「豪州の挑戦 アジアに賭ける」というタイトルで、産経が、8/31~9/2の 3日間連載記事で、14年連続で景気拡大を続け、アジアで存在感を高めている豪州の“入亜政策”と、日豪関係のあり方を書いてあり、記憶に止めておこうとメモ書きすることにしました。
写真は、日豪(ダウナー)外相会談(平成18年8月2日)
そんな日本の態度にもかかわらず、豪州側は日本への配慮をし「FTAは自動車関連の輸出、鉄鉱石など資源の安定的輸入などの面で、むしろ日本にとってもメリットが大きい」と日本へのラブコールを繰り返していたのだそうです。
また、単なるFTAではなく、アジア太平洋地域における同じ米国の同盟国として、安全保障面でも日本との協力関係を強めることが国益にかなうとの認識があり、ダウナー外相は、「日豪のFTAは経済的側面にとどまらず、戦略的な意味合いがあると考えている」と述べているそうです。
しかし、すでに米国やASEAN諸国と次々にFTAを結び、中国との交渉開始にまで進んでいる現状から、「このままだと最大の貿易相手国が豪州の自由貿易の枠外に取り残されかねない」と、ベール副首相兼貿易相は、日本側の対応の遅れを牽制しています。
かつては厳しい輸出規制が敷かれていたのだそうですが、今年 4月には対中輸出解禁で豪中間の基本合意が成立し、外交の基本スタンスは、日米豪3カ国の同盟関係強化なのですが、対中外交では日米と一定の距離を置き、中国の軍事力増強に強い懸念を表明する日米に対し、ダウナー外相は、「経済の拡大につれて軍事力が増えるのは自然だ。脅威とは思っていない」とはっきり述べたのだそうです。
英連邦国家ながらアジアシフトを強め、北朝鮮との国交も維持するなど、異端児的な面も持つ、したたかな外交術もあるのです。
オリンピックの野球、ソフトボール、サッカーのワールドカップと、豪州には大事なところで負かされ続けているのですが、食料、鉄鉱石やウランの資源の安定供給を依存し、アジア、太平洋の海洋国家の仲間として大切なパートナーの同盟国なのです。
サマワでは、「日本の憲法上の制約は理解している」「真の同盟国は負担を分け合うものだ」(ダウナー外相)とのことで、豪州軍に自衛隊を護ってもらい、大きな借りもあります。
日本の地位は、人口減=国力減とともにどんどん低下していきますので、今までのように黙っていても各国が注目してくれていた状況から目覚め、こちらから積極的にアプローチし、相互の立場を理解し、融和(FTAの締結など)していくことが大事になります。
数年前から、私の周りでは、海外旅行に豪州を選ぶ人が増えています。反日や、有色人種への蔑視がなく、好感度を持つ旅行経験者の口コミでしょうか。
BSEへの対応も、世界的に注目を浴びる前から、完全対応していて、米国の対応とは基本姿勢が異なる潔癖さも、日本人として親しみというか安心感を持ちます。
共同開発の交渉をしているのに、また新たにガス田開発をする国や、自国の経済力が強まったことから、約束を反故にして、資源の国家統制強化をしようとする国など、近隣の国達は、無抵抗を美徳としてきたことを逆手に、むこうで同盟を強化し、やりたい放題です。
八角亭ガス田の開発「正当な活動」 中国外務省 (朝日新聞) - goo ニュース
ロシア、シェル率いるサハリン・エナジーの計画見直しを命令 (ロイター) - goo ニュース
アジア太平洋地域における重要な戦略パートナーとして関係を深めるべきとの記事の結びには、全く同感です。
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EEZ
写真は、日豪(ダウナー)外相会談(平成18年8月2日)
豪州経済はいま絶好調だ。景気は14年連続で拡大を続けており、最近のインフレ懸念の指摘にもハワード政権は、「なおコントロールの範囲内」と成長持続に自信満々である。旺盛な個人消費、堅調な設備投資を牽引(けんいん)役とする好景気の背景には、石炭、鉄鉱石、原油など一次産品の好調な輸出がある。世界的な価格上昇という“幸運”に恵まれたことも大きい。
英連邦の一員ながら、1970年代初頭に多文化主義を掲げて“入亜政策”を取ってきた豪州だが、地理的要因からもアジアへの経済依存を一段と加速させている。今や輸出の6、7割はアジア向け。なかでも主体は中国と日本である。貿易・投資の拡大を国家的使命とする豪州は、世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンドの頓挫を見越し、アジア諸国を中心に個別FTA(自由貿易協定)の締結へと舵を切ってきた。
