封鎖解除で事態を打開したいウクライナに対し、ロシアは、欧米の対露経済制裁に同調しない中東・アフリカ諸国が、輸出停滞による食糧危機を回避できる程度に状況を改善させたい狙いがある。
ロシアとウクライナ、トルコ、国連の 4者は22日、トルコのイスタンブールで海上輸送の再開に向けた合意文書に署名しました。
ただし、個別の合意文書にそれぞれ署名。ロシアとウクライナの二国間の直接合意は実現しなかったのだそうです。
ウクライナから穀物輸出再開へ ウクライナとロシア合意「希望の光」 - BBCニュース
「調整センター」をイスタンブールに設置し、国連とトルコ、ロシア、ウクライナの代表が、船の安全な航行など合意の履行を監視。双方が合意すれば、合意は延長されるのだそうです。
黒海に設置された機雷を巡っては、撤去は行わず、ウクライナ側が安全な航行を確保するという。輸出拠点の南部オデーサを含む 3港からの輸出が再開される見通しだが、穀物の輸出開始までには数週間かかるとみられると。
ただ、ロシアはオデーサへのミサイル攻撃をけいぞくしており、戦闘行為を停止するかどうかは見通せない。米国務省のネッド・プライス報道官は21日の記者会見で、「大事なのは合意の履行だ。ロシアが履行の責任を果たす様に関係国と協力していく」と述べたとのこと。
封鎖解除で事態を打開したいウクライナに対し、ロシアは、欧米の対露経済制裁に同調しない中東・アフリカ諸国が、輸出停滞による食糧危機を回避できる程度に状況を改善させたい狙いがあるようだと読売。
ただ、合意文書の署名が行われても、黒海沖に露軍艦艇がとどまる状況は変わらないとみられ、船舶が露軍の攻撃を受ける懸念は残る。
ラブロフ露外相は、露外務省が22日公表したエジプトなどアフリカのメディアとのインタビューで、食糧危機に関し、「ロシアが飢餓を輸出しているとの欧米側のプロパガンダは全く根拠がない」と主張した。「ロシアはアフリカ諸国に食料や肥料など死活的に重要な物資を供給する義務を果たす」とも語っていますが。。
ロシア軍の黒海封鎖により、輸送代替ルートとしてルーマニアの港が活用されているのだそうです。
ルートにあたる国境地帯のドナウ川では、穀物を積んだ貨物船やはしけが行き交っていた。ウクライナの港からの安定的な輸出が担保されない限り、水路が命綱となる可能性があると、読売の笹子美奈子氏。
スリナ以北のウクライナ領海は戦闘が行われている上、機雷が浮かび、航行に危険が伴う。貨物船は領海に入らず、スリナから川を遡って国境を流れるドナウ川沿いのウクライナの港(イズマイールとレニ)に向かう。港で穀物を積み、再び川を下ってスリナを経由し、各国に輸送するのだそうです。
水路が活用されるのは、貨物列車やトラックによるが輸送量の点で劣る上に、積み替えに手間がかかるためだと笹子記者。
ウクライナから国境まで貨物列車で輸送されてきても、ウクライナの線路は旧ソ連規格のため、欧州規格のルーマニアやポーランドにはそのままでは乗り入れできない。トラックで積み替えるには、60台以上の大型車両と運転手が必要。
トラックの通関手続きは(数日単位の)時間もかかる。
水路は輸送量に加え、積み欝えが容易なのが利点だ。ドナウ川沿いの港では、貨物列車から船への積み替え時の設備が自動化されている。
もっとも、川を活用するルートは輸送量の面で海路に劣る。川底が浅いため、スリナに抜けるルートは1万2000トン級の船が限界。
それより大きな船は、照海に面したルーマニア最大の港湾都市コンスタンツァから輸送する。
ドナウ川沿いの港で貨物列車からはしけに積み荷を分散し、コンスタンツァでは、はしけで運ばれたトウモロコシを貨物船に積み替える作業が行われていた。取扱量が急に増え、設備をフル稼働しても追いつかない状況だと笹子氏。
港の管理運営会社のビオレル・パナイト社長(65)は「長期的に安定したルートを保護するのが最優先だ。」と話し、政府や国際機関による投資の必要性を訴えておられると。
ウクライナは農産物の輸出の約8割を海上輸送に依存していた。海上封鎖により、現在稼働する港はドナウ川沿いのイズマイールとレニの2港のみとなっている。
水路のルートでは、ルーマニアの港を活用するものに加え、7月中旬からウクライナ領海を一時的に通る新ルートが稼働しているのだそうです。
イズマイールとレニからドナウ川を経由してウクライナ側の河口を抜け、ルーマニア領海に入っていくルート。
ウクライナ軍が 6月末に露軍からズミイヌイ島を奪還したことで航行が可能となった。毎月50万トンの輸送が見込まれるとされるが、ルートの安全性が課題。
アフリカ諸国の食料確保や、世界の小麦関連価格高騰の鎮静化に、輸出ルートの運用が、安全に実行されることを願います。
安全運航にはウクライナがあたるとの事。本来なら国連軍があたればよい事ですが、常任理事国が被裁判国では、不可能!
