ロシアの輸出の 1割強をガスが占めているのだそうですが、生産量の85%を生産する3つの主力ガス田では、生産量が20年前に比べ2/3に激減していて、そのうちの一つでは、2026年には生産が止まってしまう状況なのだそうです。ロシア全体では、2030年には、'09年比で 6割減の 4割の生産量になる見込みなのだそうです。
天然ガス埋蔵量世界一のロシアを支えてきた主力ガス田の生産量が減少を続けている。このため、ロシアは自然環境の過酷な北極圏で新規ガス田の開発を急いでいる。(ロシア北部ヤマロ・ネネツ自治管区ノーブイ・ウレンゴイで山口香子)
モスクワから北東に空路で約4時間。ツンドラのただ中にあるノーブイ・ウレンゴイは国内最大の埋蔵量を誇るウレンゴイ・ガス田を開発するために建設された街だ。中心部には巨大なアパートや豪華な公共施設が立ち並ぶが、まだ秋口なのに吹き付ける風の冷たさに、歩く人の影はまばらだ。
郊外に車を走らせると、地中からガス井を通じて噴き出す天然ガスのオレンジ色の炎が雪と冬枯れの単調な世界を照らす。ガス圧縮ステーションでは生産責任者が胸を張った。
「ロシアから欧州に供給されるガスの9割はこの自治管区産ですよ」
だが、このステーションからパイプラインに送り出されるガスはピーク時の3分の1に落ち込んでいる。「このままでは2026年には生産が止まってしまう」(生産責任者)という。
ヤマロ・ネネツ自治管区は、ウレンゴイのほかに二つの巨大ガス田を抱え、ロシア産天然ガスの85%を生産する。だが、生産量は約20年前に比べ、3分の2に低下している。
シマトコ・エネルギー相は10月、ノーブイ・ウレンゴイで開かれた政府のガス開発戦略会議で「09年に5890億立方メートルだったロシアのガス生産量は、30年には(約4割の)2570億立方メートルに落ち込む」と警鐘を鳴らし、新たな巨大ガス田開発の必要を強調した。
総輸出額の1割強をガスが占めるロシアにとって大ガス田は力の源泉だ。枯渇は国際的影響力の低下に直結しかねない。会議に出席したプーチン首相は「30年までに生産量を1兆立方メートルに増やす」とぶち上げ、政府の強い決意を示した。
北極圏開発に望み 巨額費ネック
ロシアが望みを託すのが同自治管区北部のヤマル半島などの新ガス田開発だ。.少数民族の言葉で「地の果て」を意味し、北極圏に位置するヤマル半島と周辺海域にはロシアの全埋蔵量の4割近い16兆立方層が眠るとされる。
ガスプロムは半島最大のボバネンコボ・ガス田で着工し、12年からの生産を目指している。南タンベイ・ガス田では独立系ガス企業ノバテックが液化天然ガス(LNG)基地の建設を計画、欧米メジャーや三菱商事なども関心を寄せている。
ただ、冬は気温が氷点下60度まで低下する極限的環境で、開発費は数十兆円相当に膨らむとの見方もある。
露政府は、ガス採掘時に課す資源抽出税や、輸出税を免除する税制優遇策などで支援する方針だ。
だが、独立系政策研究機関「国家エネルギー安全保障財団」のシモノフ総裁は「政府の支援があっても、ガスは他国産に比べて割高になる」と予測。カタールなどがLNGを大増産する中、コストを価格に転嫁することは難しく、ロシアの将来を支えることにつながるかどうかは不透明だ。
ロシアに供給を依存している欧州各国は、脱露の検討をすすめているようですが、一段と加速しなければ、ロシアの国内消費が優先されるのでしょうから、6割減以上の供給ストップに、あと20年もしないうちに遭遇することになりかねません。
欧州でのロシア離れが進めば、生産量の減少とは別に、ロシアの輸出量が減ります。
北極圏には、全体の埋蔵量の 4割が残されているそうですが、生産コスト高となり市場での競争力はないもの。
そこで、開発が遅れていた極東の、サハリン1, 2で悪名をとどろかせた石油・天然ガスや、石炭、非鉄金属、水産資源、森林資源の開発の重要性が増してきているのです。
極東での開発となれば、販売先は地理的に東アジアの国々がまず対象となり、日本、中国が大口得意先となります。
しかし、「サハリン2」や、政府出資も含めて参加した「サバリン1」開発での完成間近かでリスクがなくなった段階での露の強引な横取りは、終戦時のどさくさでの北方領土不法占拠や、満州での開戦と捕虜強奪とは、その火事場泥棒根性は不偏であり、同じ苦汁を飲まされてはいけません。本来は係争が絶えない中国と、韓国も入れてだましあいをしながらゴチョゴチョ勝手にやってればいいのです。
日本は、供給を本格依存することなく、開発投資も含め、慎重に外交カードとして活用すればいいのです。勿論、北方 4島返還は大きなカードです。
メドベージェフ大統領が、APECを控え、ASEANの帰りに、国後島を訪問しました。これまでの両国の平和条約締結に向けた、4島の交渉を、一気に覆す姿勢を、ロシア国内にも、日本にも、世界中にも示すものでした。
「カンカラ菅」政権が、実施すると重大事態を招くと事前に警告していのは、完全に無視されました。そこで、重大事態の第一弾として、駐露大使を一時帰国させました。露は二の矢として、歯舞・色丹の大統領訪問を打ち出してきました。
駐露・河野大使は優秀な経歴をお持ちなのだそうですが、帰国しての露の態度の説明は、大統領の国内向けの行動で、日本は冷静に対処すべきとかなんとかだと...!そもそも、外務省は大統領の訪問はないとの読みをしていたのだそうですが、その情報発信はロシア大使館にも責任があるのでは?
