いま、中国各地で5年に1度の人民代表大会(地方議会)選挙が行われていて、前回の10倍に当たる数十万人の独立系候補が出馬しようとしていることを書いていました。
その後の成り行きが注目されていましたが、読売が近況を伝えていました。
やはり、当局は一党独裁への脅威になるとみなし、なりふり構わぬ妨害を行っている様で、逮捕され立候補申請が出来なかったり、立候補の資格審査ではじかれたりしているようです。
中国の地方選挙 独立系候補が数十万人に急増 - 遊爺雑記帳
開発に伴う強制立ち退きへの不満、民主化要求など政府への不満を、選挙制度の法に則ったかたちでの権利主張という、デモや暴動などの直接行動ではない成熟した行動は、政府に危機感を高めさせたようですね。
北京では、実績のあった候補も今回はふるいにかけられ、独立系候補者はゼロになったと。
ついには、全人代法制工作委員会が6月8日に「独立(無党派)候補に法的根拠はない」と公式表明する始末。
強制立ち退き、民工の不当低遇反発、貧富格差、学卒者の雇用不安、民主化要求など、ふつふつと高まる不満への対処は、強権発動での抑え込み。
経済成長がもたらした課題ですが、経済成長が続いているから暴発には至っていないとも言えます。バブルがはじけると言われ続けながらも、最低目標のGDP 7%以上の成長を続けていますが、この停滞が発生した時が、強権での抑え込みが効かなくなる時ですね。
欧州の金融危機で、欧州や米国、日本に向けた輸出が低迷すれば、その時が現実味を強めてきます。
そしてその時、強権で抑えられなくなった習金平政権は、江沢民と同じく反日というガス抜き装置の封を解き、南シナ海同様に、東シナ海への覇権拡大で国民の眼を晦ますのでしょう。
中国に依存している日本経済(輸出入)は、成長が著しいアジアの諸国へとシフトを始める時期が来ている予感がします。
ならば、中国に先駆けたアジアの経済の主導権を得るべく、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)につなげるTPPに参加すべきでしょう。
# 冒頭の写真は、中国の地方選挙の民主化に取り組む活動家、姚立法氏
キクバヤマボクチの蕾 (撮影場所=六甲高山植物園)
↓よろしかったら、お願いします。
その後の成り行きが注目されていましたが、読売が近況を伝えていました。
やはり、当局は一党独裁への脅威になるとみなし、なりふり構わぬ妨害を行っている様で、逮捕され立候補申請が出来なかったり、立候補の資格審査ではじかれたりしているようです。
中国の地方選挙 独立系候補が数十万人に急増 - 遊爺雑記帳
中国地方選無党派の波 当局は妨害「一党独裁に脅威」 (11/8 読売朝刊)
中国各地でいま、5年に1度の人民代表大会(地方議会)選挙が行われている。選ばれるのは、3万2000を超える選挙区で約200万人。これまでは共産党の推薦を受けた候補がほとんどだったが、政府に対する不満の高まりや利益の多元化を背景に、各地で「無党派候補」が続々と出馬を表明した。当局は一党独裁への脅威になるとみなし、なりふり構わぬ妨害に出ている。(北京 加藤隆則)
高まる不満
8日に投票が行われる北京市南部の小紅門地区。開発に伴う強制立ち退きに抗議して居座る農家に10月13日、住民ら数百人が集まった。インターネットのブログで、同地区の人民代表大会選挙に出馬を表明した主婦、呉麗紅さん(37)の支持者だ。
呉さんは、土地収用に関する政府の不正を追及する訴訟を15件起こし、法廷で「携帯で審理を録音したのは違法」として勾留中だった。15日が司法勾留を解かれる日で、家の外壁には「お帰りなさい」と書かれた紙が貼られた。だが、本人が帰宅を許されたのは、立候補期限が過ぎた22日。当局の狙いが選挙妨害にあったことは明らかだった。