対露制裁の解除に向け、ラブロフ氏がアフリカを歴訪するなど、中東・アフリカ諸国が、輸出停滞による食糧危機を回避できる程度に状況を改善させたいロシア。
多くはない、対露制裁反対派を失わない行動にも迫られていますね。
モンシロチョウ
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
ウクライナ 穀物輸出再開 署名へ 4者協議 合意文書 (7/23 読売朝刊)
【カイロ=上地洋実、ニューヨーク=寺口亮一】ロシア軍の黒海封鎖によりウクライナ産穀物の輸出が停滞している問題で、ロシアとウクライナ、トルコ、国連の4者は22日、トルコのイスタンブールで海上輸送の再開に向けた合意文書に署名した。ロシアのウクライナ侵略によって引き起こされた世界的な食糧危機の解決につながるかどうかが注目される。
トルコ大統領府などによると、署名式は22日夕(日本時間22日夜)を予定し、ロシアからセルゲイ・ショイグ国防相、ウクライナからオレクサンドル・クブラコフ・インフラ相が参加する。トルコのタイップ・エルドアン大統領と国連のアントニオ・グ手レス事務総長も同席する。
国連高官によると、合意文書には、ウクライナから穀物を運び出す輸送船の航路の安全確保を図る「調整センター」をイスタンブールに設置することや、ロシアとウクライナの双方が輸送船を攻撃しないことなどが盛り込まれる。黒海に設置された機雷を巡っては、撤去は行わず、ウクライナ側が安全な航行を確保するという。輸出拠点の南部オデーサを含む 3港からの輸出が再開される見通しだが、穀物の輸出開始までには数週間かかるとみられる。
ただ、ロシアはオデーサへのミサイル攻撃をけいぞくしており、戦闘行為を停止するかどうかは見通せない。米国務省のネッド・プライス報道官は21日の記者会見で、「大事なのは合意の履行だ。ロシアが履行の責任を果たす様に関係国と協力していく」と述べた。
ウクライナ「事態を打開」 露、中東・アフリカに配慮 (7/23 読売朝刊)
穀物輸出 期待と思惑
ロシア軍の黒海封鎖でウクライナ産穀物の輸出が停滞している問題は22日、部分的な輸出再開に向けた合意文書への署名が行われる見通しだ。封鎖解除で事態を打開したいウクライナに対し、ロシアは、欧米の対露経済制裁に同調しない中東・アフリカ諸国が、輸出停滞による食糧危機を回避できる程度に状況を改善させたい狙いがあるようだ。
ロシアは黒海に多数の艦隊を展開させ、船舶の自由な航行を阻止している。この結果、ウクライナは穀物の主要な輸出拠点の南部オデーサなどの港が使えなくなっており、ロシアに封鎖解除を強く求めている。
その後は穀物輸出ができない状況が続いており、大量の作物が行き場を失っている。こうした中、港を利用した輸出再開が部分的にも可能になれば、農業や経済を少しでも復旧させられる可能性がある。ただ、合意文書の署名が行われても、黒海沖に露軍艦艇がとどまる状況は変わらないとみられ、船舶が露軍の攻撃を受ける懸念は残る。
一方、ロシアは、対露経済制裁が長引く中、米欧と機に対する不安を払拭したい考えだ。
セルゲイ・ラブロフ露外相は、露外務省が22日公表したエジプトなどアフリカのメディアとのインタビューで、食糧危機に関し、「ロシアが飢餓を輸出しているとの欧米側のプロパガンダは全く根拠がない」と主張した。「ロシアはアフリカ諸国に食料や肥料など死活的に重要な物資を供給する義務を果たす」とも語った。
ラブロフ氏は24日からエジプトなどアフリカ 4か国を歴訪する予定で、自国産の穀物を売り込みつつ、対露制裁の解除に向けた国際世論の醸成を図るととみられる。
■黒海封鎖 代替路 生命線はドナウ川
