フィリピンのドゥテルテ大統領と、習近平国家主席が、8月29日北京の釣魚台迎賓館で会談したのだそうです。
ドゥテルテ氏は16年の大統選では中国漁船の領海進入には自ら排除に立ち向かう等強行姿勢でしたが、就任後、中国からの経済支援と引き換えに南シナ海での中国の領有権を否定する仲裁裁判所裁定を持ち出すことを封印し、ASEAN会議の議長時には中国寄りの進行をするなど、すっかり習近平に丸め込まれていました。
大統領任期の折り返し点での、5月の統一国政・地方選挙(中間選挙)で圧勝した後半ではどのような政策展開をみせるのか注目されていましたが、封印していた仲裁裁判所裁定を持ち出してきたのです。
しかも、4月の中間選挙前は選挙向けパフォーマンスもあろうかと思われましたが、選挙を圧勝した今、またもちだしたのです。
フィリピン中間選挙、ドゥテルテ支持派圧勝 大勢判明 :日本経済新聞
フィリピン中間選挙でドゥテルテ派圧勝。高い人気の背景にアンチ・ポリコレの広がり | ハフポスト
南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島でフィリピンが実効支配する地域に中国船が多数出没するようになり、今年6月にはリード堆(礼楽灘)周辺で中国漁船と衝突したフィリピン漁船が沈没する事件が発生。中国が約束した経済支援を実行していないとの不満も高まるなどフィリピンの対中世論が厳しさを増していることが、ドゥテルテ氏の抗議の原因。
習氏は同裁定を認めない従来の立場を繰り返したのだそうですが、異例の手厚いもてなしで懐柔を図ってもいる様です。
次の大統領選にドゥテルテ氏本人が出馬するのかどうかは不明ですが、習近平にすっかり丸め込まれていたドゥテルテ氏が、国内の対中世論が厳しさを増している中、どのような政策を展開するのか。
世界に広がる「アンチ・ポリコレ(政治的妥当性)ムード」、「きれいごと疲れ」での大衆の支持を得ているのはトランプ大統領と類似と指摘するジャーナリストの柴田氏。
任期後半に、麻薬撲滅戦争、インフラ整備に加えて、公約に掲げる連邦制へ向けた憲法改正に取り組むかどうか。
貧富の格差や首都圏の渋滞、アジア最悪と評判のマニラ国際空港の混雑解消などに剛腕を奮えば、歴史に名を残すことができるのだが、さてと。
かつて、ASEANのなかではベトナムと並んで中国の南シナ海での覇権拡大に抵抗していたフィリピン。
「債権の罠」で各国の警戒心が高まり苦戦の習近平に、機を観るのに敏感なドゥテルテ氏が攻勢に転じたのでしょうか。言動に要注目ですね。
# 冒頭の画像は、29日北京の釣魚台迎賓館で会談した中国の習近平国家主席とフィリピンのドゥテルテ大統領
トウグミの実
↓よろしかったら、お願いします。
ドゥテルテ氏は16年の大統選では中国漁船の領海進入には自ら排除に立ち向かう等強行姿勢でしたが、就任後、中国からの経済支援と引き換えに南シナ海での中国の領有権を否定する仲裁裁判所裁定を持ち出すことを封印し、ASEAN会議の議長時には中国寄りの進行をするなど、すっかり習近平に丸め込まれていました。
大統領任期の折り返し点での、5月の統一国政・地方選挙(中間選挙)で圧勝した後半ではどのような政策展開をみせるのか注目されていましたが、封印していた仲裁裁判所裁定を持ち出してきたのです。
しかも、4月の中間選挙前は選挙向けパフォーマンスもあろうかと思われましたが、選挙を圧勝した今、またもちだしたのです。
フィリピン中間選挙、ドゥテルテ支持派圧勝 大勢判明 :日本経済新聞
フィリピン中間選挙でドゥテルテ派圧勝。高い人気の背景にアンチ・ポリコレの広がり | ハフポスト
ドゥテルテ氏、南シナ海仲裁裁定を提起 中比首脳会談 - 産経ニュース 2019.8.30
【北京=西見由章】中国の習近平国家主席は29日、北京の釣魚台迎賓館でフィリピンのドゥテルテ大統領と会談した。ドゥテルテ氏は南シナ海問題をめぐり、ハーグの仲裁裁判所が2016年の裁定で中国の主権主張を全面否定したことを提起したが、習氏は同裁定を認めない従来の立場を繰り返した。パネロ大統領報道官が30日発表した声明で明らかにした。
ドゥテルテ氏が習氏に対し、仲裁裁定を直接提起したことが明らかになったのは、今年4月の首脳会談に続いて2回目。
ドゥテルテ氏は16年の大統領就任後、中国との蜜月関係を演出し、中国からの経済支援と引き換えに同裁定を持ち出すことを封印してきた。