国内向けであろうとなかろうと、これまでの日露の交渉経緯を覆し、4島がロシア領と世界に示した行動は事実で、日本の主権と国益が傷つけられていることには変わりありません。
更に、大使が帰国後なにも進展がないまま、ロシアへ再赴任させてしまいました。重大事態の二の矢、三の矢はどうなったのでしょう?
国辱に遭い、主権を無視され、重大な事態を招くと言っておきながら、なんの成果も得られないままの再赴任は、APECで首脳会談を実現したいからが理由らしい。
消費税にしても、尖閣の船長逮捕にしても、TPP参画にしても、威勢よくぶちあげておきながら必ず腰砕けになるのは、民主党のDNAなのでしょう。それぞれが失政であり、都度、世界の信頼を失っています。会談して、4島の返還を求めるというのでしょうか?挨拶をするとか、せいぜい遺憾の意とやらを発言するのかは知りませんが、会談よりも、日本の主権侵害にきっちり抗議し、日本の意思を示すことが大切です。
ロシアは首脳会談に異存はないなんて当たり前のはなしです。4島は俺のものだと世界に知らしめることができ、日本は予想通りほとんど抵抗しないのですから、ロシアに異存のあろうはずがありません。
それを大使の帰国を解いて交渉したからだとは、とんでもありません。してはならない、露のご機嫌をとって屈した姿勢を示しただけのはなしです。
「駐露大使 何のための帰国だったか」:イザ!
前原氏が、露の強気への転換に対し、日本側も転換が必要と言っています。どんな秘蔵案があるのでしょう?それとも、得意の思いつきのアドバルーン?
前原外相は8日の衆院予算委員会で、ロシアとの北方領土交渉について「北方領土の『ロシア化』が強まっていることを踏まえ、交渉そのものを根本的に見直すことが大事だ」と述べ、交渉のあり方を再検討する考えを示した。
外相は、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を訪問した背景として「石油や天然ガスの価格が高騰して、今まで手のつかなかった北方領土までお金が来ることになった」
とし、ロシア政府によるインフラ整備や漁業観光支援などで北方領土の「ロシア化」が進んだと指摘。日本が交渉のテコとしてきた経済支援の効力が薄れたとの見方を示した。ただ、政府内には、外相の発言について「日本としては経済支援を軸にする以外に有効な手法は見当たらない」と戸惑う声も出ている。
ロシアの態度が変わったのですから、日本側も態度を変更せねばなません。
どんな案を準備して前原氏が発言しているかは不明です。民主党のDNAの、思いつきで美辞を並べただけかもしれません。
しかし、資源の値上がりで国力を回復してきたロシアに、天然ガスの生産に陰りが出てきて、極東や北極圏での開発が必要となってきているという、神風が吹き始めています。
あわてて動かず、待っていても向こうから頭を下げてくる状況ですから、カードをいくつも準備して、じっくり腰を据えてかかればいいのです。
枯渇するガス田に困っているのはロシアなのです。首脳会議でも、極東開発参画(中国、韓国が先行しても平気です)でも、頭を下げてくればつきあってあげるくらいの姿勢で望んでいいんです。日本の主権と国益に沿った話なら聞いてあげますと毅然とした態度で臨むべきです。
対中国の状況もそうですが、相手の理不尽さ(ロシアでいえば、終戦時の平和条約を無視した開戦と、終戦時の火事場泥棒ぶり)は、世界へ向けてのPR活動は増やさねば、中露の言っていることが正しいと思われてしまします。
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