共産党中央党校の韓慶祥副学長の論文(事実上は共産党の論理)で、共産党の新しい闘争の標的に外国企業を取り上げたことが明らかにされたのだそうです。
日本を含む資本主義国では、外資の投資をどう呼び込むかに腐心しますし、中国でも小平の改革開放経済導入以来は同様の考えで来て今日の経済発展をなしえたのでした。
それがなんと、外国企業を闘争相手と定義したと言うのです。習近平も政権基盤が固まらない苦悩のなかで、頭が狂ったのでしょうか。それとも、根っからの経済音痴なのでしょうか。
「上海福喜食品」の現場の映像は、衝撃的な映像でしたが、査察の直後に隠していた肉を取り出すなど、テレビ局が盗撮ではなく堂々と撮影しているのに考えられない行動が次々と撮られていました。テレビ撮影に向かって「見つかったら取引停止」と言っているのは、バラエティ番組で、内緒だよと言いながらしゃべっているシーンを彷彿させました。いくら中国での常識が世界とは異なると言っても、テレビの撮影の前でそんなことを言ったり、堂々と撮らせるのはうさんくさいし、更にそれを世界中に公表をさせるのは、むしろ怪しいと思っていたのですが、その点を追求する声にはほとんど接していませんでした。
共産党の新たな闘争の「(国内)市場争奪戦」での、外国企業叩きを本気で始めたという狼煙だったのですね。
そしてその矛先は、既に日本企業にも向けられている様です。
中国、日本企業12社を調査、独禁法違反の疑いで近く制裁金 欧米メーカーも標的、“外資たたき”か - MSN産経ニュース
薄煕来の十八番の毛沢東回帰の「唱紅運動」を奪って、毛沢東回帰を唱える習近平。これまで発展してきた中国経済の屋台骨を揺るがす政策が目立ちます。
バブル崩壊の影が消えず、外資の投資が減ってきている中で、この政策。むしろ、外国資本の導入策をとることがあっても、外国資本をいじめる政策をとるとは...。
日本も、飛ぶ鳥をおとす勢いの頃、外資導入に消極的だったことを想いだしますが、その点も日本が辿った道を追いかけてきているのですね。
これで一段と海外企業からの投資が減れば、バブル崩壊の時期が近づくことになります。
日本企業で、チャイナプラスワン or 脱チャイナが進む中、サービス業では、市場の人口の多さに魅かれてまだ投資が増えているようですが、いざとなった時、なかなか脱出出来ない中国の規制。
石平氏の言う通りで、日本企業は「撤退」と、他の国への移転が急がれます。
# 冒頭の画像は、使用期限切れの肉を混入させる、「上海福喜食品」の現場
晩秋の雑木林
↓よろしかったら、お願いします。
日本を含む資本主義国では、外資の投資をどう呼び込むかに腐心しますし、中国でも小平の改革開放経済導入以来は同様の考えで来て今日の経済発展をなしえたのでした。
それがなんと、外国企業を闘争相手と定義したと言うのです。習近平も政権基盤が固まらない苦悩のなかで、頭が狂ったのでしょうか。それとも、根っからの経済音痴なのでしょうか。
外資叩きの危険な論理 (8/7 産経 【石平のChina Watch】)
先月23日、人民日報は共産党中央党校の韓慶祥副学長の論文を掲載した。「新しい闘争を深く理解せよ」と題するものである。
その中で韓氏は「イデオロギー闘争」「領土紛争」「反腐敗闘争」など共産党政権が直面する「8つの新しい闘争」を取り上げ、勝ち抜くために「国内外の敵」と徹底的に戦うことを党員幹部に呼びかけた。争いが好きな習近平政権の戦闘的姿勢を端的に示した一文である。
「8つの闘争」の1つとして、韓氏は「市場争奪戦」を挙げ、「わが国の巨大市場をめぐる西側諸国との争奪戦は一日もやんだことがない」と指摘した。
確かに彼の言う通り、中国に進出した西側の多くの企業は「13億の大市場」を狙って中国企業と熾烈(しれつ)な「争奪戦」を展開している。もちろんそれはあくまでも正常なビジネス活動で、普通の商業競争の範疇(はんちゅう)に属するものだ。