ロシア軍の黒海封鎖によりウクライナの穀物輸出が停滞している問題で、ウクライナ領海を回避する輸送代替ルートとしてルーマニアの港が活用されている。ルートにあたる国境地帯のドナウ川では、穀物を積んだ貨物船やはしけが行き交っていた。ウクライナの港からの安定的な輸出が担保されない限り、水路が命綱となる可能性がある。(ルーマニア東部スリナ笹子美奈子)
貨物船急増 100隻通行許可待ち
2週間待機
7月上旬、ウクライナ国境に接するルーマニア東部スリナからボートで沖合に出ると、雷鳴のような音がとどろいた。「爆撃音さ」と船主は東の方角を見てつぶやいた。
約40キロ・メートル先のズミイヌイ(蛇)島では、制海権を巡ってウクライナと露軍が戦闘を繰り広げていた。爆撃音は街でも聞こえ、3日間の滞在中、何回も耳にした。
スリナ以北のウクライナ領海は戦闘が行われている上、機雷が浮かび、航行に危険が伴う。貨物船は領海に入らず、スリナから川を遡って国境を流れるドナウ川沿いのウクライナの港(イズマイールとレニ)に向かう。港で穀物を積み、再び川を下ってスリナを経由し、各国に輸送する。
沖合では、100隻以上が川の通行許可が出るのを待っていた。河川管理局によると、通行許可件数は昨年4月には69隻だったが、今年4月は170隻に急増した。事故防止のため、許可は1日12~14件しか下りない。待機日数は2日~2週間に及び、船員は沖合でミサイルや空爆の光を眺めながら許可を待つ。
貨物船の急増に地元は困惑している。スリナは欧州のアマゾンと呼ばれ、湿原に数百種の野鳥と魚が生息する世界遺産だ。ペリカンの繁殖地でもある。漁師のガブリエル・マティツァさん(43)は「おんぼろ船も通るようになった。水質が落ち、生態系が狂ってしまわないか」と心配する。
陸路は大渋滞
水路が活用されるのは、貨物列車やトラックによるが輸送量の点で劣る上に、積み替えに手間がかかるためだ。
ウクライナから国境まで貨物列車で輸送されてきても、ウクライナの線路は旧ソ連規格のため、欧州規格のルーマニアやポーランドにはそのままでは乗り入れできない。トラックで積み替えるには、60台以上の大型車両と運転手が必要だという。
トラックの通関手続きは時間もかかる。ルーマニア東部ガラツイに近いウクライナ国境を訪れると、約4キロ・メートル、113台の行列ができていた。気温34度の炎天下、運転手は上半身裸で沿道に出て風に当たっていた。
バディム・ボンダーリさん(28)は「入国の際、別の国境で6日かかると聞いてこっちに来たが、それでも3日かかった」と、真っ赤に日焼けした肌をさすりながら話した。
積み替え容易
水路は輸送量に加え、積み欝えが容易なのが利点だ。ドナウ川沿いの港では、貨物列車から船への積み替え時の設備が自動化されている。
もっとも、川を活用するルートは輸送量の面で海路に劣る。川底が浅いため、スリナに抜けるルートは1万2000トン級の船が限界だ。それより大きな船は、照海に面したルーマニア最人の港湾都市コンスタンツァから輸送する。ドナウ川沿いの港で貨物列車からはしけに積み荷を分散し、川を約300キロ・メートル運び、コンスタンツァで待機する大型貨物船に積み替える。
コンスタンツァでは、はしけで運ばれたトウモロコシを貨物船に積み替える作業が行われていた。取扱量が急に増え、設備をフル稼働しても追いつかない状況だ。だが、政府も民間事業者も設備増強には後ろ向きだ。戦争がいつ終わるか見通せず、投資にリスクが伴うからだ。
港の管理運営会社のビオレル・パナイト社長(65)は「長期的に安定したルートを保護するのが最優先だ。今決めて動かないと、もっと大きな請求書が後でくることになる」と話し、政府や国際機関による投資の必要性を訴える。
黒海に穀物輸送の「回廊」が設置されても、機雷のリスクなどで保険料がつり上がり、民間船舶は回避すると見る向きもある。船舶関係者はこう打ち明ける。
