今回の伊勢志摩サミットでは、既に書かせていただきましたが、安倍首相が最も主眼を置いたのは、各国による財政出動の協調でした。ただ、「リーマンショック」を引き合いに出した協調の呼びかけには、当日の英国などや、国内外からの異論が出て物議をかもしています。
国際会議を日本の国益につなげて利用したとの非難については、利用するのは当然のこととさらりと流す有本香氏の言葉が正解ですね。
そして、昨日から今日にかけて騒がしく、与党内の亀裂と野党や反政府論を飯の種とするメディアが煽った消費税アップ再延期や内閣不信任。すんなり収まってしまいました。
そして、サミットの第二の成果は、欧州各国が関心の薄い、中国の南シナ海、東シナ海の力による覇権拡大の実情を各国に認識させたことですね。中国の執拗な反論が、その成果を証明しているのですね。
2016/5/31 ザ・ボイス 有本香 ニュース解説「消費増税再延期 そして同日選も見送りへ」「4月の有効求人倍率 1.34倍に改善」など
宮家氏は、今回のサミットで、日本には二つの目的意識があった。ひとつは、(アジアで開催されるのだから)深い議論を欧州・大西洋だけでなく、アジア・太平洋方面の課題にまで広げること。もうひとつは、現職米大統領の被爆地訪問により日米同盟関係の新たな時代を開くことで、そのふたつはおおむね達成されたと説いておられるのですね。
そして、今回サミットの影の議題は中国だと。
なので、最大の成果は、先進7カ国(G7)として従来以上に明確な対中メッセージを発出できたことではないかとさえ。。
ウクライナへのロシアの力による侵攻には、経済制裁で対抗し、G8を、G7に変えた欧米諸国ですが、南シナ海や東シナ海の中国による力による覇権拡大には目をつぶって、貿易の拡大に走っています。英国は、王室を出汁にしてまでの媚中ぶりで、香港の自由を護った面影は全くなく、AIIBの設立では、率先して参加を表明し、多くの国が雪崩を打って参加するきっかけをつくり、香港での対立の咎を修復させられる始末でした。その英国政府の姿には、王室から不満の姿勢が垣間見られるのは、諸兄がご承知の通りです。
欧州のG7のメンバーが、中国の南シナ海や東シナ海の暴挙に無関心なのは、距離的に遠いからなのか、故意なのかはさておき、アジアの地に来ていただき、賢明な頭脳で集中して考えていただく時間が採れ、首脳宣言に、「海洋安全保障」と題し、「持続可能な海洋利用」「航行及び上空飛行の自由」の強調に加え、「国際法に基づく主張」「力や威圧を用いない」「仲裁を含む法的手続を通じたものを含む平和的な手段による紛争解決」が盛り込まれた意義は大きかったのですね。
アウトリーチに参加(朴槿恵は招待を断ってアフリカ旅行に出かけましたが)いただいた、アジア諸国は勿論、参加されなかった国々も、G7が中国の暴挙をけん制したことは、歓迎いただけたはずですね。
安倍政権が、重大な国際会議を、目的を持ってリードし成果をあげるという、日本の外交ではかつて見られなかった、実績を残したことは、日本の誇りとして語られることになりますし、今後の日本の世界への果たすべき役割への世界の眼も変化してくると期待されますね。
自民党総裁任期については、1986年に中曽根氏の任期を1年延長した実績があるのだそうですが、安倍総裁については、1年と言わず、2年でも3年でも特例の時限党規で延長していただきたいものです。(但し、日韓交渉で失政が顕著な岸田氏は交代が必要)
国際会議では、長期政権の首脳がリーダーシップをとれるのですから。
# 冒頭の画像は、伊勢志摩サミット・アウトリーチの一コマ
この花の名前は、スノーフレーク
↓よろしかったら、お願いします。
国際会議を日本の国益につなげて利用したとの非難については、利用するのは当然のこととさらりと流す有本香氏の言葉が正解ですね。
そして、昨日から今日にかけて騒がしく、与党内の亀裂と野党や反政府論を飯の種とするメディアが煽った消費税アップ再延期や内閣不信任。すんなり収まってしまいました。
