国際刑事裁判所(ICC)が17日、ロシアのプーチン大統領に対する逮捕状を出し、ウクライナ侵略を巡る戦争犯罪の追及が本格化したと、産経・パリ支局長の、三井美奈氏。
ICCのカーン主任検察官は17日、逮捕状は「初めの一歩」と述べ、民間人400人以上の遺体が見つかったウクライナの首都キーウ近郊ブチャの惨劇に言及、今後、さらなる逮捕状の請求を目指す構えなのだそうです。
ウクライナ侵略を巡るICC初の逮捕状で子供の連れ去りに焦点を当てたのは、写真や公文書などの証拠が豊富で、プーチン氏の責任を立証しやすいと判断したためとみられると、三井支局長。
プーチン氏は昨年、ウクライナの子供へのロシア市民権付与を進める政令に署名。
大統領が占領地からの体系的な拉致を止めるどころか、促進していた状況が浮かび上がっていた。
ICCは容疑者を逮捕する警察機構を持たず、国際社会の協力を頼みとする。ロシアはICC非加盟で、拘束は見込めない。
それでも、逮捕状発行の意義は少なくないと、三井支局長。
ICCは逮捕状を公開したことについて、進行中のウクライナ侵略で「さらなる犯罪行為を防ぐため」だと説明。
さらに、「国家元首であっても免責されない」と示すことで、ロシア軍の戦争犯罪を抑止する効果も狙っているとも。
中国の習近平国家主席は「和平を促す」として20日にロシアを訪問する予定だが、出ばなをくじかれた。戦犯容疑者であるプーチン氏と握手すれば、習氏にも「国際法の軽視」という負のイメージがつきまとうことになると、三井支局長。
ゼレンスキー大統領は、プーチン氏を侵略罪で訴追することに強い執念を見せ、「ICCとは別に新たな国際法廷が必要」と訴えているのだそうです。
▽民間人への残虐行為は国内法廷
▽拉致などの組織的犯罪はICC
▽侵略罪は特別法廷
で裁くという「三つの法廷」構想を描いていると。
特別法廷にこだわるのは、ICCが侵略罪でプーチン氏を裁けないためだ。ICC規定で侵略罪は訴追条件が厳しく限定され、非加盟国ロシアに管轄権が及ばない。国連安全保障理事会の決議があれば訴追可能だが、常任理事国のロシアが拒否権を発動するのは目に見えている。
特別法廷には欧州連合(EU)欧州委員会のほか、バルト諸国やドイツ、カナダが賛意を示す。だが、新たな国際法廷設置はICCと競合することになりかねず、慎重論も強い。米国は態度を明確にしておらず、国際的な合意には至っていないと、三井支局長。
逮捕状の発行が、プーチンの侵略戦争終結への一歩となることを願いますが、逮捕状の執行組織(国連軍内?)が必要ですね。
# 冒頭の画像は、プーチン大統領
この花の名前は、スイセン・オブバラリス
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
露大統領追及へ「最初の一歩」 ウクライナ、侵略罪も目指す - 産経ニュース2023/3/18 17:00 三井 美奈
【パリ=三井美奈】国際刑事裁判所(ICC)が17日、ロシアのプーチン大統領に対する逮捕状を出し、ウクライナ侵略を巡る戦争犯罪の追及が本格化した。民間人虐殺や拷問、レイプなどの蛮行で、指導者の責任をどこまで立証できるかが問われる。ウクライナ政府は、ロシアの侵略罪を裁く特別法廷の設置を求めており、国際社会の合意作りを急いでいる。
■いきなり元首に逮捕状
ICCのカーン主任検察官は17日、逮捕状は「初めの一歩」と述べ、民間人400人以上の遺体が見つかったウクライナの首都キーウ近郊ブチャの惨劇に言及した。今後、さらなる逮捕状の請求を目指す構えだ。
ウクライナ侵略を巡るICC初の逮捕状で子供の連れ去りに焦点を当てたのは、写真や公文書などの証拠が豊富で、プーチン氏の責任を立証しやすいと判断したためとみられる。
プーチン氏は昨年、ウクライナの子供へのロシア市民権付与を進める政令に署名。リボワベロワ大統領全権代表が養子縁組を進める様子は大統領府が宣伝し、テレビでも取り上げられた。大統領が占領地からの体系的な拉致を止めるどころか、促進していた状況が浮かび上がる。
米エール大が発表した報告書によると、子供たちはロシアの約40施設に収容され、愛国教育や軍事訓練を受けさせられていた。組織的犯罪だと示せれば、ICCは「人道に対する罪」での立件も可能になる。