しかし、韓氏論文の論調は実に異様なものだ。彼は、中国市場における外資企業の通常のビジネス活動を「中国市場に対する争奪」だと捉えた上で、中国の政権党の立場から、それに対する「闘争」を宣した。
この論理からすれば、外資企業が中国市場で展開する競争・競合活動はすべて中国に対する「略奪行為」と見なされ、外資企業そのものが中国共産党の「闘争する」相手となるのである。
こう見ると、中央党校副学長の立場から書かれたこの論文は実質上、政権党から発された「外資企業叩(たた)き」の大号令となる。そして、まさにこの論文が掲載された先月下旬から中国当局による「外資企業叩き」が実際に始まった。
まずは同20日、上海テレビ局が米国系中国現地企業である上海福喜食品の「期限切れ鶏肉問題」を取り上げて大きく報じた。2日後には上海公安局が捜査を開始した。それに伴って国営メディアは問題の会社が米国企業の子会社であることを強調して、批判の矛先を「外資企業の品質管理問題」に向けた。
こうした中で、親会社の米企業だけでなく、最大の仕入れ先であるマクドナルドまでが謝罪に追い込まれた。マックの受けた経済的損失もさることながら、世界での信用失墜も深刻なものであった。
この一件において、上海福喜食品のやり方は当然許せるものではないが、多くの中国企業と比べれば特別に悪質というわけでもない。
にもかかわらず、国営テレビ局は異様な執念深さで丹念な潜入取材を行い、報道を受けて当局は間髪を入れず本格捜査を行った。その直後から国営メディアは「悪いのは外資だ」とのキャンペーンを一斉に始めた。同じ時期に発表された韓氏論文に照らしてみれば、どうやら中国当局は本気で、外資企業に対する「新しい闘争」を始めたようだ。
そして同28日、中国当局は突如、米マイクロソフトの中国各地の事務所に対する立ち入り調査を一斉に開始した。
マクドナルドとマイクロソフト、中国で絶大な人気を持つこの2つの代表的米企業がほぼ同時に捜査や調査の対象となったのを見れば、習政権の狙いが、外資企業の影響力を中国市場から一掃することが分かる。
次の問題は、中国はどうして米国系企業から一掃作戦を始めたのかであるが、答えは実に簡単だ。今や南シナ海紛争やサイバー攻撃の問題で中国批判を強めているオバマ政権に対して、習政権は別の側面からの反撃を行おうとしているのだ。
いずれにせよ、中国に進出している外資企業にとって、今後はまさに受難の時代の到来であるに違いない。
日本企業はこれから、「撤退」を本気で考えるべきではないか。
先月23日、人民日報は共産党中央党校の韓慶祥副学長の論文を掲載した。「新しい闘争を深く理解せよ」と題するものである。
その中で韓氏は「イデオロギー闘争」「領土紛争」「反腐敗闘争」など共産党政権が直面する「8つの新しい闘争」を取り上げ、勝ち抜くために「国内外の敵」と徹底的に戦うことを党員幹部に呼びかけた。争いが好きな習近平政権の戦闘的姿勢を端的に示した一文である。
「8つの闘争」の1つとして、韓氏は「市場争奪戦」を挙げ、「わが国の巨大市場をめぐる西側諸国との争奪戦は一日もやんだことがない」と指摘した。
確かに彼の言う通り、中国に進出した西側の多くの企業は「13億の大市場」を狙って中国企業と熾烈(しれつ)な「争奪戦」を展開している。もちろんそれはあくまでも正常なビジネス活動で、普通の商業競争の範疇(はんちゅう)に属するものだ。
しかし、韓氏論文の論調は実に異様なものだ。彼は、中国市場における外資企業の通常のビジネス活動を「中国市場に対する争奪」だと捉えた上で、中国の政権党の立場から、それに対する「闘争」を宣した。
この論理からすれば、外資企業が中国市場で展開する競争・競合活動はすべて中国に対する「略奪行為」と見なされ、外資企業そのものが中国共産党の「闘争する」相手となるのである。
こう見ると、中央党校副学長の立場から書かれたこの論文は実質上、政権党から発された「外資企業叩(たた)き」の大号令となる。そして、まさにこの論文が掲載された先月下旬から中国当局による「外資企業叩き」が実際に始まった。