そして、サミットの第二の成果は、欧州各国が関心の薄い、中国の南シナ海、東シナ海の力による覇権拡大の実情を各国に認識させたことですね。中国の執拗な反論が、その成果を証明しているのですね。
意義深い日本の「サミット外交」 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦 (5/31 産経 【正論】)
先週は久しぶりで世界の耳目が日本に集まった。日米首脳会談、伊勢志摩サミットからオバマ大統領広島訪問まで。正味わずか48時間弱ではあったが、戦後日本がかくも意義深き国際イベントを主催した例は他に記憶がない。
≪明確な対中メッセージを発出≫
今回は日本外交の歴史的成果と言ってよい。個人的にも、主要国首脳会議は1979年の東京サミット以来ご縁がある。外務省時代は日程や書類作りなど裏方だったが、その後日本代表団の一員となったこともある。
今回は某テレビ局の厚意でメディアとしてサミットを取材する機会を得た。メディアセンターのサービスは素晴らしかった。40回を超えるサミット参加で日本外交も随分鍛えられたものだと感じた。
日本のサミット主催は6回目だが、今回日本には明確な目的意識があったように思う。第1はサミットでの深い議論を欧州・大西洋だけでなく、アジア・太平洋方面の課題にまで広げること。第2は現職米大統領の被爆地訪問により日米同盟関係の新たな時代を開くことだ。今回これらは概(おおむ)ね達成されたと感じた。理由は次の通り。
今回サミットの影の議題は中国だ。されば最大の成果は、先進7カ国(G7)として従来以上に明確な対中メッセージを発出できたことではないか。その典型例は公式文書が経済面の鉄鋼過剰生産能力問題、政治面の東シナ海・南シナ海問題にそれぞれ言及したことだ。報道によれば、今回の首脳宣言に中国は「強烈不満、徹底反対」を表明したそうだが、こうした中国の反発こそが、今次サミット成功の証明なのかもしれない。
≪始まりは2014年だった≫
海洋安全保障に関する日本の問題意識には長い経緯がある。始まりは2014年5月のシャングリラ会合で安倍晋三首相が提唱した3原則、すなわち(1)主張は国際法に基づき(2)解決に力や威圧を用いず(3)平和的手段を追求すべし-というものだ。同年翌月のブリュッセル・サミット首脳宣言は日本の働き掛けで、「海洋航行及び飛行」に初めて言及し、「海洋秩序維持の重要性を再確認」「東シナ海・南シナ海での緊張を深く懸念」しつつ、「力による一方的な試みに反対」した。
クリミア問題での対露非難と比べれば決して強力なメッセージではない。欧州諸国は国境を接しない中国からの潜在的脅威を日本ほど感じないのか。だが日本はその後も努力を続けた。昨年の独エルマウ・サミット首脳宣言では「ルールを基礎とした海洋秩序の維持と海洋安全保障の達成」と題し、「海洋の自由利用」を重視し「威嚇、強制、武力の行使」や「大規模な埋立てを含む現状の変更を試みるいかなる一方的行動にも強く反対」と明記された。欧州諸国もようやくアジア海洋問題の深刻さを理解し始めたのだろうか。
さらに、今回の伊勢志摩サミット首脳宣言では「海洋安全保障」と題し、「持続可能な海洋利用」「航行及び上空飛行の自由」の強調に加え、「国際法に基づく主張」「力や威圧を用いない」「仲裁を含む法的手続を通じたものを含む平和的な手段による紛争解決」-に言及するなど、より踏み込んだ表現が盛り込まれたが、これは2年前の安倍3原則そのもの。日本が3原則を首脳宣言に反映させるのに2年掛かったのだ。これこそがサミット外交の神髄である。
周到な準備という点ではオバマ大統領広島訪問も同様だ。この種の訪問が今年になって突然浮上するはずはない。今回の広島訪問に至るプロセスも、その始まりは14年だった。
≪政権の安定こそが成功の要因≫
<中略>
