国民投票で、EU離脱が決まり、キャメロン政権を引き継いだメイ首相。EU離脱については、「ソフトブレグジット」(穏健離脱)と、「ハードブレグジット」(強硬離脱)について、国論が再び別れていましたが、17日方針演説を行い、EU単一市場からの撤退を表明し、「ハードブレグジット」を選択することを明らかにしました。
未練を断ち切る、英断ですね。
「ソフトブレグジット」か「ハードブレグジット」かで揺れる国内の一方で、EU側は、「(人、モノ、資本、サービスの移動という)四つの自由」という、基本理念にこだわり、離脱の続発を防ぐ為もかり、英国に対し原則論を貫いているのだそうです。
そこで、メイ首相はスッパリと、「ハードブレグジット」を選択されたのですね。いさぎよい明快な決断ですね。
EU側のかたくなな原則論維持姿勢で、英国は「ハードブレグジット」に追い込まれたとする見方もありますが、国内世論の「移民規制の実施」要望に応える、メイ首相の決断であって、グローバル化の自由経済より、国家の主権を尊重する選択でした。
「シングルパスポート」(単一免許制度)ルールを利用し、EU各国向けの自由貿易をめざし、英国に投資・進出を進めていた、日本企業は、「シングルパスポート」ルールのメリットを失うこととなりました。英政府が外国企業の海外移転を防ぐため政策実施をするのかしないのかは未明ですが、対応が迫られます。EU諸国向け輸出の為の工場進出をしている製造業は、苦しい状況に追い込まれますが、EU対英国のFTA交渉の成り行きを見守ることになります。
世界経済や各国への影響も懸念されますが、夫々がEUの縛りから解放され、英国の主権の下に実行可能となる面もあります。
対中貿易での出遅れを挽回しようと、積極的な接近を進めている英国。接近が加速されるのでしょうか。接近に留まればいいのですが、中国経済に飲み込まれてしまわないことを願います。
# 冒頭の画像は、英ロンドンで英国の欧州連合離脱に関する演説を行うテリーザ・メイ首相
センボンヤリ
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未練を断ち切る、英断ですね。
完全離脱貿易に打撃 英首相表明 高い関税 欧州経済停滞も (1/18 読売朝刊 スキャナー)
欧州連合(EU)からの離脱後も、高い水準の貿易自由化を維持しようとしてきた英国のメイ首相は17日、EU単一市場に残らない完全離脱の表明に追い込まれることになった。欧州など世界経済や企業の戦略に大きな影響が及びそうだ。(ロンドン 五十棲忠史、ブリュッセル 横堀裕也)
■対立引きずる
「英国はEUを離れる。独立した立場で、EUと対等な関係作りに取り組む」
メイ首相は今後の交渉方針をようやく明確にした。
英国はEU離脱の是非を巡って国論が二分し、残留派と離脱派が激しく対立した。昨年6月の国民投票で離脱が決まったものの、残留派は、緩やかな移民規制となるべく高い貿易の自由化を両立させる「ソフトブレグジット」(穏健離脱)を主張。離脱派は移民規制を重視し、EU単一市場から抜けることを辞さない「ハードブレグジット」(強硬離脱)を譲らず、国民投票での対立を引きずってきた。
これに対し、EUが「(人、モノ、資本、サービスの移動という)四つの自由」にこだわるのは、EU設立以来の統合の基本理念だからだ。英国に妥協すれば、他の加盟国からの様々な要望にも応じざるを得なくなり、英国を除く27か国の結束を損なう事態を恐れている。移民規制を掲げ「米国第一主義」を掲げるトランプ次期米大統領の登場で、欧州の結束を強める必要があるとの認識が各国で広がっている側面もある。EU側が折れない以上、英国はどこかのタイミングで、「移民規制の実施」か「自由貿易の維持」のどちらを重視するのか、選択する必要があった。
■0が10%に?