まずは同20日、上海テレビ局が米国系中国現地企業である上海福喜食品の「期限切れ鶏肉問題」を取り上げて大きく報じた。2日後には上海公安局が捜査を開始した。それに伴って国営メディアは問題の会社が米国企業の子会社であることを強調して、批判の矛先を「外資企業の品質管理問題」に向けた。
こうした中で、親会社の米企業だけでなく、最大の仕入れ先であるマクドナルドまでが謝罪に追い込まれた。マックの受けた経済的損失もさることながら、世界での信用失墜も深刻なものであった。
この一件において、上海福喜食品のやり方は当然許せるものではないが、多くの中国企業と比べれば特別に悪質というわけでもない。
にもかかわらず、国営テレビ局は異様な執念深さで丹念な潜入取材を行い、報道を受けて当局は間髪を入れず本格捜査を行った。その直後から国営メディアは「悪いのは外資だ」とのキャンペーンを一斉に始めた。同じ時期に発表された韓氏論文に照らしてみれば、どうやら中国当局は本気で、外資企業に対する「新しい闘争」を始めたようだ。
そして同28日、中国当局は突如、米マイクロソフトの中国各地の事務所に対する立ち入り調査を一斉に開始した。
マクドナルドとマイクロソフト、中国で絶大な人気を持つこの2つの代表的米企業がほぼ同時に捜査や調査の対象となったのを見れば、習政権の狙いが、外資企業の影響力を中国市場から一掃することが分かる。
次の問題は、中国はどうして米国系企業から一掃作戦を始めたのかであるが、答えは実に簡単だ。今や南シナ海紛争やサイバー攻撃の問題で中国批判を強めているオバマ政権に対して、習政権は別の側面からの反撃を行おうとしているのだ。
いずれにせよ、中国に進出している外資企業にとって、今後はまさに受難の時代の到来であるに違いない。
日本企業はこれから、「撤退」を本気で考えるべきではないか。
「上海福喜食品」の現場の映像は、衝撃的な映像でしたが、査察の直後に隠していた肉を取り出すなど、テレビ局が盗撮ではなく堂々と撮影しているのに考えられない行動が次々と撮られていました。テレビ撮影に向かって「見つかったら取引停止」と言っているのは、バラエティ番組で、内緒だよと言いながらしゃべっているシーンを彷彿させました。いくら中国での常識が世界とは異なると言っても、テレビの撮影の前でそんなことを言ったり、堂々と撮らせるのはうさんくさいし、更にそれを世界中に公表をさせるのは、むしろ怪しいと思っていたのですが、その点を追求する声にはほとんど接していませんでした。
共産党の新たな闘争の「(国内)市場争奪戦」での、外国企業叩きを本気で始めたという狼煙だったのですね。
そしてその矛先は、既に日本企業にも向けられている様です。
中国、日本企業12社を調査、独禁法違反の疑いで近く制裁金 欧米メーカーも標的、“外資たたき”か - MSN産経ニュース
薄煕来の十八番の毛沢東回帰の「唱紅運動」を奪って、毛沢東回帰を唱える習近平。これまで発展してきた中国経済の屋台骨を揺るがす政策が目立ちます。
バブル崩壊の影が消えず、外資の投資が減ってきている中で、この政策。むしろ、外国資本の導入策をとることがあっても、外国資本をいじめる政策をとるとは...。
日本も、飛ぶ鳥をおとす勢いの頃、外資導入に消極的だったことを想いだしますが、その点も日本が辿った道を追いかけてきているのですね。
これで一段と海外企業からの投資が減れば、バブル崩壊の時期が近づくことになります。
日本企業で、チャイナプラスワン or 脱チャイナが進む中、サービス業では、市場の人口の多さに魅かれてまだ投資が増えているようですが、いざとなった時、なかなか脱出出来ない中国の規制。
石平氏の言う通りで、日本企業は「撤退」と、他の国への移転が急がれます。
# 冒頭の画像は、使用期限切れの肉を混入させる、「上海福喜食品」の現場
晩秋の雑木林
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