■中国、困った立場に
ICCは容疑者を逮捕する警察機構を持たず、国際社会の協力を頼みとする。ロシアはICC非加盟で、拘束は見込めない。
それでも、逮捕状発行の意義は少なくない。
ICCは逮捕状を公開したことについて、進行中のウクライナ侵略で「さらなる犯罪行為を防ぐため」だと説明した。「国家元首であっても免責されない」と示すことで、ロシア軍の戦争犯罪を抑止する効果を狙っている。ロシアでプーチン氏の威信失墜を促す効果も見込める。
外交にも影響は広がる。
中国の習近平国家主席は「和平を促す」として20日にロシアを訪問する予定だが、出ばなをくじかれた。戦犯容疑者であるプーチン氏と握手すれば、習氏にも「国際法の軽視」という負のイメージがつきまとうことになる。
■「三つの法廷」構想
ウクライナのゼレンスキー大統領は、プーチン氏を侵略罪で訴追することに強い執念を見せ、「ICCとは別に新たな国際法廷が必要」と訴えている。▽民間人への残虐行為は国内法廷▽拉致などの組織的犯罪はICC▽侵略罪は特別法廷-で裁くという「三つの法廷」構想を描く。
特別法廷にこだわるのは、ICCが侵略罪でプーチン氏を裁けないためだ。ICC規定で侵略罪は訴追条件が厳しく限定され、非加盟国ロシアに管轄権が及ばない。国連安全保障理事会の決議があれば訴追可能だが、常任理事国のロシアが拒否権を発動するのは目に見えている。
特別法廷には欧州連合(EU)欧州委員会のほか、バルト諸国やドイツ、カナダが賛意を示す。だが、新たな国際法廷設置はICCと競合することになりかねず、慎重論も強い。米国は態度を明確にしておらず、国際的な合意には至っていない。
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三井 美奈(みつい みな、1967年 - ) 奈良県生まれ。1989年一橋大学社会学部卒業、読売新聞社入社。1998年ブリュッセル支局特派員。2006年エルサレム支局長。ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員、国際部デスクを経て、2011年パリ支局長。2015年国際部デスク。2016年産経新聞社入社、外信部編集委員。2017年パリ支局長
【パリ=三井美奈】国際刑事裁判所(ICC)が17日、ロシアのプーチン大統領に対する逮捕状を出し、ウクライナ侵略を巡る戦争犯罪の追及が本格化した。民間人虐殺や拷問、レイプなどの蛮行で、指導者の責任をどこまで立証できるかが問われる。ウクライナ政府は、ロシアの侵略罪を裁く特別法廷の設置を求めており、国際社会の合意作りを急いでいる。
■いきなり元首に逮捕状
ICCのカーン主任検察官は17日、逮捕状は「初めの一歩」と述べ、民間人400人以上の遺体が見つかったウクライナの首都キーウ近郊ブチャの惨劇に言及した。今後、さらなる逮捕状の請求を目指す構えだ。
ウクライナ侵略を巡るICC初の逮捕状で子供の連れ去りに焦点を当てたのは、写真や公文書などの証拠が豊富で、プーチン氏の責任を立証しやすいと判断したためとみられる。
プーチン氏は昨年、ウクライナの子供へのロシア市民権付与を進める政令に署名。リボワベロワ大統領全権代表が養子縁組を進める様子は大統領府が宣伝し、テレビでも取り上げられた。大統領が占領地からの体系的な拉致を止めるどころか、促進していた状況が浮かび上がる。
米エール大が発表した報告書によると、子供たちはロシアの約40施設に収容され、愛国教育や軍事訓練を受けさせられていた。組織的犯罪だと示せれば、ICCは「人道に対する罪」での立件も可能になる。
■中国、困った立場に
ICCは容疑者を逮捕する警察機構を持たず、国際社会の協力を頼みとする。ロシアはICC非加盟で、拘束は見込めない。
それでも、逮捕状発行の意義は少なくない。
ICCは逮捕状を公開したことについて、進行中のウクライナ侵略で「さらなる犯罪行為を防ぐため」だと説明した。「国家元首であっても免責されない」と示すことで、ロシア軍の戦争犯罪を抑止する効果を狙っている。ロシアでプーチン氏の威信失墜を促す効果も見込める。
外交にも影響は広がる。