とりわけ最大の貿易相手国・日本とのFTA締結は最優先に位置付けている。しかし日本側はといえば、国内農家の保護という政治的な事情もあり、「メリット、デメリットをじっくり勉強したい」(小泉純一郎首相)と慎重姿勢を崩していない。
英連邦の一員ながら、1970年代初頭に多文化主義を掲げて“入亜政策”を取ってきた豪州だが、地理的要因からもアジアへの経済依存を一段と加速させている。今や輸出の6、7割はアジア向け。なかでも主体は中国と日本である。貿易・投資の拡大を国家的使命とする豪州は、世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンドの頓挫を見越し、アジア諸国を中心に個別FTA(自由貿易協定)の締結へと舵を切ってきた。
とりわけ最大の貿易相手国・日本とのFTA締結は最優先に位置付けている。しかし日本側はといえば、国内農家の保護という政治的な事情もあり、「メリット、デメリットをじっくり勉強したい」(小泉純一郎首相)と慎重姿勢を崩していない。
そんな日本の態度にもかかわらず、豪州側は日本への配慮をし「FTAは自動車関連の輸出、鉄鉱石など資源の安定的輸入などの面で、むしろ日本にとってもメリットが大きい」と日本へのラブコールを繰り返していたのだそうです。
また、単なるFTAではなく、アジア太平洋地域における同じ米国の同盟国として、安全保障面でも日本との協力関係を強めることが国益にかなうとの認識があり、ダウナー外相は、「日豪のFTAは経済的側面にとどまらず、戦略的な意味合いがあると考えている」と述べているそうです。
しかし、すでに米国やASEAN諸国と次々にFTAを結び、中国との交渉開始にまで進んでいる現状から、「このままだと最大の貿易相手国が豪州の自由貿易の枠外に取り残されかねない」と、ベール副首相兼貿易相は、日本側の対応の遅れを牽制しています。
リオ・ティント社の年間鉄鉱石生産量は約1億5000万トン。うち5500万トンは日本向けだ。それに迫る勢いで急速に輸入量を伸ばしているのが中国である。
世界最大の産出国でありながら、成長著しい中国は今や世界最大の鉄鉱石輸入国でもある。リオ・ティント社は来年までに年間2億トンへと増産する計画で、専用積み出し港では桟橋の拡張工事が急ピッチで進められていた。いずれも中国向け輸出の増加を見越してのことだという。
2年後の北京五輪、4年後の上海万博など相次ぐ国家的イベントを控えて、中国の旺盛な鉄鉱石需要はまだまだ続くとみられ、それが市況の高騰を招いている。昨年は7割、今年も2割近い値上げが決まっている。中国の「強引な買い漁り」の噂は随所で耳にした。
2ケタ成長が続く中国は、豪州にとっても将来に向けた上得意だ。輸出総額でトップの日本を猛追しており、輸入ではすでに日本を追い抜き、第2位である。「中国が今後、サービスや高付加価値工業分野へと移行するにつれ、10年以内に最大の貿易相手国となる可能性は大きい」と豪貿易省幹部は語った。
慢性的エネルギー不足から、近年は原子力発電にも力を入れる中国にとり、世界の埋蔵量の3割を占める豪州のウラン資源も大きな魅力だ。
世界最大の産出国でありながら、成長著しい中国は今や世界最大の鉄鉱石輸入国でもある。リオ・ティント社は来年までに年間2億トンへと増産する計画で、専用積み出し港では桟橋の拡張工事が急ピッチで進められていた。いずれも中国向け輸出の増加を見越してのことだという。
2年後の北京五輪、4年後の上海万博など相次ぐ国家的イベントを控えて、中国の旺盛な鉄鉱石需要はまだまだ続くとみられ、それが市況の高騰を招いている。昨年は7割、今年も2割近い値上げが決まっている。中国の「強引な買い漁り」の噂は随所で耳にした。
2ケタ成長が続く中国は、豪州にとっても将来に向けた上得意だ。輸出総額でトップの日本を猛追しており、輸入ではすでに日本を追い抜き、第2位である。「中国が今後、サービスや高付加価値工業分野へと移行するにつれ、10年以内に最大の貿易相手国となる可能性は大きい」と豪貿易省幹部は語った。
慢性的エネルギー不足から、近年は原子力発電にも力を入れる中国にとり、世界の埋蔵量の3割を占める豪州のウラン資源も大きな魅力だ。