「ルーマニア領海ですらロケット弾やドローンの残骸が浮遊している。誰が危険な航路を選ぶのか」
ウクライナ領海 新ルートも
50万トン輸送見込み 安全性に疑問符
ウクライナは農産物の輸出の約8割を海上輸送に依存していた。海上封鎖により、現在稼働する港はドナウ川沿いのイズマイールとレニの2港のみとなっている。ルーマニア経由のほか、隣国ポーランド経由でバルト海まで陸路で運ぶルートもあるが、輸送量は限定的だ。ウクライナ南部オデーサには約2000万トンの穀物が行き場を失ったまま貯蔵されている。7月には今季の小麦の収穫が始まった。
水路のルートでは、ルーマニアの港を活用するものに加え、7月中旬からウクライナ領海を一時的に通る新ルートが稼働している。イズマイールとレニからドナウ川を経由してウクライナ側の河口を抜け、ルーマニア領海に入っていくルートだ。
このルートは、ウクライナ軍が 6月末に露軍からズミイヌイ島を奪還したことで航行が可能となった。毎月50万トンの輸送が見込まれるとされるが、ルートの安全性には疑問符がつく。
【カイロ=上地洋実、ニューヨーク=寺口亮一】ロシア軍の黒海封鎖によりウクライナ産穀物の輸出が停滞している問題で、ロシアとウクライナ、トルコ、国連の4者は22日、トルコのイスタンブールで海上輸送の再開に向けた合意文書に署名した。ロシアのウクライナ侵略によって引き起こされた世界的な食糧危機の解決につながるかどうかが注目される。
トルコ大統領府などによると、署名式は22日夕(日本時間22日夜)を予定し、ロシアからセルゲイ・ショイグ国防相、ウクライナからオレクサンドル・クブラコフ・インフラ相が参加する。トルコのタイップ・エルドアン大統領と国連のアントニオ・グ手レス事務総長も同席する。
国連高官によると、合意文書には、ウクライナから穀物を運び出す輸送船の航路の安全確保を図る「調整センター」をイスタンブールに設置することや、ロシアとウクライナの双方が輸送船を攻撃しないことなどが盛り込まれる。黒海に設置された機雷を巡っては、撤去は行わず、ウクライナ側が安全な航行を確保するという。輸出拠点の南部オデーサを含む 3港からの輸出が再開される見通しだが、穀物の輸出開始までには数週間かかるとみられる。
ただ、ロシアはオデーサへのミサイル攻撃をけいぞくしており、戦闘行為を停止するかどうかは見通せない。米国務省のネッド・プライス報道官は21日の記者会見で、「大事なのは合意の履行だ。ロシアが履行の責任を果たす様に関係国と協力していく」と述べた。
ウクライナ「事態を打開」 露、中東・アフリカに配慮 (7/23 読売朝刊)
穀物輸出 期待と思惑
ロシア軍の黒海封鎖でウクライナ産穀物の輸出が停滞している問題は22日、部分的な輸出再開に向けた合意文書への署名が行われる見通しだ。封鎖解除で事態を打開したいウクライナに対し、ロシアは、欧米の対露経済制裁に同調しない中東・アフリカ諸国が、輸出停滞による食糧危機を回避できる程度に状況を改善させたい狙いがあるようだ。
ロシアは黒海に多数の艦隊を展開させ、船舶の自由な航行を阻止している。この結果、ウクライナは穀物の主要な輸出拠点の南部オデーサなどの港が使えなくなっており、ロシアに封鎖解除を強く求めている。
その後は穀物輸出ができない状況が続いており、大量の作物が行き場を失っている。こうした中、港を利用した輸出再開が部分的にも可能になれば、農業や経済を少しでも復旧させられる可能性がある。ただ、合意文書の署名が行われても、黒海沖に露軍艦艇がとどまる状況は変わらないとみられ、船舶が露軍の攻撃を受ける懸念は残る。
一方、ロシアは、対露経済制裁が長引く中、米欧と機に対する不安を払拭したい考えだ。
