を精査中だ」とコメントした。

 
国際エネルギー機関(IEA)の分析では、ロシアの石油生産は今年、15%減少し、2003年以来の水準に落ち込むと予想されている。調査会社ライスタッド・エナジーは経済制裁が数年にわたり続けば、ロシアの生産量はウクライナ侵攻前の水準には二度と戻らない可能性があると指摘している。

 
ロシアは今も欧州への石油供給を続けているが、侵攻開始以降、トレーダーの多くがロシア系の貨物船を避けている。銀行が海運輸送に関連する融資を拒否しているためだ。ロシアの代表的な油種ウラル原油は足元、バレル当たり約85ドルで売られている。これは原油の国際指標である北海ブレントのバレル当たり115ドルを大きく下回る水準で、タンカー船が不足していることを示唆している。

 コンサルティング会社アペリオ・インテリジェンスのアナリスト、ジョージ・ボロシン氏は「このトレンドが継続すれば、(石油輸出に対する)直接的な制裁が発動されなくても、ロシアの石油タンカー船は国内で満タンになり、他に貯蔵しておく場所がどこにもなくなるだろう」と話す。

 ロシアがウクライナに侵攻して直後、
英BP はロシア国営石油大手のロスネフチの株式20%近くを手放すと発表英シェルはロシアでの合弁事業から撤退すると明らかにした。米 エクソンモービル も北太平洋のサハリン島で進めていた巨額の石油・ガスプロジェクトからの撤退を表明した。

 最近では、
ハリバートン、 ベイカー・ヒューズ 、 シュルンベルジェ といった石油サービス大手も、ロシア事業の段階的縮小や新規投資・技術開発の凍結を発表している。外資系石油サービス会社が事業に欠かせないサービスを提供しているロシアの石油業界にとっては、こうした動きは著しい影響をもたらす。ロシアのエネ助言会社ビゴン・コンサルティングによると、これらの企業はロシア石油業界に対してソフトウエアの6割を提供している。地元のロシア勢が基本的な掘削などの関連サービスを提供する一方、外資系は先端的な探査・油田の保全技術といった市場を支配している。

 
ライスタッドのエネルギー・サービス調査責任者、オーダン・マーティンセン氏は「ロシアが必要とする新規投資や技術が欠如することになるため、石油生産に影響をもたらすだろう」と指摘する。

 
ロシアの石油生産は以前から、2020年代でピークに達すると予想されていた。稼働中の油田は全般的に老朽化が進んでおり、採掘にはコストのかかる労働集約型の技術が必要だ。そのため、ロシア企業は新たな油田の開発に向けて、フラッキング(水圧破砕)など米国のシェール鉱区から技術を学ぼうとしていた

 前出のマーティンセン氏は「ロシアは長年にわたり、生産の減少を食い止めるための戦いを強いられてきた」と話す。「これにより油田の衰退が加速するだろう」

 
ガスに関しては、ロシアは厳しい環境にある北極圏の油田開発を外資系企業に頼ることで、世界の液化天然ガス(LNG)市場でシェア拡大を虎視眈々(たんたん)と狙ってきた

 マーティンセン氏は、ロシアはこれで関連インフラを開発する上で
重要な液化やガス層の評価などに関する技術が入手できなくなると指摘する。また精製業者にとっても、精製過程で必要な化学薬品の調達が一部で難しくなるという。

 ロシアからの原油やガスの輸入削減推進もさることながら、米国とEUの制裁は、老朽化するロシア油田の開発・維持に必要な資金と先端技術へのアクセスをすでに遮断しているのだそうです。
 北極圏から太平洋に至るまで大型開発案件に支障が生じていると。
 
 独立系コンサルティング会社ラスエナジーのパートナー、ミハイル・クルティキン氏は「ロシアのエネルギー業界は何年にもわたり後退することになる」と話す。「これは競争力を失うことを意味する」と、 Georgi Kantchev。

 エネルギー業界の衰退は、ロシアが持つ強力な地政学的な武器の威力を損なうことにもなるとの声も。

 英BP はロシア国営石油大手のロスネフチの株式20%近くを手放すと発表。英シェルはロシアでの合弁事業から撤退すると明らかにした。米 エクソンモービル も北太平洋のサハリン島で進めていた巨額の石油・ガスプロジェクトからの撤退を表明した。
 日本は、サハリン1. 2からの撤退はしないと表明。
 サハリン2日本撤退なら、「LNGは中国に行く」…日商会頭「考慮して結論を」 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン

 ハリバートン、 ベイカー・ヒューズ 、 シュルンベルジェ といった石油サービス大手も、ロシア事業の段階的縮小や新規投資・技術開発の凍結を発表している。外資系石油サービス会社が事業に欠かせないサービスを提供しているロシアの石油業界にとっては、こうした動きは著しい影響をもたらす。

 ロシアの石油生産は以前から、2020年代でピークに達すると予想されていた。稼働中の油田は全般的に老朽化が進んでおり、ロシア企業は新たな油田の開発に向けて、米国のシェール鉱区から技術を学ぼうとしていた。

 ガスに関しては、ロシアは厳しい環境にある北極圏の油田開発を外資系企業に頼ることで、世界の液化天然ガス(LNG)市場でシェア拡大を虎視眈々(たんたん)と狙ってきた。
 サハリン2は、ロシアでは開発できず、メジャー企業と日本企業とで開発。しかし完成直前に、ロシア国営企業に株式の過半数を乗っ取られていたのでしたね。

 ライスタッドのエネルギー・サービス調査責任者、オーダン・マーティンセン氏は、関連インフラを開発する上で重要な液化やガス層の評価などに関する技術が入手できなくなると指摘。また精製業者にとっても、精製過程で必要な化学薬品の調達が一部で難しくなると。

 石油・ガス業界はロシア政府の歳入の約4割を占めており、すでに苦境にある同国経済にとってさらなる痛手となる。ロシアの力の根源の地下資源の衰退は、ロシアの衰退。
 それを選択推進するプーチンは、国民にかつての耐乏生活を強要すること。
 国民には現状の情報が知らされていないとのことですが、それはいつかは知らされる事。その時の国民の判断を待つのか、情報は十分に知っている側近の手で、ソ連時代の様な政変交代があるのか。要注目ですね。



 # 冒頭の画像は、ウクライナ南東部の港で、炎上するロシアの揚陸艦
  ウクライナ海軍「ロシア軍の大型揚陸艦を撃沈」…キエフでは55キロ地点まで押し戻す : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン




  この花の名前は、ユキワリイチゲ


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