遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

比の南シナ海監視強化に、退役海自練習機を貸与

2016-02-29 23:58:58 | EEZ 全般
 フィリピンは、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島の領海に進出する中国と対立し、常設仲裁裁判所に提訴していることは諸兄がご承知の通りです。
 日本政府は、中国に比べ装備面で格段に劣るASEAN諸国の警戒・監視能力の向上を支援し、ベトナムやフィリピンに対し、ODAを活用した巡視船の供与などを進めています。
 フィリピン軍は、国内の反乱鎮圧対応が目的で、海外からの侵略への対応能力は薄く、スプラトリー(南沙)諸島全域の監視能力を持たず、広範囲で活動できる航空機を求めていたのだそうですが、日本政府は、退役した海上自衛隊の練習機「TC90」をフィリピン海軍に貸与する方針を固めたとのことです。

 
【南シナ海問題】中国さらに逆風 仲裁裁判所、中国の主張退ける フィリピンの要求 本格審理入り - 産経ニュース
 
海自機 比海軍へ貸与 政府方針 南シナ海監視支援 (2/29 読売朝刊)

 政府は、退役した海上自衛隊の練習機(航空機)「TC90」をフィリピン海軍に貸与する方針を固めた。フィリピン側は、中国による南シナ海での海洋進出の動きに対し、空からの警戒・監視に利用
する。日・フィリピン両政府は、今春にも貸与で合意する見通しだ。
 フィリピン海軍が警戒・監視に利用する航空機は、行動半径が約300キロと狭く、「中国が進出する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島全域を監視して戻ってくることは難しい」(政府筋)という。
フィリピンは南沙諸島のスービ礁、ミスチーフ礁などで中国と対立しており、広範囲で活動できる航空機を求めていた

 
TC90の行動半径はフィリピン軍機の2倍以上で、南沙諸島の大半をカバーできるという。練習機であるTC90には、レーダー類などがほとんど搭載されておらず、フィリピン海軍が当面、目視による警戒・監視に利用
するとみられる。
 貸与に先立ち、日本、フィリピン両政府は今月29日、防衛装備品・技術移転協定を締結する。中谷防衛相が今春にもフィリピンを訪問し、貸与で正式合意する。貸与されるTC90は、配備期間を過ぎた「中古品」で、最大5機となる見通しだ。
 
日本政府は従来、中国に比べ装備面で格段に劣る東南アジア諸国連合(ASEAN)の警戒・監視能力の向上を支援してきた
。ベトナムやフィリピンに対し、政府開発援助(ODA)を活用した巡視船の供与などを進めている。
 しかし、ODAは非軍事分野に限定されるため、海自の装備品であるTC90には適用できず、2014年4月に閣議決定した武器輸出を原則認めた防衛装備移転3原則に基づく貸与となる。フィリピン政府は可能な限り安価な提供を求めていたが、日本の現行法では、TC90のような国有財産を他国に無償で提供することは困難であるため、今回の貸与には「リース契約」を採用することとした。フィリピン側の負担は、年間数百万円程度とみられている。

中国けん制 連携強化
 日本政府は、中古の練習用航空機とはいえ、軍事分野である自衛隊装備品を、フィリピンに貸与する。海上保安庁で使う巡視船の供与など
非軍事分野での支援と比べ、大きく踏み込んだ中国による南シナ海での軍事拠点化の動きは、日本にとっても安全保障上の脅威であり、妥当な判断
といえる。
 装備品の貸与には、政府の防衛装備移転3原則に基づく協定が必要だ。ASEANでは、29日に協定を締結するフィリピン以外、日本が協定を結んだ国はない。安価に装備品を提供するための特別措置法など国内法整備も不十分だ。
 
中国の海洋進出をけん制するには、米国だけでなくASEANとの連携が極めて重要だ。政府は、国民に装備品支援の必要性を丁寧に説明しながら、法整備などを進めるべきだろう。(政治部 石田浩之)

 フィリピン海軍が警戒・監視に利用する航空機は、行動半径が狭く、スプラトリー(南沙)諸島全域を監視して戻ってくることが難しいのだそうですが、TC90の行動半径はフィリピン軍機の2倍以上で、南沙諸島の大半をカバーできるのだそうです。

 中国が、南シナ海に人口島を建設し、国際海洋法に反して領土と宣言し、南シナ海全域を領海や防空識別圏化宣言すべく、戦闘機やミサイルの配備を進めていることは衆知のことで、日米で、侵略されているフィリピンやベトナムを支援しています。勿論、重要なシーレーンの航行の自由を確保することは、日本にとってもエネルギー安全保障等重要な課題です。日本が直接出かけて安全を確保する以前に、現地の関連国が安全確保をする支援を先行させることは、合理的で必要な戦術ですね。

 
中国、南シナ海の地対空ミサイル配備の島に戦闘機を派遣 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
 
米 中国の南シナ海への防空識別圏設定を警戒 NHKニュース 2月26日 10時42分

 アメリカ太平洋軍の司令官は、中国が3年前に東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したのに続いて、南シナ海でも防空識別圏を設定する可能性に警戒感を示したうえで、アメリカ政府として中国側に設定をしないよう求めたことを明らかにしました。
 南シナ海では今月、中国が
南沙(スプラトリー)諸島に造成する人工島で、滑走路に加えて新たなレーダー施設の整備を進めていることが明らかになるなど、中国の軍事的な活動が活発化
しています。
 こうしたなか、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は25日、国防総省で記者会見し、「中国が防空識別圏を宣言する可能性について懸念している」と述べて、中国が南シナ海で防空識別圏の設定に踏み込むことに警戒感を示しました。そのうえで、防空識別圏の設定は挑発的であり、地域を不安定化させるとして、数日前にケリー国務長官が中国政府に設定をしないよう求めたことを明らかにしました。
 また、ハリス司令官は2013年に中国が東シナ海で、沖縄県の尖閣諸島を含む広い範囲に防空識別圏を設定した際には、アメリカ軍は無視をしたとして、仮に南シナ海で防空識別圏が設定されても同様の対応を取るという姿勢を強調しました。
 さらに人工島の周辺など中国が実効支配を強める海域で、アメリカ海軍の艦艇を航行させる
「航行の自由作戦」については今後、航空機や複数の艦艇を投入することもありうるという考えを示しました。

 海自の装備品=武器であることへの日本の国内法への合法性、少ない予算のフィリピンの台所の両方に対応するべく、リース契約で対応する策を採用するのだそうですが、2014年4月に閣議決定した武器輸出を原則認めた防衛装備移転3原則があったればこそ出来たことなのですね。
 アジアの雄としての役割を期待される日本。関連諸国の期待に応えることが出来る様、国際金融(AIIBとの対抗)も含め、安全保障(装備、インフラ)面でも、可能性を高めて米、豪、印などと連携し、中国の覇権拡大をけん制していく必要が増えてきますが、こうした当事国への支援の道の拡大・充実も求められます。
 勿論、東シナ海では日本が当事国です。



 # 冒頭の画像は、TC-90 練習機




  カリガネソウと蜂


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Fotolia


続 中国の海洋戦略




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