「政府のやり口はまるでヤクザのようだ。中国の恥だ」。近所に住む李金霞さん(48)は呉さん宅で怒声を上げた。3年前、無理やり家を壊され、土地を強制収用された。「何があっても呉さんに投票する!」。周りの住民も李さんに同調した。
定数2の小紅門地区で正式に候補者と認められたのは、党推薦などを受けた3人だけだった。呉さんは「私はあきらめない。私たちには代表を送り出す権利がある。次回も出馬する」と断言した。
直接選挙
中国では、国や省、市の代表は党がコントロールする間接選挙で選出し、市の下部組織である県や郷などで直接選挙を行ってきた。その土地の有力者を政治に参画させ、統治を円滑に進めるためだ。立候補の条件として、「党や団体の推薦」「有権者10人以上の推薦」を定めている。
無党派の独立候補は、これまでは党と関係の深い大学教授など一定の候補者に限られてきた。だが、今回は「民主化の推進」などの公約を掲げる作家や教師、労働者、主婦、学生と顔ぶれが多様化した。呉さんのように、政府への抗議運動から立ち上がった例も目立つ。選挙は6月に江西省で始まり、来年12月の雲南省まで続く。報道によると、これまで全国で120人以上が、無党派候補として出馬表明した。
北京市西部に住む韓頴さん(37)もその一人。1平方メートル当たり8万元(約100万円)の高級マンション群に囲まれた平屋で、約10軒の隣人と立ち退きに抗議する。「インターネットで独立候補のことを知り、弱い立場の民意を直接届けようと思い立った」と韓さん。裁判に訴えて敗れ、議会にも直訴を繰り返したが門前払いされた。暴行を受け、拘束されもした。最後にたどり着いたのが、選挙を通じた権利の主張だった。
逆らう者
無党派候補の大量登場は、計画経済から市場経済化への転換により、個人の権利意識が高まり、インターネットなどの「言論の自由」の空間が庶民にも拡大したことが背景にある。暴動などの直接行動ではなく、法と制度を武器に民主を求める成熟した政治意識の反映である。改革派のリーダー格である何衛方・北京大法学部教授は中国誌のインタビューで「民主は実践することで生まれる」と、無党派候補への支持を表明した。
選挙法では「選挙委員会が、有権者の討論や協議を経て正式に立候補者名簿を定める」としているが、選考の経緯は公表されない。ほとんどの無党派候補はこの過程でふるい落とされる。北京では今回、当選2回の実績がある大学講師(38)も名簿から外され、無党派候補は姿を消した。
1998年に湖北省潜江市で地区の選挙に当選し、独立系候補の指南役である姚立法さん(53)も6月下旬以降、軟禁状態に置かれている。姚さんが作成した立候補マニュアルの前書きには、こう書かれている。
「民主を求める声はますます高まっている。それに従う者は栄え、逆らう者は滅びるのだ」
「多党制」「三権分立」採用せず
呉邦国・全国人民代表大会(全人代)常務委員長は3月、「多党制」「思想の多元化」「三権分立と両院制」「連邦制」「私有化」の五つは、「採用しない」と一党独裁の堅持を明言した。10月18日に開かれた第17期党中央委員会第6回総会(6中総会)でも、欧米流の民主化モデルとは一線を画する「社会主義核心価値」が強調された。
経済成長による安定を至上命令とし、個よりも全体の利益を重んじる「中国モデル」は、欧米諸国が経済危機に揺れるなか、さらに強固となりつつある。民主化要求は庶民レベルまで広がっているが、経済成長の顕著な成果が政治改革の先送りに口実を与えている。
地方末端行政組織での直接民主制は、建国後間もない1953年に始まったが、党推薦の候補者1人を追認する信任選挙で、文化大革命期(66~76年)は中断。79年以降、複数の候補者を立てる「差額選挙」が導入されたが、見せかけに過ぎない。無記名投票だが、政府幹部が投票箱を持って巡回するなど、自由も平等も保障されていない。投票を経て、合法的に独裁体制に風穴を開けかねない無党派候補の増加を、党は認めるわけにいかないのだ。
