今年秋の、党政治局常務委員(チャイナセブン)の改選に向けた、中国の政局争いに注目してきています。
経済成長の低迷、南シナ海での仲裁裁判所の「九段線」否定裁定、対米G2支配外交の否定等の外交政策の失敗といった外交政策の失敗を抱える習近平ですが、汚職追放の御旗のもとで行ってきた政敵駆逐が効いてきて、一極集中の独裁体制構築が進んでいる様相ですね。
独裁体制強化は、更に、常務委員の定年の変更をめざし、虎退治で功績があった王岐山の延命、更には5年後に69歳になる習氏の長期政権への基盤造りに向かっている様です。
毛沢東の晩年の個人専制が生み出した悲劇、文化大革命の反省から、「集団指導」「制度化」「若年化」の方向に進んできた中国共産党でしたが、習近平は、権力の集中による独裁化を進め、毛沢東時代に戻る歴史を逆行する体制づくりを進めているのですね。
今年秋の中国共産党第19回大会では、チャイナセブンの改選が行われ、現行の定年制では、7人のメンバーの内、習近平と李克強以外の5人が改選される予定です。
その中に含まれる、政敵の虎退治で高実績を上げた、習近平の盟友・王岐山が含まれています。
その王岐山の延命を図り、定年制度の見直しを実現させることが、胡錦濤・共青団派や、江沢民・上海閥との政局争いには不可欠です。そうして定年制の変更または無効化を実現させることで、2022年に迎える、習近平の党主席の任期を延長することも視野にいれているのですね。
秋の19回大会人事の焦点は、「1強」の座にある習氏が、2期目の終わりを迎える2022年の20回大会に向け、どんな布石を打つかになってきていると言うのですね。チャイナセブンの人数変更も視野にいれ、常務委員の椅子取り争いを越えて、「10年任期」の党主席の座延長について布石を打つと言うのです。
経済成長の低迷や、外交政策の失政といった致命傷がありながら、胡錦濤・共青団派、江沢民・上海閥を駆逐して独裁体制の確立、毛沢東の独裁政治時代への逆行を進めようとしているのですね。
反腐敗で政敵を打倒し、官僚の特権を奪ってきた習氏に対する水面下の反発は強く、身辺の脅威にさらされているとされる、習近平と王岐山。
党内の政局争いの勝敗を決して、独裁の恐怖政治の過去に戻るのか、今日の世界第二位のGDP大国の現状を築いた集団指導の、改革・開放路線での発展で、経済の立て直しが出来て、社会不安を払拭できるのか。胡錦濤・共青団派、江沢民・春敗閥の逆転はないのか。いよいよ大詰めに向かいます。。
# 冒頭の画像は、孫文の生誕150周年の式典で講演する習近平国家主席
この花の名前は、センニンソウ
↓よろしかったら、お願いします。
経済成長の低迷、南シナ海での仲裁裁判所の「九段線」否定裁定、対米G2支配外交の否定等の外交政策の失敗といった外交政策の失敗を抱える習近平ですが、汚職追放の御旗のもとで行ってきた政敵駆逐が効いてきて、一極集中の独裁体制構築が進んでいる様相ですね。
独裁体制強化は、更に、常務委員の定年の変更をめざし、虎退治で功績があった王岐山の延命、更には5年後に69歳になる習氏の長期政権への基盤造りに向かっている様です。
習氏強まる長期政権説 2期超え 「あと10年」の声 (3/2 読売朝刊)
今年秋の中国共産党第19回大会を前に、「習近平政権は、現行規定の上限を超えて長く続く」との見方が強まっている。北京で5日開幕する全国人民代表大会(全人代)でも、習国家主席(党総書記)(63)の政治基盤の更なる強化につながる「安定と服従」が基調になりそうだ。
■党大会
北京で当然のように語られ始めた政治用語がある。
「あと10年」だ。「あと10年続く」、「あと10年で終わるのか」などと使う。
秋で1期目5年の総書記任期を終える習氏が、更に2期10年はトップの座にいるだろうとの意味だ。「指導者ポストは2期10年まで」と定めた胡錦濤・前政権の暫定規定に従えば、習氏の任期は「あと5年」。にもかかわらず、折り返しの雰囲気がほとんどない。
どういうことか。
19回大会人事の焦点は、「1強」の座にある習氏が、2期目の終わりを迎える2022年の20回大会に向け、どんな布石を打つかだ。