ただ、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島でフィリピンが実効支配する地域に中国船が多数出没するようになり、今年6月にはリード堆(礼楽灘)周辺で中国漁船と衝突したフィリピン漁船が沈没する事件が発生。中国が約束した経済支援を実行していないとの不満も高まるなどフィリピンの対中世論は厳しさを増している。中国当局はドゥテルテ氏をつなぎとめるのに躍起だ。
中国外務省の発表によると、習氏は会談で「双方は争いを棚上げし、外部の干渉を排除し、協力と実務、発展の計画に集中しなければならない」と指摘。両国は、南シナ海での石油と天然ガスの共同開発に向けて政府間と企業間の組織をそれぞれ創設することで一致した。ドゥテルテ氏が仲裁裁定を提起したことには触れなかった。
習氏は30日、北京でのバスケットボールのワールドカップ(W杯)開幕式にドゥテルテ氏と出席。同氏が後日、広東省広州で試合を観戦する際には王岐山国家副主席が付き添う予定で、異例の手厚いもてなしで懐柔を図っている。
【北京=西見由章】中国の習近平国家主席は29日、北京の釣魚台迎賓館でフィリピンのドゥテルテ大統領と会談した。ドゥテルテ氏は南シナ海問題をめぐり、ハーグの仲裁裁判所が2016年の裁定で中国の主権主張を全面否定したことを提起したが、習氏は同裁定を認めない従来の立場を繰り返した。パネロ大統領報道官が30日発表した声明で明らかにした。
ドゥテルテ氏が習氏に対し、仲裁裁定を直接提起したことが明らかになったのは、今年4月の首脳会談に続いて2回目。
ドゥテルテ氏は16年の大統領就任後、中国との蜜月関係を演出し、中国からの経済支援と引き換えに同裁定を持ち出すことを封印してきた。
ただ、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島でフィリピンが実効支配する地域に中国船が多数出没するようになり、今年6月にはリード堆(礼楽灘)周辺で中国漁船と衝突したフィリピン漁船が沈没する事件が発生。中国が約束した経済支援を実行していないとの不満も高まるなどフィリピンの対中世論は厳しさを増している。中国当局はドゥテルテ氏をつなぎとめるのに躍起だ。
中国外務省の発表によると、習氏は会談で「双方は争いを棚上げし、外部の干渉を排除し、協力と実務、発展の計画に集中しなければならない」と指摘。両国は、南シナ海での石油と天然ガスの共同開発に向けて政府間と企業間の組織をそれぞれ創設することで一致した。ドゥテルテ氏が仲裁裁定を提起したことには触れなかった。
習氏は30日、北京でのバスケットボールのワールドカップ(W杯)開幕式にドゥテルテ氏と出席。同氏が後日、広東省広州で試合を観戦する際には王岐山国家副主席が付き添う予定で、異例の手厚いもてなしで懐柔を図っている。
南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島でフィリピンが実効支配する地域に中国船が多数出没するようになり、今年6月にはリード堆(礼楽灘)周辺で中国漁船と衝突したフィリピン漁船が沈没する事件が発生。中国が約束した経済支援を実行していないとの不満も高まるなどフィリピンの対中世論が厳しさを増していることが、ドゥテルテ氏の抗議の原因。
習氏は同裁定を認めない従来の立場を繰り返したのだそうですが、異例の手厚いもてなしで懐柔を図ってもいる様です。
次の大統領選にドゥテルテ氏本人が出馬するのかどうかは不明ですが、習近平にすっかり丸め込まれていたドゥテルテ氏が、国内の対中世論が厳しさを増している中、どのような政策を展開するのか。
世界に広がる「アンチ・ポリコレ(政治的妥当性)ムード」、「きれいごと疲れ」での大衆の支持を得ているのはトランプ大統領と類似と指摘するジャーナリストの柴田氏。
任期後半に、麻薬撲滅戦争、インフラ整備に加えて、公約に掲げる連邦制へ向けた憲法改正に取り組むかどうか。
貧富の格差や首都圏の渋滞、アジア最悪と評判のマニラ国際空港の混雑解消などに剛腕を奮えば、歴史に名を残すことができるのだが、さてと。
かつて、ASEANのなかではベトナムと並んで中国の南シナ海での覇権拡大に抵抗していたフィリピン。
「債権の罠」で各国の警戒心が高まり苦戦の習近平に、機を観るのに敏感なドゥテルテ氏が攻勢に転じたのでしょうか。言動に要注目ですね。
# 冒頭の画像は、29日北京の釣魚台迎賓館で会談した中国の習近平国家主席とフィリピンのドゥテルテ大統領
トウグミの実
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