今回のサミット成功の最大要因はズバリ、政権の安定だろう。調べてみたら、これまで日本が主催した5回の首脳会議の中で、自ら開催場所を決め、その翌年議長を務めた首相は1986年の中曽根康弘首相と93年の宮沢喜一首相の2人しかいない。要するに、毎年トップを交代させる国はサミットで主導権を握れないのだ。
最後に一言申し上げたい。今回筆者が夜半の生放送を終えてメディアセンターからタクシー乗り場まで歩いたとき、現場で徹夜警備に当たっていたのは京都府警の警察官たちだった。筆者は思わず「お疲れさまです」と声を掛けた。自分も裏方だったから、彼らの苦労が少しは分かるのだ。
今回サミットで、地元の関係者の方々や裏方を担った全ての関係省庁、特に、最前線で頑張った全国の警察組織と防衛省、海上保安庁の職員に対し、深甚なる敬意を表する。彼らの努力なしに成功はあり得なかったのだから。
先週は久しぶりで世界の耳目が日本に集まった。日米首脳会談、伊勢志摩サミットからオバマ大統領広島訪問まで。正味わずか48時間弱ではあったが、戦後日本がかくも意義深き国際イベントを主催した例は他に記憶がない。
≪明確な対中メッセージを発出≫
今回は日本外交の歴史的成果と言ってよい。個人的にも、主要国首脳会議は1979年の東京サミット以来ご縁がある。外務省時代は日程や書類作りなど裏方だったが、その後日本代表団の一員となったこともある。
今回は某テレビ局の厚意でメディアとしてサミットを取材する機会を得た。メディアセンターのサービスは素晴らしかった。40回を超えるサミット参加で日本外交も随分鍛えられたものだと感じた。
日本のサミット主催は6回目だが、今回日本には明確な目的意識があったように思う。第1はサミットでの深い議論を欧州・大西洋だけでなく、アジア・太平洋方面の課題にまで広げること。第2は現職米大統領の被爆地訪問により日米同盟関係の新たな時代を開くことだ。今回これらは概(おおむ)ね達成されたと感じた。理由は次の通り。
今回サミットの影の議題は中国だ。されば最大の成果は、先進7カ国(G7)として従来以上に明確な対中メッセージを発出できたことではないか。その典型例は公式文書が経済面の鉄鋼過剰生産能力問題、政治面の東シナ海・南シナ海問題にそれぞれ言及したことだ。報道によれば、今回の首脳宣言に中国は「強烈不満、徹底反対」を表明したそうだが、こうした中国の反発こそが、今次サミット成功の証明なのかもしれない。
≪始まりは2014年だった≫
海洋安全保障に関する日本の問題意識には長い経緯がある。始まりは2014年5月のシャングリラ会合で安倍晋三首相が提唱した3原則、すなわち(1)主張は国際法に基づき(2)解決に力や威圧を用いず(3)平和的手段を追求すべし-というものだ。同年翌月のブリュッセル・サミット首脳宣言は日本の働き掛けで、「海洋航行及び飛行」に初めて言及し、「海洋秩序維持の重要性を再確認」「東シナ海・南シナ海での緊張を深く懸念」しつつ、「力による一方的な試みに反対」した。
クリミア問題での対露非難と比べれば決して強力なメッセージではない。欧州諸国は国境を接しない中国からの潜在的脅威を日本ほど感じないのか。だが日本はその後も努力を続けた。昨年の独エルマウ・サミット首脳宣言では「ルールを基礎とした海洋秩序の維持と海洋安全保障の達成」と題し、「海洋の自由利用」を重視し「威嚇、強制、武力の行使」や「大規模な埋立てを含む現状の変更を試みるいかなる一方的行動にも強く反対」と明記された。欧州諸国もようやくアジア海洋問題の深刻さを理解し始めたのだろうか。
さらに、今回の伊勢志摩サミット首脳宣言では「海洋安全保障」と題し、「持続可能な海洋利用」「航行及び上空飛行の自由」の強調に加え、「国際法に基づく主張」「力や威圧を用いない」「仲裁を含む法的手続を通じたものを含む平和的な手段による紛争解決」-に言及するなど、より踏み込んだ表現が盛り込まれたが、これは2年前の安倍3原則そのもの。日本が3原則を首脳宣言に反映させるのに2年掛かったのだ。これこそがサミット外交の神髄である。