セルゲイ・ラブロフ露外相は、露外務省が22日公表したエジプトなどアフリカのメディアとのインタビューで、食糧危機に関し、「ロシアが飢餓を輸出しているとの欧米側のプロパガンダは全く根拠がない」と主張した。「ロシアはアフリカ諸国に食料や肥料など死活的に重要な物資を供給する義務を果たす」とも語った。
ラブロフ氏は24日からエジプトなどアフリカ 4か国を歴訪する予定で、自国産の穀物を売り込みつつ、対露制裁の解除に向けた国際世論の醸成を図るととみられる。
■黒海封鎖 代替路 生命線はドナウ川
ロシア軍の黒海封鎖によりウクライナの穀物輸出が停滞している問題で、ウクライナ領海を回避する輸送代替ルートとしてルーマニアの港が活用されている。ルートにあたる国境地帯のドナウ川では、穀物を積んだ貨物船やはしけが行き交っていた。ウクライナの港からの安定的な輸出が担保されない限り、水路が命綱となる可能性がある。(ルーマニア東部スリナ笹子美奈子)
貨物船急増 100隻通行許可待ち
2週間待機
7月上旬、ウクライナ国境に接するルーマニア東部スリナからボートで沖合に出ると、雷鳴のような音がとどろいた。「爆撃音さ」と船主は東の方角を見てつぶやいた。
約40キロ・メートル先のズミイヌイ(蛇)島では、制海権を巡ってウクライナと露軍が戦闘を繰り広げていた。爆撃音は街でも聞こえ、3日間の滞在中、何回も耳にした。
スリナ以北のウクライナ領海は戦闘が行われている上、機雷が浮かび、航行に危険が伴う。貨物船は領海に入らず、スリナから川を遡って国境を流れるドナウ川沿いのウクライナの港(イズマイールとレニ)に向かう。港で穀物を積み、再び川を下ってスリナを経由し、各国に輸送する。
沖合では、100隻以上が川の通行許可が出るのを待っていた。河川管理局によると、通行許可件数は昨年4月には69隻だったが、今年4月は170隻に急増した。事故防止のため、許可は1日12~14件しか下りない。待機日数は2日~2週間に及び、船員は沖合でミサイルや空爆の光を眺めながら許可を待つ。
貨物船の急増に地元は困惑している。スリナは欧州のアマゾンと呼ばれ、湿原に数百種の野鳥と魚が生息する世界遺産だ。ペリカンの繁殖地でもある。漁師のガブリエル・マティツァさん(43)は「おんぼろ船も通るようになった。水質が落ち、生態系が狂ってしまわないか」と心配する。
陸路は大渋滞
水路が活用されるのは、貨物列車やトラックによるが輸送量の点で劣る上に、積み替えに手間がかかるためだ。
ウクライナから国境まで貨物列車で輸送されてきても、ウクライナの線路は旧ソ連規格のため、欧州規格のルーマニアやポーランドにはそのままでは乗り入れできない。トラックで積み替えるには、60台以上の大型車両と運転手が必要だという。
トラックの通関手続きは時間もかかる。ルーマニア東部ガラツイに近いウクライナ国境を訪れると、約4キロ・メートル、113台の行列ができていた。気温34度の炎天下、運転手は上半身裸で沿道に出て風に当たっていた。
バディム・ボンダーリさん(28)は「入国の際、別の国境で6日かかると聞いてこっちに来たが、それでも3日かかった」と、真っ赤に日焼けした肌をさすりながら話した。
積み替え容易
水路は輸送量に加え、積み欝えが容易なのが利点だ。ドナウ川沿いの港では、貨物列車から船への積み替え時の設備が自動化されている。
もっとも、川を活用するルートは輸送量の面で海路に劣る。川底が浅いため、スリナに抜けるルートは1万2000トン級の船が限界だ。それより大きな船は、照海に面したルーマニア最人の港湾都市コンスタンツァから輸送する。ドナウ川沿いの港で貨物列車からはしけに積み荷を分散し、川を約300キロ・メートル運び、コンスタンツァで待機する大型貨物船に積み替える。