22年の退任を既定方針とするなら、習氏は大会で、例えば50歳代の若い後継者候補を、最高指導層の政治局常務委員(現在7人)に引き上げる公算が大きい。
2期より先を想定しているなら、急ぐ必要はない。まずは、江沢民派や胡派に比べて層が薄い自派を強くする人事に専念し、後継者はゆっくり決めればいい。前政権の暫定規定は、習氏の力なら、いずれ変えることも難しくあるまい。
「あと10年」の声は、後者の人事になるとの観測に基づく。それは、「1強」による秩序構築が本格的に進むとの予感でもある。
■転換点
中国の近年の指導部人事は、紆余曲折を経ながらも、大きな流れは、「集団指導」「制度化」「若年化」の方向に進んできた。文化大革命など、建国の指導者・毛沢東の晩年の個人専制が生み出した悲劇が、その出発点だった。
建国の元老を父に持ち、文革時に陝西省の農村で入党した習氏は、「毛の正統的な後継者として、危機にある党を導くとの自負心が強い」と言われる。
習氏は1期目、毛を見習うかのように自身に権力を集めた。
集団指導体制を壊しつつある「1強」が、制度をも自由に変えうる状況になれば、中国政治は、再び歴史的な転換点を迎えることになる。それは、「毛時代への逆行」(知識人)の性格さえ帯びるに違いない。
引退を既定路線にしにくい別の事情もありそうだ。反腐敗で政敵を打倒し、官僚の特権を奪ってきた習氏に対する水面下の反発は強い。党関係者は「習氏は、自身の安全に細心の注意を払っている」と語る。
■上書き
党大会人事では、「後継者」と並ぶ重大関心事が、もう一つある。
「大会時に68歳以上の常務委員は引退」という慣例の扱いだ。これが無効になれば、反腐敗の盟友、王岐山・党中央規律検査委員会書記(68)が留任でき、政権のパワーを維持できる。同時に、5年後に69歳になる習氏の長期政権への関門が一つ消える。
定年慣例は、制度化の柱だ。一方で、事実上の政敵排除の道具として上書きされてきた経緯もある。
1997年の第15回大会では70~71歳が目安になったと言われ、江氏のライバルで72歳の喬石(チャオシー)氏が引退に追い込まれた。胡政権が誕生じた16回大会では、世代交代の圧力を受けた68歳の実力者・李瑞環(リールイファン)氏が引退。これが17回大会の基準になり、「胡氏をしのぐ力を持つ」と評されていた江氏側近・曽慶紅(ゾンチンホン)氏が68歳で退いた。
米国に70歳の新大統領が登場する時代に、68歳定年を堅持する合理的理由も見いだしにくくなった。
「党の安定団結のため、常務委員経験者の腐敗は追及しない」という、不可侵と思われてきた不文律さえあっさり破った習氏だ。定年慣例を上書きする可能性は十分あるだろう。
全人代安定と服従の場に
長期政権の可能性が指摘される習氏のアキレス腱は、長引く経済減速だ。
経済、社会の安定なくして共産党の安定はないことを証明したのは、1989年の天安門事件だった。狂乱インフレへの怒りが渦巻く中で起きた民主化運動は一気に拡大、鄧小平氏という絶対的指導者をいただく党指導部さえ分裂した。
安定維持は、習氏にとって、「もう一つの政治闘争」と言える。党関係者は「党大会の今年、最大の任務は安定を守ること」と語った。
全人代初日に発表される今年の成長率目標は、昨年の「6.5~7%」より抑えた「6.5%前後」になるとの見方が強い。
その達成は容易ではない。輸出入が低迷し、民間企業は資金調達に苦しみ、マイナス成長の地方さえ出てきた。政権はこれまで同様、大規模インフラ投資を中心とする成長下支え策に頼り、株式市場や為替レート、不動産市況の変動も小幅に抑え込もうとするとみられる。
トランプ米大統領が切り出してくる対中通商政策は、大きな不安要因だ。
国有企業改革では、失業問題に配慮せざるを得ない。貧困対策はじめ、民衆重視路線は表看板にし続ける。
安定維持の闘争は今や、全面的な防衛戦の様相を呈しているように見える。 苦しい状況下、2月中旬、習氏は、全人代出席者と重なる党、政府、軍、各地方などの高級幹部を北京に集め、「政治を重んじよ。皆、党中央の集中統一指導に服従せよ」と号令をかけた。党大会を前に、指導部批判を許すわけにいかない。
全人代は、政策で安定維持を図る場であるとともに、習氏への服従を大合唱する舞台ともなるだろう。
他派閥を弱体化
共産党が分裂した天安門事件後、最高実力者・鄧小平氏は党中央委員会総会で、江沢民氏を総書記に抜てきした。国家主席、党中央軍事委員会主席ポストも江氏に集め、江氏の権威確立と党内の安定団結を図った。
胡錦濤氏も鄧氏に後継指名されていたが、鄧氏死去後の2002年に総書記を退いた江氏は、軍事委主席に留任、派閥争いが激化した。この影響で、12年、派閥色が薄いと言われた習近平氏が胡氏後継の総書記に。ところが、習氏は就任後、江、胡両派の実力者を次々と打倒した。
今年秋の中国共産党第19回大会を前に、「習近平政権は、現行規定の上限を超えて長く続く」との見方が強まっている。北京で5日開幕する全国人民代表大会(全人代)でも、習国家主席(党総書記)(63)の政治基盤の更なる強化につながる「安定と服従」が基調になりそうだ。
■党大会
北京で当然のように語られ始めた政治用語がある。
「あと10年」だ。「あと10年続く」、「あと10年で終わるのか」などと使う。
秋で1期目5年の総書記任期を終える習氏が、更に2期10年はトップの座にいるだろうとの意味だ。「指導者ポストは2期10年まで」と定めた胡錦濤・前政権の暫定規定に従えば、習氏の任期は「あと5年」。にもかかわらず、折り返しの雰囲気がほとんどない。
どういうことか。
19回大会人事の焦点は、「1強」の座にある習氏が、2期目の終わりを迎える2022年の20回大会に向け、どんな布石を打つかだ。
22年の退任を既定方針とするなら、習氏は大会で、例えば50歳代の若い後継者候補を、最高指導層の政治局常務委員(現在7人)に引き上げる公算が大きい。
2期より先を想定しているなら、急ぐ必要はない。まずは、江沢民派や胡派に比べて層が薄い自派を強くする人事に専念し、後継者はゆっくり決めればいい。前政権の暫定規定は、習氏の力なら、いずれ変えることも難しくあるまい。
「あと10年」の声は、後者の人事になるとの観測に基づく。それは、「1強」による秩序構築が本格的に進むとの予感でもある。
■転換点
中国の近年の指導部人事は、紆余曲折を経ながらも、大きな流れは、「集団指導」「制度化」「若年化」の方向に進んできた。文化大革命など、建国の指導者・毛沢東の晩年の個人専制が生み出した悲劇が、その出発点だった。
建国の元老を父に持ち、文革時に陝西省の農村で入党した習氏は、「毛の正統的な後継者として、危機にある党を導くとの自負心が強い」と言われる。
習氏は1期目、毛を見習うかのように自身に権力を集めた。
集団指導体制を壊しつつある「1強」が、制度をも自由に変えうる状況になれば、中国政治は、再び歴史的な転換点を迎えることになる。それは、「毛時代への逆行」(知識人)の性格さえ帯びるに違いない。
引退を既定路線にしにくい別の事情もありそうだ。反腐敗で政敵を打倒し、官僚の特権を奪ってきた習氏に対する水面下の反発は強い。党関係者は「習氏は、自身の安全に細心の注意を払っている」と語る。
■上書き
党大会人事では、「後継者」と並ぶ重大関心事が、もう一つある。
「大会時に68歳以上の常務委員は引退」という慣例の扱いだ。これが無効になれば、反腐敗の盟友、王岐山・党中央規律検査委員会書記(68)が留任でき、政権のパワーを維持できる。同時に、5年後に69歳になる習氏の長期政権への関門が一つ消える。
定年慣例は、制度化の柱だ。一方で、事実上の政敵排除の道具として上書きされてきた経緯もある。
1997年の第15回大会では70~71歳が目安になったと言われ、江氏のライバルで72歳の喬石(チャオシー)氏が引退に追い込まれた。胡政権が誕生じた16回大会では、世代交代の圧力を受けた68歳の実力者・李瑞環(リールイファン)氏が引退。これが17回大会の基準になり、「胡氏をしのぐ力を持つ」と評されていた江氏側近・曽慶紅(ゾンチンホン)氏が68歳で退いた。
米国に70歳の新大統領が登場する時代に、68歳定年を堅持する合理的理由も見いだしにくくなった。
「党の安定団結のため、常務委員経験者の腐敗は追及しない」という、不可侵と思われてきた不文律さえあっさり破った習氏だ。定年慣例を上書きする可能性は十分あるだろう。
全人代安定と服従の場に
長期政権の可能性が指摘される習氏のアキレス腱は、長引く経済減速だ。
経済、社会の安定なくして共産党の安定はないことを証明したのは、1989年の天安門事件だった。狂乱インフレへの怒りが渦巻く中で起きた民主化運動は一気に拡大、鄧小平氏という絶対的指導者をいただく党指導部さえ分裂した。
安定維持は、習氏にとって、「もう一つの政治闘争」と言える。党関係者は「党大会の今年、最大の任務は安定を守ること」と語った。
全人代初日に発表される今年の成長率目標は、昨年の「6.5~7%」より抑えた「6.5%前後」になるとの見方が強い。
その達成は容易ではない。輸出入が低迷し、民間企業は資金調達に苦しみ、マイナス成長の地方さえ出てきた。政権はこれまで同様、大規模インフラ投資を中心とする成長下支え策に頼り、株式市場や為替レート、不動産市況の変動も小幅に抑え込もうとするとみられる。
トランプ米大統領が切り出してくる対中通商政策は、大きな不安要因だ。
国有企業改革では、失業問題に配慮せざるを得ない。貧困対策はじめ、民衆重視路線は表看板にし続ける。
安定維持の闘争は今や、全面的な防衛戦の様相を呈しているように見える。 苦しい状況下、2月中旬、習氏は、全人代出席者と重なる党、政府、軍、各地方などの高級幹部を北京に集め、「政治を重んじよ。皆、党中央の集中統一指導に服従せよ」と号令をかけた。党大会を前に、指導部批判を許すわけにいかない。
全人代は、政策で安定維持を図る場であるとともに、習氏への服従を大合唱する舞台ともなるだろう。
他派閥を弱体化
共産党が分裂した天安門事件後、最高実力者・鄧小平氏は党中央委員会総会で、江沢民氏を総書記に抜てきした。国家主席、党中央軍事委員会主席ポストも江氏に集め、江氏の権威確立と党内の安定団結を図った。
胡錦濤氏も鄧氏に後継指名されていたが、鄧氏死去後の2002年に総書記を退いた江氏は、軍事委主席に留任、派閥争いが激化した。この影響で、12年、派閥色が薄いと言われた習近平氏が胡氏後継の総書記に。ところが、習氏は就任後、江、胡両派の実力者を次々と打倒した。
毛沢東の晩年の個人専制が生み出した悲劇、文化大革命の反省から、「集団指導」「制度化」「若年化」の方向に進んできた中国共産党でしたが、習近平は、権力の集中による独裁化を進め、毛沢東時代に戻る歴史を逆行する体制づくりを進めているのですね。
今年秋の中国共産党第19回大会では、チャイナセブンの改選が行われ、現行の定年制では、7人のメンバーの内、習近平と李克強以外の5人が改選される予定です。
その中に含まれる、政敵の虎退治で高実績を上げた、習近平の盟友・王岐山が含まれています。
その王岐山の延命を図り、定年制度の見直しを実現させることが、胡錦濤・共青団派や、江沢民・上海閥との政局争いには不可欠です。そうして定年制の変更または無効化を実現させることで、2022年に迎える、習近平の党主席の任期を延長することも視野にいれているのですね。
秋の19回大会人事の焦点は、「1強」の座にある習氏が、2期目の終わりを迎える2022年の20回大会に向け、どんな布石を打つかになってきていると言うのですね。チャイナセブンの人数変更も視野にいれ、常務委員の椅子取り争いを越えて、「10年任期」の党主席の座延長について布石を打つと言うのです。
経済成長の低迷や、外交政策の失政といった致命傷がありながら、胡錦濤・共青団派、江沢民・上海閥を駆逐して独裁体制の確立、毛沢東の独裁政治時代への逆行を進めようとしているのですね。
反腐敗で政敵を打倒し、官僚の特権を奪ってきた習氏に対する水面下の反発は強く、身辺の脅威にさらされているとされる、習近平と王岐山。
党内の政局争いの勝敗を決して、独裁の恐怖政治の過去に戻るのか、今日の世界第二位のGDP大国の現状を築いた集団指導の、改革・開放路線での発展で、経済の立て直しが出来て、社会不安を払拭できるのか。胡錦濤・共青団派、江沢民・春敗閥の逆転はないのか。いよいよ大詰めに向かいます。。
# 冒頭の画像は、孫文の生誕150周年の式典で講演する習近平国家主席
この花の名前は、センニンソウ
↓よろしかったら、お願いします。