かつては厳しい輸出規制が敷かれていたのだそうですが、今年 4月には対中輸出解禁で豪中間の基本合意が成立し、外交の基本スタンスは、日米豪3カ国の同盟関係強化なのですが、対中外交では日米と一定の距離を置き、中国の軍事力増強に強い懸念を表明する日米に対し、ダウナー外相は、「経済の拡大につれて軍事力が増えるのは自然だ。脅威とは思っていない」とはっきり述べたのだそうです。
英連邦国家ながらアジアシフトを強め、北朝鮮との国交も維持するなど、異端児的な面も持つ、したたかな外交術もあるのです。
海外で最も日本語学習が盛んな国はどこか。それがオーストラリアであることは意外に知られていない。日本の国際交流基金が2003年に実施した調査によれば、豪州の日本語学習者数は約38万人。実数で韓国の89万人、中国の39万人には及ばないが、人口比では50人に1人と世界一である。
<中略>
しかし、その日本語学習者数も、最近は横ばいないし微減状態なのだという。原因は日本語教員の高齢化で退職が相次ぐ一方、予算不足から補充が追いつかないためだという。これについて日本側からは特段の支援申し出はないと聞いた。
代わって存在感を増しているのが中国である。70年代初頭に白豪主義から多文化主義へと大きく政策転換して以降、豪州にはアジア諸国からの移民が大量に流入した。中でも中国、ベトナムなどからの華人系移民は今や80万人にもなる。シドニーをはじめ豪州の主要都市には、必ずといっていいほど中華街が形成されており、中国語が日常生活に飛び交っている。
民間シンクタンク、ロウィー研究所が最近実施した世論調査によると、日本は好感度の高い国としてニュージーランド、英国に次ぎ第3位。しかし中国もまた、9位の米国を引き離して5位と日本に肉薄している。
これについて豪外務貿易省北アジア局幹部は、中国が強硬に反対した日本の国連安保理常任理事国入りを豪州が一貫して支持してきたことを指摘し、「経済以上に重要なことはある。中国との経済関係は重要だが、価値観を共有する日本との関係はもっと重要だ」と日本に秋波を送った。
<中略>
しかし、その日本語学習者数も、最近は横ばいないし微減状態なのだという。原因は日本語教員の高齢化で退職が相次ぐ一方、予算不足から補充が追いつかないためだという。これについて日本側からは特段の支援申し出はないと聞いた。
代わって存在感を増しているのが中国である。70年代初頭に白豪主義から多文化主義へと大きく政策転換して以降、豪州にはアジア諸国からの移民が大量に流入した。中でも中国、ベトナムなどからの華人系移民は今や80万人にもなる。シドニーをはじめ豪州の主要都市には、必ずといっていいほど中華街が形成されており、中国語が日常生活に飛び交っている。
民間シンクタンク、ロウィー研究所が最近実施した世論調査によると、日本は好感度の高い国としてニュージーランド、英国に次ぎ第3位。しかし中国もまた、9位の米国を引き離して5位と日本に肉薄している。
これについて豪外務貿易省北アジア局幹部は、中国が強硬に反対した日本の国連安保理常任理事国入りを豪州が一貫して支持してきたことを指摘し、「経済以上に重要なことはある。中国との経済関係は重要だが、価値観を共有する日本との関係はもっと重要だ」と日本に秋波を送った。
オリンピックの野球、ソフトボール、サッカーのワールドカップと、豪州には大事なところで負かされ続けているのですが、食料、鉄鉱石やウランの資源の安定供給を依存し、アジア、太平洋の海洋国家の仲間として大切なパートナーの同盟国なのです。
サマワでは、「日本の憲法上の制約は理解している」「真の同盟国は負担を分け合うものだ」(ダウナー外相)とのことで、豪州軍に自衛隊を護ってもらい、大きな借りもあります。
米国が「中国主導、米国排除の枠組み」と強い懸念を表明した東アジア共同体構想にしても、インドを含めた豪州の参加によって、米国が安堵したことは確かだ。
米国は今年2月、4年ごとの国防見直し(QDR)を明らかにしたが、その中で英国と豪州の2カ国を「特別な関係」と名指しした。両国については作成過程から関与させており、時折ブリーフィングを受けるだけの日本との違いは一目瞭然(りょうぜん)である。米国がアジア太平洋地域で最も頼りにする同盟国は日本ではなく、実は豪州なのだと指摘する専門家は少なくない。