コンスタンツァでは、はしけで運ばれたトウモロコシを貨物船に積み替える作業が行われていた。取扱量が急に増え、設備をフル稼働しても追いつかない状況だ。だが、政府も民間事業者も設備増強には後ろ向きだ。戦争がいつ終わるか見通せず、投資にリスクが伴うからだ。
港の管理運営会社のビオレル・パナイト社長(65)は「長期的に安定したルートを保護するのが最優先だ。今決めて動かないと、もっと大きな請求書が後でくることになる」と話し、政府や国際機関による投資の必要性を訴える。
黒海に穀物輸送の「回廊」が設置されても、機雷のリスクなどで保険料がつり上がり、民間船舶は回避すると見る向きもある。船舶関係者はこう打ち明ける。
「ルーマニア領海ですらロケット弾やドローンの残骸が浮遊している。誰が危険な航路を選ぶのか」
ウクライナ領海 新ルートも
50万トン輸送見込み 安全性に疑問符
ウクライナは農産物の輸出の約8割を海上輸送に依存していた。海上封鎖により、現在稼働する港はドナウ川沿いのイズマイールとレニの2港のみとなっている。ルーマニア経由のほか、隣国ポーランド経由でバルト海まで陸路で運ぶルートもあるが、輸送量は限定的だ。ウクライナ南部オデーサには約2000万トンの穀物が行き場を失ったまま貯蔵されている。7月には今季の小麦の収穫が始まった。
水路のルートでは、ルーマニアの港を活用するものに加え、7月中旬からウクライナ領海を一時的に通る新ルートが稼働している。イズマイールとレニからドナウ川を経由してウクライナ側の河口を抜け、ルーマニア領海に入っていくルートだ。
このルートは、ウクライナ軍が 6月末に露軍からズミイヌイ島を奪還したことで航行が可能となった。毎月50万トンの輸送が見込まれるとされるが、ルートの安全性には疑問符がつく。
ロシアとウクライナ、トルコ、国連の 4者は22日、トルコのイスタンブールで海上輸送の再開に向けた合意文書に署名しました。
ただし、個別の合意文書にそれぞれ署名。ロシアとウクライナの二国間の直接合意は実現しなかったのだそうです。
ウクライナから穀物輸出再開へ ウクライナとロシア合意「希望の光」 - BBCニュース
「調整センター」をイスタンブールに設置し、国連とトルコ、ロシア、ウクライナの代表が、船の安全な航行など合意の履行を監視。双方が合意すれば、合意は延長されるのだそうです。
黒海に設置された機雷を巡っては、撤去は行わず、ウクライナ側が安全な航行を確保するという。輸出拠点の南部オデーサを含む 3港からの輸出が再開される見通しだが、穀物の輸出開始までには数週間かかるとみられると。
ただ、ロシアはオデーサへのミサイル攻撃をけいぞくしており、戦闘行為を停止するかどうかは見通せない。米国務省のネッド・プライス報道官は21日の記者会見で、「大事なのは合意の履行だ。ロシアが履行の責任を果たす様に関係国と協力していく」と述べたとのこと。
封鎖解除で事態を打開したいウクライナに対し、ロシアは、欧米の対露経済制裁に同調しない中東・アフリカ諸国が、輸出停滞による食糧危機を回避できる程度に状況を改善させたい狙いがあるようだと読売。
ただ、合意文書の署名が行われても、黒海沖に露軍艦艇がとどまる状況は変わらないとみられ、船舶が露軍の攻撃を受ける懸念は残る。
ラブロフ露外相は、露外務省が22日公表したエジプトなどアフリカのメディアとのインタビューで、食糧危機に関し、「ロシアが飢餓を輸出しているとの欧米側のプロパガンダは全く根拠がない」と主張した。「ロシアはアフリカ諸国に食料や肥料など死活的に重要な物資を供給する義務を果たす」とも語っていますが。。
ロシア軍の黒海封鎖により、輸送代替ルートとしてルーマニアの港が活用されているのだそうです。