無党派候補への妨害に対し、一部メディアは当初、「人民代表制度の合法性を傷つける」(新世紀週刊)と批判したが、全人代法制工作委員会が6月8日に「独立(無党派)候補に法的根拠はない」と公式表明すると、一切の報道が途絶えた。無党派候補は今、「社会の不安定要素」(中国紙記者)の烙印を押されている。
中国各地でいま、5年に1度の人民代表大会(地方議会)選挙が行われている。選ばれるのは、3万2000を超える選挙区で約200万人。これまでは共産党の推薦を受けた候補がほとんどだったが、政府に対する不満の高まりや利益の多元化を背景に、各地で「無党派候補」が続々と出馬を表明した。当局は一党独裁への脅威になるとみなし、なりふり構わぬ妨害に出ている。(北京 加藤隆則)
高まる不満
8日に投票が行われる北京市南部の小紅門地区。開発に伴う強制立ち退きに抗議して居座る農家に10月13日、住民ら数百人が集まった。インターネットのブログで、同地区の人民代表大会選挙に出馬を表明した主婦、呉麗紅さん(37)の支持者だ。
呉さんは、土地収用に関する政府の不正を追及する訴訟を15件起こし、法廷で「携帯で審理を録音したのは違法」として勾留中だった。15日が司法勾留を解かれる日で、家の外壁には「お帰りなさい」と書かれた紙が貼られた。だが、本人が帰宅を許されたのは、立候補期限が過ぎた22日。当局の狙いが選挙妨害にあったことは明らかだった。
「政府のやり口はまるでヤクザのようだ。中国の恥だ」。近所に住む李金霞さん(48)は呉さん宅で怒声を上げた。3年前、無理やり家を壊され、土地を強制収用された。「何があっても呉さんに投票する!」。周りの住民も李さんに同調した。
定数2の小紅門地区で正式に候補者と認められたのは、党推薦などを受けた3人だけだった。呉さんは「私はあきらめない。私たちには代表を送り出す権利がある。次回も出馬する」と断言した。
直接選挙
中国では、国や省、市の代表は党がコントロールする間接選挙で選出し、市の下部組織である県や郷などで直接選挙を行ってきた。その土地の有力者を政治に参画させ、統治を円滑に進めるためだ。立候補の条件として、「党や団体の推薦」「有権者10人以上の推薦」を定めている。
無党派の独立候補は、これまでは党と関係の深い大学教授など一定の候補者に限られてきた。だが、今回は「民主化の推進」などの公約を掲げる作家や教師、労働者、主婦、学生と顔ぶれが多様化した。呉さんのように、政府への抗議運動から立ち上がった例も目立つ。選挙は6月に江西省で始まり、来年12月の雲南省まで続く。報道によると、これまで全国で120人以上が、無党派候補として出馬表明した。
北京市西部に住む韓頴さん(37)もその一人。1平方メートル当たり8万元(約100万円)の高級マンション群に囲まれた平屋で、約10軒の隣人と立ち退きに抗議する。「インターネットで独立候補のことを知り、弱い立場の民意を直接届けようと思い立った」と韓さん。裁判に訴えて敗れ、議会にも直訴を繰り返したが門前払いされた。暴行を受け、拘束されもした。最後にたどり着いたのが、選挙を通じた権利の主張だった。
逆らう者
無党派候補の大量登場は、計画経済から市場経済化への転換により、個人の権利意識が高まり、インターネットなどの「言論の自由」の空間が庶民にも拡大したことが背景にある。暴動などの直接行動ではなく、法と制度を武器に民主を求める成熟した政治意識の反映である。改革派のリーダー格である何衛方・北京大法学部教授は中国誌のインタビューで「民主は実践することで生まれる」と、無党派候補への支持を表明した。