英国がEUから完全離脱すれば域内でゼロだった関税は、跳ね上がる懸念が強い。英国にとって重要な自動車産業の関税は10%程度まで上昇する可能性があり、英国の輸出に大きな打撃となる。EU側にとっても輸出に同水準の関税がかかるため、貿易が滞って経済に悪影響が及ぶのは必至だ。また、EUには域内のーか国で金融免許を取れば、他国でも事業展開できる「シングルパスポート」(単一免許制度)ルールがある。離脱すればEUへの窓口として英国を活用してきた海外金融機関が欧州大陸に事業拠点を移す懸念も強い。
■交渉に「5年」
離脱による悪影響を和らげるため、メイ首相は17日の演説で新たな英国の展望を示した。柱となるのは2国間の通商交渉を重視する戦略だ。EUとは関税なしで貿易できる関係をいったん解消するが、「英国は世界に開かれている」などと宣言し、関係の再構築に取り組む。米国や日本など、EUが通商協定を結んでいない国々との関係強化も行っていくとみられる。
ただ、EUとの再交渉は容易ではない。ロンドンの金融街「シティー・オブ・ロンドン」のアンドリュー・パームリー市長は「交渉は2年では終わらず、5年程度かかる」との予測を示す。EUとの新たな自由貿易協定締結は、2020年代半ばまでかかるとの見方もある。
日本企業 戦略見直し
英国がEUの単一市場からの撤退を含む「強硬離脱」に突き進めば、英国に拠点を置く日本企業も戦略の見直しを迫られる可能性が高い。
英国には約1000社の日系企業が進出している。英会計事務所によると、世界の主要企業約350社は、英国でのビジネスの魅力に「EU市場へのアクセスのしやすさ」を挙げた。
金融機関の場合、EU域内の1か国で金融免許を取れば、他の加盟国でも事業を展開できる。多くの金融機関はこれを利用し、金融街「シティー」があるロンドンを拠点に、他国でも業務を行ってきた。
英国に拠点を持つ三菱UFJフィナンシャル・グループは昨年11月、オランダの現地法人で欧州の統括機能を強化すると発表した。大手証券幹部は、「(英国のEU離脱で)具体的に影響が出れば、それに応じた選択肢を検討する」と話す。
製造業の場合は、英国で生産した製品をEUに輸出する際、関税がかけられる可能性がある。価格競争力の低下といった「逆風」にさらされるが、生産拠点を別の国に移すには巨額の費用もかかり、簡単ではない。
日立製作所の中西宏明会長は今月5日、今年の世界経済の不安要因として、「英国のEU離脱が決まり、今までのEUではあり得ないことが起こりうる」と危機感を示した。英中部に欧州の中核工場がある日産自動車は「利益が減る可能性も含め、様々な試算をしている」(関係者)としている。
日本総合研究所の藤山光雄氏は、「日本企業は『強硬離脱』に対応できる戦略を真剣に準備しておく必要がある。一方、英政府が外国企業の海外移転を防ぐための施策にも注意した方が良い」と指摘する。日本製薬工業協会の畑中好彦会長は17日の記者会見で、「(英国とEUによる離脱交渉の)動向を注視する」と述べたが、日本企業にとっては、気の休まらない状況が続きそうだ。 (経済部 市川大輔)
欧州連合(EU)からの離脱後も、高い水準の貿易自由化を維持しようとしてきた英国のメイ首相は17日、EU単一市場に残らない完全離脱の表明に追い込まれることになった。欧州など世界経済や企業の戦略に大きな影響が及びそうだ。(ロンドン 五十棲忠史、ブリュッセル 横堀裕也)
■対立引きずる
「英国はEUを離れる。独立した立場で、EUと対等な関係作りに取り組む」
メイ首相は今後の交渉方針をようやく明確にした。
英国はEU離脱の是非を巡って国論が二分し、残留派と離脱派が激しく対立した。昨年6月の国民投票で離脱が決まったものの、残留派は、緩やかな移民規制となるべく高い貿易の自由化を両立させる「ソフトブレグジット」(穏健離脱)を主張。離脱派は移民規制を重視し、EU単一市場から抜けることを辞さない「ハードブレグジット」(強硬離脱)を譲らず、国民投票での対立を引きずってきた。
これに対し、EUが「(人、モノ、資本、サービスの移動という)四つの自由」にこだわるのは、EU設立以来の統合の基本理念だからだ。英国に妥協すれば、他の加盟国からの様々な要望にも応じざるを得なくなり、英国を除く27か国の結束を損なう事態を恐れている。移民規制を掲げ「米国第一主義」を掲げるトランプ次期米大統領の登場で、欧州の結束を強める必要があるとの認識が各国で広がっている側面もある。EU側が折れない以上、英国はどこかのタイミングで、「移民規制の実施」か「自由貿易の維持」のどちらを重視するのか、選択する必要があった。
■0が10%に?