ルートにあたる国境地帯のドナウ川では、穀物を積んだ貨物船やはしけが行き交っていた。ウクライナの港からの安定的な輸出が担保されない限り、水路が命綱となる可能性があると、読売の笹子美奈子氏。
スリナ以北のウクライナ領海は戦闘が行われている上、機雷が浮かび、航行に危険が伴う。貨物船は領海に入らず、スリナから川を遡って国境を流れるドナウ川沿いのウクライナの港(イズマイールとレニ)に向かう。港で穀物を積み、再び川を下ってスリナを経由し、各国に輸送するのだそうです。
水路が活用されるのは、貨物列車やトラックによるが輸送量の点で劣る上に、積み替えに手間がかかるためだと笹子記者。
ウクライナから国境まで貨物列車で輸送されてきても、ウクライナの線路は旧ソ連規格のため、欧州規格のルーマニアやポーランドにはそのままでは乗り入れできない。トラックで積み替えるには、60台以上の大型車両と運転手が必要。
トラックの通関手続きは(数日単位の)時間もかかる。
水路は輸送量に加え、積み欝えが容易なのが利点だ。ドナウ川沿いの港では、貨物列車から船への積み替え時の設備が自動化されている。
もっとも、川を活用するルートは輸送量の面で海路に劣る。川底が浅いため、スリナに抜けるルートは1万2000トン級の船が限界。
それより大きな船は、照海に面したルーマニア最大の港湾都市コンスタンツァから輸送する。
ドナウ川沿いの港で貨物列車からはしけに積み荷を分散し、コンスタンツァでは、はしけで運ばれたトウモロコシを貨物船に積み替える作業が行われていた。取扱量が急に増え、設備をフル稼働しても追いつかない状況だと笹子氏。
港の管理運営会社のビオレル・パナイト社長(65)は「長期的に安定したルートを保護するのが最優先だ。」と話し、政府や国際機関による投資の必要性を訴えておられると。
ウクライナは農産物の輸出の約8割を海上輸送に依存していた。海上封鎖により、現在稼働する港はドナウ川沿いのイズマイールとレニの2港のみとなっている。
水路のルートでは、ルーマニアの港を活用するものに加え、7月中旬からウクライナ領海を一時的に通る新ルートが稼働しているのだそうです。
イズマイールとレニからドナウ川を経由してウクライナ側の河口を抜け、ルーマニア領海に入っていくルート。
ウクライナ軍が 6月末に露軍からズミイヌイ島を奪還したことで航行が可能となった。毎月50万トンの輸送が見込まれるとされるが、ルートの安全性が課題。
アフリカ諸国の食料確保や、世界の小麦関連価格高騰の鎮静化に、輸出ルートの運用が、安全に実行されることを願います。
安全運航にはウクライナがあたるとの事。本来なら国連軍があたればよい事ですが、常任理事国が被裁判国では、不可能!
対露制裁の解除に向け、ラブロフ氏がアフリカを歴訪するなど、中東・アフリカ諸国が、輸出停滞による食糧危機を回避できる程度に状況を改善させたいロシア。
多くはない、対露制裁反対派を失わない行動にも迫られていますね。
モンシロチョウ
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
ロシアは、穀物輸出再開合意の翌日、早速オデーサ港に攻撃。ロシアは攻撃の実施を認めました。ウクライナ軍の艦艇と、アメリカ提供の「ハープーン」対艦ミサイルを複数破壊と言い訳。
「農産物を載せた貨物船が航行中は、ロシア軍は黒海に面したウクライナの港を攻撃しない」との合意に抵触。
しかも、欧米の対露経済制裁に同調しない中東・アフリカ諸国が、輸出停滞による食糧危機を回避できる程度に状況を改善させたいとのアフリカ諸国の支持獲得目的を失うとは考えない?
プーチンの承認での攻撃か? 政府のコントロールが効かない前線部隊の暴走か?
いずれにしろ、輸出再開を待ち望むアフリカ諸国の反感を買う行為!
https://www.bbc.com/japanese/62281534