中国の習近平国家主席は「和平を促す」として20日にロシアを訪問する予定だが、出ばなをくじかれた。戦犯容疑者であるプーチン氏と握手すれば、習氏にも「国際法の軽視」という負のイメージがつきまとうことになる。
■「三つの法廷」構想
ウクライナのゼレンスキー大統領は、プーチン氏を侵略罪で訴追することに強い執念を見せ、「ICCとは別に新たな国際法廷が必要」と訴えている。▽民間人への残虐行為は国内法廷▽拉致などの組織的犯罪はICC▽侵略罪は特別法廷-で裁くという「三つの法廷」構想を描く。
特別法廷にこだわるのは、ICCが侵略罪でプーチン氏を裁けないためだ。ICC規定で侵略罪は訴追条件が厳しく限定され、非加盟国ロシアに管轄権が及ばない。国連安全保障理事会の決議があれば訴追可能だが、常任理事国のロシアが拒否権を発動するのは目に見えている。
特別法廷には欧州連合(EU)欧州委員会のほか、バルト諸国やドイツ、カナダが賛意を示す。だが、新たな国際法廷設置はICCと競合することになりかねず、慎重論も強い。米国は態度を明確にしておらず、国際的な合意には至っていない。
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三井 美奈(みつい みな、1967年 - ) 奈良県生まれ。1989年一橋大学社会学部卒業、読売新聞社入社。1998年ブリュッセル支局特派員。2006年エルサレム支局長。ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員、国際部デスクを経て、2011年パリ支局長。2015年国際部デスク。2016年産経新聞社入社、外信部編集委員。2017年パリ支局長
ICCのカーン主任検察官は17日、逮捕状は「初めの一歩」と述べ、民間人400人以上の遺体が見つかったウクライナの首都キーウ近郊ブチャの惨劇に言及、今後、さらなる逮捕状の請求を目指す構えなのだそうです。
ウクライナ侵略を巡るICC初の逮捕状で子供の連れ去りに焦点を当てたのは、写真や公文書などの証拠が豊富で、プーチン氏の責任を立証しやすいと判断したためとみられると、三井支局長。
プーチン氏は昨年、ウクライナの子供へのロシア市民権付与を進める政令に署名。
大統領が占領地からの体系的な拉致を止めるどころか、促進していた状況が浮かび上がっていた。
ICCは容疑者を逮捕する警察機構を持たず、国際社会の協力を頼みとする。ロシアはICC非加盟で、拘束は見込めない。
それでも、逮捕状発行の意義は少なくないと、三井支局長。
ICCは逮捕状を公開したことについて、進行中のウクライナ侵略で「さらなる犯罪行為を防ぐため」だと説明。
さらに、「国家元首であっても免責されない」と示すことで、ロシア軍の戦争犯罪を抑止する効果も狙っているとも。
中国の習近平国家主席は「和平を促す」として20日にロシアを訪問する予定だが、出ばなをくじかれた。戦犯容疑者であるプーチン氏と握手すれば、習氏にも「国際法の軽視」という負のイメージがつきまとうことになると、三井支局長。
ゼレンスキー大統領は、プーチン氏を侵略罪で訴追することに強い執念を見せ、「ICCとは別に新たな国際法廷が必要」と訴えているのだそうです。
▽民間人への残虐行為は国内法廷
▽拉致などの組織的犯罪はICC
▽侵略罪は特別法廷
で裁くという「三つの法廷」構想を描いていると。
特別法廷にこだわるのは、ICCが侵略罪でプーチン氏を裁けないためだ。ICC規定で侵略罪は訴追条件が厳しく限定され、非加盟国ロシアに管轄権が及ばない。国連安全保障理事会の決議があれば訴追可能だが、常任理事国のロシアが拒否権を発動するのは目に見えている。
特別法廷には欧州連合(EU)欧州委員会のほか、バルト諸国やドイツ、カナダが賛意を示す。だが、新たな国際法廷設置はICCと競合することになりかねず、慎重論も強い。米国は態度を明確にしておらず、国際的な合意には至っていないと、三井支局長。
逮捕状の発行が、プーチンの侵略戦争終結への一歩となることを願いますが、逮捕状の執行組織(国連軍内?)が必要ですね。
# 冒頭の画像は、プーチン大統領
この花の名前は、スイセン・オブバラリス
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA