遊爺雑記帳

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中国ビジネス、保険に入れない恐れの時代に

2023-08-13 01:23:56 | 中国 全般
 西側諸国の企業は中国との取引への熱意を失いつつあると、AEI・上級研究員のエリザベス・ブロー氏。
 在中国米国商工会議所が3月に発表した調査では、対象企業のうち、中国を優先投資先のトップ3に挙げたのは45%にとどまった。これは調査開始以来25年間で最も低い数字なのだそうです。
 在中国欧州連合(EU)商工会議所の新たな調査では、多国籍企業が投資やアジア本部を中国から移していることが示されていると、エリザベス・ブロー氏。
 
【寄稿】中国ビジネス、保険に入れない恐れ - WSJ エリザベス・ブロー 2023年 8月 8日

 西側諸国の企業は中国との取引への熱意を失いつつある在中国米国商工会議所が3月に発表した調査では、対象企業のうち、中国を優先投資先のトップ3に挙げたのは45%にとどまった。これは調査開始以来25年間で最も低い数字だ。在中国欧州連合(EU)商工会議所の新たな調査では、多国籍企業が投資やアジア本部を中国から移していることが示されている。

 
企業が中国事業の政治的リスクをカバーする保険を見つけるのに苦労する中、こうした流れは加速する公算が大きい世界的な保険ブローカーの政治リスク担当幹部は「われわれは保険会社の引き受け意欲が急激に低下しているのを目の当たりにしている」と述べた。「複数年にまたがる保険契約をしている企業はそれを引き続き利用できるが、新たな契約が必要な企業は苦労している。民間の保険会社数社は販売に前向きだが、多くの保険会社は企業に適用する厳しい条件のリストを持っていて、自社が極めて安全と評価する業種の企業にだけ契約を提供している」

 
政治リスク保険は、接収・収用から戦争に至るまでのさまざまな政治的動機に基づいた災難から企業を守るもので、グローバル化された経済の生命線だ。こうした保険への需要はグローバル化の最も調和が取れていた時期に減ったが、世界の不安定化に伴い再び必要になっていると企業は判断している。保険ブローカーのWTW(ウイリス・タワーズワトソン)の報告書によると、昨年に政治リスク保険を購入した大手企業の比率は68%と、2019年の25%から上昇した。

 
保険会社はロシアを対象にした新規保険の引き受けを数カ月前に中止した。中国に関しては、欧米のコンサルティング会社への強制捜査や台湾への脅しといった出来事に動揺しているようだ。2年前には、ビデオゲームが「精神的アヘン」だと中国国営メディアが宣言したのを受け、同国ネット大手の騰訊(テンセント)の株価が10%以上急落した。政治的リスクに対して比較的安全だと考えられてきた食品やアパレルの企業でさえ、保険を確実に確保できるとは言えない状態だ

 保険会社は、中国関連の自社のエクスポージャーと同国内で顕在化し得る広範な政治リスクに一層神経質になっている。前出の
保険ブローカー幹部によれば、政治リスク保険を提供する約60社の保険会社のうち、中国事業向けに今も提供しているのは4、5社にすぎない。現在でも提供されている政治リスク保険の補償限度額は5000万ドル(約71億円)を超えないとみられ、数年前の約20億ドルを下回っている。中国で事業を手がける大手企業の大半は関連資産の規模が5000万ドルをはるかに超えている。

 
ドイツ政府も中国戦略を修正しつつある。この数カ月間に中国で事業を展開する自国企業向けの投資保証を50億ドル以上削減した。ロベルト・ハーベック経済相は、ドイツ企業が他の地域で行う投資への保証を拡大したいと述べている。

 
以前と比べると、これは劇的な変化だ。かつては主にイランやベネズエラのような国が企業に政治リスクをもたらしていた。中国での事業継続を予定している企業の一部は、今後数年間は有効な政治リスク保険を確保しているかもしれない。他の企業は「自家保険」に頼ろうとするかもしれないが、それは保険会社でさえ大き過ぎると見なすリスクに自社で対応することを意味する。それ以外の企業は中国を去らざるを得ない状況に直面する。中国事業の継続に強い意欲を示す大企業でさえも影響を受ける可能性がある。独メルセデス・ベンツの最高経営責任者(CEO)は最近、中国国営テレビのインタビューで、中国は同社にとって「第2の故郷」だと語った株主は同社が保険を見直したことを望んでいるはずだ

 保険はグローバル化の進展を促してきた。しかし、
グローバル化に伴って生じ得る損害の一部は、保険で対応できないほど深刻になりつつある。政府だけでなく企業や保険会社も、どの国がビジネスの相手として十分に友好的で安定しているのかを見極めざるを得ない

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筆者のエリザベス・ブロー氏は、米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)の上級研究員で、ガロス・テクノロジーズ社のアドバイザー


 企業が中国事業の政治的リスクをカバーする保険を見つけるのに苦労する中、こうした流れは加速する公算が大きい。
 世界的な保険ブローカーの政治リスク担当幹部は、
 「われわれは保険会社の引き受け意欲が急激に低下しているのを目の当たりにしている」
 「複数年にまたがる保険契約をしている企業はそれを引き続き利用できるが、新たな契約が必要な企業は苦労している。」
 のだと。

 政治リスク保険は、接収・収用から戦争に至るまでのさまざまな政治的動機に基づいた災難から企業を守るもので、グローバル化された経済の生命線だと、エリザベス・ブロー氏。

 世界の不安定化に伴い再び必要になっていると企業は判断している。保険ブローカーのWTW(ウイリス・タワーズワトソン)の報告書によると、昨年に政治リスク保険を購入した大手企業の比率は68%と、2019年の25%から上昇したのだそうです。

 保険会社はロシアを対象にした新規保険の引き受けを数カ月前に中止。

 保険ブローカー・WTWの幹部によれば、政治リスク保険を提供する約60社の保険会社のうち、中国事業向けに今も提供しているのは4、5社にすぎない。現在でも提供されている政治リスク保険の補償限度額は5000万ドル(約71億円)を超えないとみられ、数年前の約20億ドルを下回っているのだそうです。

 ドイツ政府も中国戦略を修正しつつある。この数カ月間に中国で事業を展開する自国企業向けの投資保証を50億ドル以上削減した。ロベルト・ハーベック経済相は、ドイツ企業が他の地域で行う投資への保証を拡大したいと述べている。
 以前と比べると、これは劇的な変化だと、エリザベス・ブロー氏。

 独メルセデス・ベンツの最高経営責任者(CEO)は最近、中国国営テレビのインタビューで、中国は同社にとって「第2の故郷」だと語った。株主は同社が保険を見直したことを望んでいるはずだとも。

 保険はグローバル化の進展を促してきた。しかし、グローバル化に伴って生じ得る損害の一部は、保険で対応できないほど深刻になりつつある。
 どの国がビジネスの相手として十分に友好的で安定しているのかを見極めざるを得ないと、エリザベス・ブロー氏。


 # 冒頭の画像は、中国共産主義青年団の第19回全国代表大会(6月)に出席する習近平国家主席
  (共青団派は、鄧小平が進めた集団態勢での改革開放経済の推進母体でしたが、先の党大会での習近平独裁体制確立で幹部は一掃されていました。)



  ハマナス


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