英国がEUから完全離脱すれば域内でゼロだった関税は、跳ね上がる懸念が強い。英国にとって重要な自動車産業の関税は10%程度まで上昇する可能性があり、英国の輸出に大きな打撃となる。EU側にとっても輸出に同水準の関税がかかるため、貿易が滞って経済に悪影響が及ぶのは必至だ。また、EUには域内のーか国で金融免許を取れば、他国でも事業展開できる「シングルパスポート」(単一免許制度)ルールがある。離脱すればEUへの窓口として英国を活用してきた海外金融機関が欧州大陸に事業拠点を移す懸念も強い。
■交渉に「5年」
離脱による悪影響を和らげるため、メイ首相は17日の演説で新たな英国の展望を示した。柱となるのは2国間の通商交渉を重視する戦略だ。EUとは関税なしで貿易できる関係をいったん解消するが、「英国は世界に開かれている」などと宣言し、関係の再構築に取り組む。米国や日本など、EUが通商協定を結んでいない国々との関係強化も行っていくとみられる。
ただ、EUとの再交渉は容易ではない。ロンドンの金融街「シティー・オブ・ロンドン」のアンドリュー・パームリー市長は「交渉は2年では終わらず、5年程度かかる」との予測を示す。EUとの新たな自由貿易協定締結は、2020年代半ばまでかかるとの見方もある。
日本企業 戦略見直し
英国がEUの単一市場からの撤退を含む「強硬離脱」に突き進めば、英国に拠点を置く日本企業も戦略の見直しを迫られる可能性が高い。
英国には約1000社の日系企業が進出している。英会計事務所によると、世界の主要企業約350社は、英国でのビジネスの魅力に「EU市場へのアクセスのしやすさ」を挙げた。
金融機関の場合、EU域内の1か国で金融免許を取れば、他の加盟国でも事業を展開できる。多くの金融機関はこれを利用し、金融街「シティー」があるロンドンを拠点に、他国でも業務を行ってきた。
英国に拠点を持つ三菱UFJフィナンシャル・グループは昨年11月、オランダの現地法人で欧州の統括機能を強化すると発表した。大手証券幹部は、「(英国のEU離脱で)具体的に影響が出れば、それに応じた選択肢を検討する」と話す。
製造業の場合は、英国で生産した製品をEUに輸出する際、関税がかけられる可能性がある。価格競争力の低下といった「逆風」にさらされるが、生産拠点を別の国に移すには巨額の費用もかかり、簡単ではない。
日立製作所の中西宏明会長は今月5日、今年の世界経済の不安要因として、「英国のEU離脱が決まり、今までのEUではあり得ないことが起こりうる」と危機感を示した。英中部に欧州の中核工場がある日産自動車は「利益が減る可能性も含め、様々な試算をしている」(関係者)としている。
日本総合研究所の藤山光雄氏は、「日本企業は『強硬離脱』に対応できる戦略を真剣に準備しておく必要がある。一方、英政府が外国企業の海外移転を防ぐための施策にも注意した方が良い」と指摘する。日本製薬工業協会の畑中好彦会長は17日の記者会見で、「(英国とEUによる離脱交渉の)動向を注視する」と述べたが、日本企業にとっては、気の休まらない状況が続きそうだ。 (経済部 市川大輔)
「ソフトブレグジット」か「ハードブレグジット」かで揺れる国内の一方で、EU側は、「(人、モノ、資本、サービスの移動という)四つの自由」という、基本理念にこだわり、離脱の続発を防ぐ為もかり、英国に対し原則論を貫いているのだそうです。
そこで、メイ首相はスッパリと、「ハードブレグジット」を選択されたのですね。いさぎよい明快な決断ですね。
EU側のかたくなな原則論維持姿勢で、英国は「ハードブレグジット」に追い込まれたとする見方もありますが、国内世論の「移民規制の実施」要望に応える、メイ首相の決断であって、グローバル化の自由経済より、国家の主権を尊重する選択でした。
「シングルパスポート」(単一免許制度)ルールを利用し、EU各国向けの自由貿易をめざし、英国に投資・進出を進めていた、日本企業は、「シングルパスポート」ルールのメリットを失うこととなりました。英政府が外国企業の海外移転を防ぐため政策実施をするのかしないのかは未明ですが、対応が迫られます。EU諸国向け輸出の為の工場進出をしている製造業は、苦しい状況に追い込まれますが、EU対英国のFTA交渉の成り行きを見守ることになります。
世界経済や各国への影響も懸念されますが、夫々がEUの縛りから解放され、英国の主権の下に実行可能となる面もあります。
対中貿易での出遅れを挽回しようと、積極的な接近を進めている英国。接近が加速されるのでしょうか。接近に留まればいいのですが、中国経済に飲み込まれてしまわないことを願います。
# 冒頭の画像は、英ロンドンで英国の欧州連合離脱に関する演説を行うテリーザ・メイ首相
センボンヤリ
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