周到な準備という点ではオバマ大統領広島訪問も同様だ。この種の訪問が今年になって突然浮上するはずはない。今回の広島訪問に至るプロセスも、その始まりは14年だった。
≪政権の安定こそが成功の要因≫
<中略>
今回のサミット成功の最大要因はズバリ、政権の安定だろう。調べてみたら、これまで日本が主催した5回の首脳会議の中で、自ら開催場所を決め、その翌年議長を務めた首相は1986年の中曽根康弘首相と93年の宮沢喜一首相の2人しかいない。要するに、毎年トップを交代させる国はサミットで主導権を握れないのだ。
最後に一言申し上げたい。今回筆者が夜半の生放送を終えてメディアセンターからタクシー乗り場まで歩いたとき、現場で徹夜警備に当たっていたのは京都府警の警察官たちだった。筆者は思わず「お疲れさまです」と声を掛けた。自分も裏方だったから、彼らの苦労が少しは分かるのだ。
今回サミットで、地元の関係者の方々や裏方を担った全ての関係省庁、特に、最前線で頑張った全国の警察組織と防衛省、海上保安庁の職員に対し、深甚なる敬意を表する。彼らの努力なしに成功はあり得なかったのだから。
2016/5/31 ザ・ボイス 有本香 ニュース解説「消費増税再延期 そして同日選も見送りへ」「4月の有効求人倍率 1.34倍に改善」など
宮家氏は、今回のサミットで、日本には二つの目的意識があった。ひとつは、(アジアで開催されるのだから)深い議論を欧州・大西洋だけでなく、アジア・太平洋方面の課題にまで広げること。もうひとつは、現職米大統領の被爆地訪問により日米同盟関係の新たな時代を開くことで、そのふたつはおおむね達成されたと説いておられるのですね。
そして、今回サミットの影の議題は中国だと。
なので、最大の成果は、先進7カ国(G7)として従来以上に明確な対中メッセージを発出できたことではないかとさえ。。
ウクライナへのロシアの力による侵攻には、経済制裁で対抗し、G8を、G7に変えた欧米諸国ですが、南シナ海や東シナ海の中国による力による覇権拡大には目をつぶって、貿易の拡大に走っています。英国は、王室を出汁にしてまでの媚中ぶりで、香港の自由を護った面影は全くなく、AIIBの設立では、率先して参加を表明し、多くの国が雪崩を打って参加するきっかけをつくり、香港での対立の咎を修復させられる始末でした。その英国政府の姿には、王室から不満の姿勢が垣間見られるのは、諸兄がご承知の通りです。
欧州のG7のメンバーが、中国の南シナ海や東シナ海の暴挙に無関心なのは、距離的に遠いからなのか、故意なのかはさておき、アジアの地に来ていただき、賢明な頭脳で集中して考えていただく時間が採れ、首脳宣言に、「海洋安全保障」と題し、「持続可能な海洋利用」「航行及び上空飛行の自由」の強調に加え、「国際法に基づく主張」「力や威圧を用いない」「仲裁を含む法的手続を通じたものを含む平和的な手段による紛争解決」が盛り込まれた意義は大きかったのですね。
アウトリーチに参加(朴槿恵は招待を断ってアフリカ旅行に出かけましたが)いただいた、アジア諸国は勿論、参加されなかった国々も、G7が中国の暴挙をけん制したことは、歓迎いただけたはずですね。
安倍政権が、重大な国際会議を、目的を持ってリードし成果をあげるという、日本の外交ではかつて見られなかった、実績を残したことは、日本の誇りとして語られることになりますし、今後の日本の世界への果たすべき役割への世界の眼も変化してくると期待されますね。
自民党総裁任期については、1986年に中曽根氏の任期を1年延長した実績があるのだそうですが、安倍総裁については、1年と言わず、2年でも3年でも特例の時限党規で延長していただきたいものです。(但し、日韓交渉で失政が顕著な岸田氏は交代が必要)
国際会議では、長期政権の首脳がリーダーシップをとれるのですから。
# 冒頭の画像は、伊勢志摩サミット・アウトリーチの一コマ
この花の名前は、スノーフレーク
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