米国は今年2月、4年ごとの国防見直し(QDR)を明らかにしたが、その中で英国と豪州の2カ国を「特別な関係」と名指しした。両国については作成過程から関与させており、時折ブリーフィングを受けるだけの日本との違いは一目瞭然(りょうぜん)である。米国がアジア太平洋地域で最も頼りにする同盟国は日本ではなく、実は豪州なのだと指摘する専門家は少なくない。
日本の地位は、人口減=国力減とともにどんどん低下していきますので、今までのように黙っていても各国が注目してくれていた状況から目覚め、こちらから積極的にアプローチし、相互の立場を理解し、融和(FTAの締結など)していくことが大事になります。
日豪関係をそれぞれのサイドから眺めると、日本にラブコールを送り続ける豪州の“思い入れ”の強さに対し、日本側には熱い思いが欠けているようにも映る。しかし、現実には日本にとっての豪州の存在感は確実に増している。
数年前から、私の周りでは、海外旅行に豪州を選ぶ人が増えています。反日や、有色人種への蔑視がなく、好感度を持つ旅行経験者の口コミでしょうか。
BSEへの対応も、世界的に注目を浴びる前から、完全対応していて、米国の対応とは基本姿勢が異なる潔癖さも、日本人として親しみというか安心感を持ちます。
共同開発の交渉をしているのに、また新たにガス田開発をする国や、自国の経済力が強まったことから、約束を反故にして、資源の国家統制強化をしようとする国など、近隣の国達は、無抵抗を美徳としてきたことを逆手に、むこうで同盟を強化し、やりたい放題です。
八角亭ガス田の開発「正当な活動」 中国外務省 (朝日新聞) - goo ニュース
ロシア、シェル率いるサハリン・エナジーの計画見直しを命令 (ロイター) - goo ニュース
アジア太平洋地域における重要な戦略パートナーとして関係を深めるべきとの記事の結びには、全く同感です。
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EEZ
>英連邦国家ながらアジアシフトを強め、北朝鮮との国交も維持するなど、
>異端児的な面も持つ、したたかな外交術もあるのです。
こちらの陣営に引き込むのは大変そうですね・・・
豪州は人口比では日本語学習率は高いのだそうで、高校時代も交換留学生が我が校にやってきたことがありました。英語はなまっていて聞き取りにくかったのですが。(汗)
ダウナー外相は鉄鋼やウランの輸出面では中国との実務関係も見据えたバランスのよい外交を行っているように思いますが、あっちに付くということは考えにくいように思います。もっとも、日本があまり力入れてなかったところで先の戦略対話を定期的に続けていくことが一番です。
>きっと、中国は何故日本が豪州を重視しないのか不思議に思っていると思います。
御意。
小泉の純一郎さんは、歴代総理では破格の外遊回数ですが、歴代総理も閣僚も米国他おきまりの国に行くのが精一杯で、戦略的諸国探訪が足りないのですね。
中東、東欧諸国まで行って欲しいのですが、豪州は定番コースで訪問交流して欲しいものです。
>朝日新聞は阿倍氏の「日米豪印」同盟構想に関して反対していましたねー。
朝日は駅の広告看板で、大学入試出題率トップと宣伝していますが、ネットの検索にかかって見ることはあっても、新聞は読んでいないのですが、そんなこと書いてるのですか。
理由は何なのでしょう?
インドは、露中印の間で連係しているものは少なくありませんが、これは、インドが全方位外交をしているということで、日本とすれば、BLICSの中では、終戦の混乱時に子供達のためにインデラを贈ってくれた恩義もある、中露とは比較にならない信頼できる国ですよね。
豪州は、何処に反対する理由があるのでしょう?中露に買収された、回し者の記者が居るのでしたら書くかも知れませんが...。
http://opendoors.asahi.com/syukan/briefing/778.shtml
サマワからの撤収作業の支援のために隣国クウェートに派遣されていた陸自隊員約100人も無事帰国しましたが、サマワの日本との友好記念碑に、サドル師の肖像の大看板が掲げられたのだそうですね。
一部の反米日グループの仕業とは言え、その中で自衛隊を護って貰ったことは、末代まで感謝していくべきことですね。
日本にとって、相互に支援しあい、信頼を深めていくに足る国として、上位に挙げるべき国だと考えます。
新総理だけでなく、多くの閣僚、国会議員、経済人が、もっと交流を深めてほしいものですね。