選挙法では「選挙委員会が、有権者の討論や協議を経て正式に立候補者名簿を定める」としているが、選考の経緯は公表されない。ほとんどの無党派候補はこの過程でふるい落とされる。北京では今回、当選2回の実績がある大学講師(38)も名簿から外され、無党派候補は姿を消した。
1998年に湖北省潜江市で地区の選挙に当選し、独立系候補の指南役である姚立法さん(53)も6月下旬以降、軟禁状態に置かれている。姚さんが作成した立候補マニュアルの前書きには、こう書かれている。
「民主を求める声はますます高まっている。それに従う者は栄え、逆らう者は滅びるのだ」
「多党制」「三権分立」採用せず
呉邦国・全国人民代表大会(全人代)常務委員長は3月、「多党制」「思想の多元化」「三権分立と両院制」「連邦制」「私有化」の五つは、「採用しない」と一党独裁の堅持を明言した。10月18日に開かれた第17期党中央委員会第6回総会(6中総会)でも、欧米流の民主化モデルとは一線を画する「社会主義核心価値」が強調された。
経済成長による安定を至上命令とし、個よりも全体の利益を重んじる「中国モデル」は、欧米諸国が経済危機に揺れるなか、さらに強固となりつつある。民主化要求は庶民レベルまで広がっているが、経済成長の顕著な成果が政治改革の先送りに口実を与えている。
地方末端行政組織での直接民主制は、建国後間もない1953年に始まったが、党推薦の候補者1人を追認する信任選挙で、文化大革命期(66~76年)は中断。79年以降、複数の候補者を立てる「差額選挙」が導入されたが、見せかけに過ぎない。無記名投票だが、政府幹部が投票箱を持って巡回するなど、自由も平等も保障されていない。投票を経て、合法的に独裁体制に風穴を開けかねない無党派候補の増加を、党は認めるわけにいかないのだ。
無党派候補への妨害に対し、一部メディアは当初、「人民代表制度の合法性を傷つける」(新世紀週刊)と批判したが、全人代法制工作委員会が6月8日に「独立(無党派)候補に法的根拠はない」と公式表明すると、一切の報道が途絶えた。無党派候補は今、「社会の不安定要素」(中国紙記者)の烙印を押されている。
開発に伴う強制立ち退きへの不満、民主化要求など政府への不満を、選挙制度の法に則ったかたちでの権利主張という、デモや暴動などの直接行動ではない成熟した行動は、政府に危機感を高めさせたようですね。
北京では、実績のあった候補も今回はふるいにかけられ、独立系候補者はゼロになったと。
ついには、全人代法制工作委員会が6月8日に「独立(無党派)候補に法的根拠はない」と公式表明する始末。
強制立ち退き、民工の不当低遇反発、貧富格差、学卒者の雇用不安、民主化要求など、ふつふつと高まる不満への対処は、強権発動での抑え込み。
経済成長がもたらした課題ですが、経済成長が続いているから暴発には至っていないとも言えます。バブルがはじけると言われ続けながらも、最低目標のGDP 7%以上の成長を続けていますが、この停滞が発生した時が、強権での抑え込みが効かなくなる時ですね。
欧州の金融危機で、欧州や米国、日本に向けた輸出が低迷すれば、その時が現実味を強めてきます。
そしてその時、強権で抑えられなくなった習金平政権は、江沢民と同じく反日というガス抜き装置の封を解き、南シナ海同様に、東シナ海への覇権拡大で国民の眼を晦ますのでしょう。
中国に依存している日本経済(輸出入)は、成長が著しいアジアの諸国へとシフトを始める時期が来ている予感がします。
ならば、中国に先駆けたアジアの経済の主導権を得るべく、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)につなげるTPPに参加すべきでしょう。
# 冒頭の写真は、中国の地方選挙の民主化に取り組む活動家、姚立法氏
キクバヤマボクチの蕾 (撮影場所=六甲高山植物園)
↓よろしかったら、お願いします。