遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

台頭する中国 護る米国 その行方は

2015-10-24 23:58:58 | 中国 全般
 経済力でも軍事力でもトップの米国を凌いで、「中華の夢」を達成しよう言う習近平。訪米では、中国発の世界株価下落直後て、南シナ海の人口島の暴挙もあり防戦一方でしたが、終わってみれば、現状維持がなされ悪い結果とは言えませんでした。
 続いての訪英では、英国が女王に太鼓持ち役を強いるほどのかしづき姿勢を示し、アヘン戦争での屈辱を晴らし、中英の地位逆転を世界に誇示する大きな成果をあげました。
 いまや世界を二分する米中。中国経済の減速の現実の中で、今後、どのような展開をみせるのか、注目されます。
 

シーパワー:海を支配するのは誰か? 海洋強国として台頭する中国、米国のアジア太平洋支配に挑戦 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2015.10.22(木) The Economist

中国は、米国がアジア太平洋の支配的な海軍国であるべきだということをもはや受け入れていない。

 今後数日内に、
世界の大半の国・地域から見えないところで、米国海軍が中国の高まる海軍力を試す。領有権が争われているスプラトリー(南沙)諸島で中国が建設している人工島の周囲12カイリの推定上の領海内でパトロールを実施する
ことで、それをやるのだ。
?米国海軍は2012年以降、中国が領有権を主張する構造物のすぐ近くを航行する国際法上の権利を行使してこなかった。
?このような「航行の自由」パトロールの再開は、南シナ海での挑戦的な人工島建設に関する懸念を和らげることができなかった、中国の習近平国家主席のワシントン訪問の後に続く動きだ。
?中国は抗議するだろうが、目先は、それが恐らく中国側の対応のすべてだろう。米国海軍の行動は、依然最も強大な――ただし、もはや比類なきものではない――米国のシーパワーの明確な行使だ。

■海を支配する者が世界を支配する

<中略>

 
ロシアは10月7日、カスピ海の軍艦から26発の巡航ミサイルをシリアの標的に向かってこれ見よがしに発射した(ロシアは何発かがイランに落ちたという米国の主張を否定している)。
?ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ここから宣伝価値を引き出した。「専門家が、ロシアは多分そうした武器を持っているだろうと意識していることと、武器が実際に存在するのを初めて目にすることとは、まるで別の話だ」
?西側の軍事計画者らはこれから、ロシアが自国海域から低空飛行の巡航ミサイルで欧州の大部分を攻撃できるという証明済みの能力に対処しなければならない。
?だが、それよりはるかに深刻な海軍の挑戦者は中国だ。ささやかな状態から出発し、中国は純粋な沿岸警備の装備から「近海」――つまり、日本からフィリピンに至る第1列島線内――における強力な勢力に成長した海軍を築いた。
 中国の海軍は今、より一層野心的なものに再び進化しつつある。過去10年間で、人民解放軍海軍(PLAN)による長距離演習はより頻繁になり、技術的にも要求の厳しいものになっている。中国はインド洋で永続的な海賊掃討船団を維持するとともに、西太平洋のはるか沖合で海軍の軍事演習を行っている。
?先月は、中国の艦艇5隻から成る一団が中ロ合同軍事演習の後、アリューシャン列島の近くを通過した。

■海洋強国としての中国の台頭
?中国は5月、PLANの「沿海防衛」の役割に、中国が「公海の保護」と呼ぶものが追加されることを正式承認する国防白書を発行した。かつて自国近辺の制海権を最優先していた戦略は、今では中国の拡大する経済的、外交的影響力に重きを置いている。中国がかつて陸軍に与えていた重要性には終止符が打たれた。

?陸地が海より重要であるという伝統的な精神構造は放棄されなければならず、海洋を管理することと海洋権益を守ることが大いに重視されなければならない。中国は、国家安全保障に相応しい近代的な海上武力体制を構築する必要がある。
 こうした軍事的関心の中心に位置するのは、依然として台湾だ。中国は、この反乱地域(中国はそう見ている)を、必要ならば軍事的手段によって取り戻す方法を考え出そうとしているだけでなく、台湾の主要な庇護者である米国を撃退しようともしている。

<中略>

 中国は、そのバランスを変えることを決意している。陸地に据えられた対艦ミサイルから潜水艦、近代的な海洋哨戒機、戦闘機に至るまで、あらゆるものに多額の投資を行い、第1列島線、そして最終的には第2列島線の向こう側に米国を引き留めておこうとしている。

<中略>

 
米国国防総省は8月、新たなアジア太平洋海洋安全保障戦略を発表した。新戦略は3つの目的を強調している。「海洋の自由を保護すること、紛争と強制を抑止すること、国際法と規範遵守を促進すること」だ。
?新戦略は、米国が2020年までに海軍力と空軍力の少なくとも60%をアジア太平洋に配備することによって米国のリソースを「リバランス」させるという2012年に発表された目標に向かって予定通り進んでいることを確認した。

<中略>

 
中国と領有権を争っているこれらの国はほぼすべて、新しい船を購入または建造しようとしているが、能力の差は広がる一方だ。

 
水平線のかなた
 その気になれば、海洋の境界線と資源や航行の自由、平和的な紛争解決を統治する規則と規範を脅かすことができる。米国はその挑戦に立ち向かう用意があるだろうか。
?最終的な米国の撤退は避けられないと考える向きは、ほぼ確実に間違っている。

<中略>


 
米国には、地域内および世界的に、ともに協力し合う他国の海軍がいるという利点もある。日本の海上自衛隊は戦力投射を欠くものの、世界で5番目に優れた海軍と見なされており、米国海軍とともに演習を行うことに慣れている。海上自衛隊が従来より幅広い任務で同盟国と密接に協力できるようにする先月の国家安全保障法の緩和は、北京で受けが悪かった
?
日本はまた中国と領有権紛争を抱える地域の近隣諸国と懸命に協力している
。日本は新型巡視船と比較的古い駆逐艦のために、フィリピンとベトナムにソフトローン(条件の緩い借款)を供与した。

?
もう1つの強力な味方が、インド海軍だ。中国に対する懸念が高まる中、インド海軍は西側諸国の海軍との合同演習に乗り出しており、各国はインド海軍の能力を高く評価している。米国海軍との年次合同演習「マラバール」は現在、オーストラリアとシンガポールの艦艇も参加
しており、今年は初めて日本が参加した。
 PLANに追いつくことは不可能だが、
インド海軍はインド洋が「中国の湖」と化すことを食い止める決意を固めている

?インドの戦略家たちはかねて、中国はインド政府が自国の支配下にあるべきだと考える海域で中国船舶が作戦行動を行う能力を高めるために、民間港湾設備のネットワークを構築し、沿岸インフラプロジェクトを引き受けていると考えている。中国は現在、しばしば原子力潜水艦をインド洋へ送り込んでいる。

<中略>


 
中国は今、その秩序に挑む決意を固めているように見える。中国が、自国沿岸に近い場所で米国海軍が作戦行動を行うリスクを高めたいと考えるのは無理もない。また、中国の、そして世界の貿易の動脈である海上交通路を米国とその同盟国が封鎖しようとしているという考えは、戦争を除くどんなシナリオの下でも非現実的だとはいえ、「新型の大国関係」を望む国にとっては、海の取り締まりを米国に依存することは屈辱的だ。
 しかし、万が一にも、例えば中国による台湾侵略を巡って戦争が起きるようなことがあれば、中国としては、台湾の支援に駆けつける能力を米国から奪いたいし、少なくとも遅らせたいと思うはずだ。

?
負の側面は、近隣諸国を威圧する海軍を構築することで、中国はこれらの国を一段と米国の腕の中へと追いやっていること
だ。
?さらに、強いことは強いが、
まだ世界2位のシーパワーであることは、悲惨な誤算につながる恐れがある
。ドイツは20世紀初頭に、おそろしく高くつく戦艦建造競争を引き起こすことで、英国海軍の優位性に挑んだ。だが、それでも第1次世界大戦中に英国の封鎖を突破することはできなかった。
?日本について言えば、第2次世界大戦中の真珠湾急襲の6カ月後、決定的なミッドウェー海戦に敗北し、それとともに、おごり高ぶって建造した艦隊の大部分を失った。

米国は最悪の事態に備えよ
?中国が自国の威信と自己像にとって強力な外洋海軍が欠かせないと考えることに、何ら問題はない。中国がやがて、そうした海軍は、国際的なルールを損ねるのではなく強化するために使われるべきだと結論付けた場合は、なおのことだ。
?
懸念されるのは、中国自身が何をするか分かっていない
かもしれないということ、そして、自国の旗を振ったり、外交的なシグナルを送ったり、目立たないように他国を威圧したりすること以外にも外洋海軍を利用する衝動に抗うことが難しくなるということだ。
?マハンは次のように述べている。「
シーパワーの歴史は、決してそれだけではないが概して、国家間の争い、相互の対抗意識、そして暴力が頻繁に戦争に行き着く物語だ」。必ずしも、そんなことになる必要はないが、米国は最悪の時代に備えなければならない。


 翻訳文なので読みづらい記事ですが、かつての米ソの対立時代とは、米中の対立は異なるという着目と、単独の中国(AIIBや途上国支援で仲間を募っていますが)と、地域内および世界的に、ともに協力し合う国々を持つ米国。現時点では勝敗は明らかですね。
 中国の仲間創りは、お金で繋ぎとめられているものです。
 経済の減速が進み、お金の切れ目がくれば、縁も切れるのは当然の理ですね。

 南シナ海の人口島については、習近平が訪米時にオバマ大統領と会談し、「軍事化しない」と答えたにも関わらず軍事施設の建設が進められていて、オバマ政府は、軍による人工島の12カイリ以内での行動を実施することを決断したことは、諸兄がご承知の通りです。
 
南シナ海の中国人口島 12海里内で米軍が行動計画 - 遊爺雑記帳

 太平洋、東シナ海、南シナ海、インド洋、最近では地中海にも中国艦船が出没と、広い海洋へ進出を実行している中国。世界の海を古のイギリスやロシアに代わり席捲し続けてきた米国艦隊に挑むこととなってきています。
 拡大を続ける国防費や治安費(人権弾圧費)が、減速経済の中でどこまで支えられるかは不明ですが、「中華の夢」を追求する習近平がどこまで覇権拡大を続けられるのか。目が離せませんね。



 # 冒頭の画像は、実戦では役立たずと酷評されている空母遼寧






  モンシロチョウ


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続 中国の海洋戦略
暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?









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