この、化石燃料に依存した電力供給や、節電は、将来に向け継続されてよいものではないことは、CO2削減に向けこれまで世界が模索してきた事実をおもいおこせば、歴然としますね。
そこで注目されている物の一つに、「スマートグリッド」があることは、諸兄がご承知の通りです。かつて日本では軽視されていたのだそうですが、節電を機に脚光を浴び、既に、北九州市や横浜市で実験的に取り入れられていて、東京都も都心のビル群で導入することにしたのだそうです。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、首都の電力需給が逼迫したことを受け、東京都はオフィスビル群にIT(情報技術)を使って電力の需給管理を効率的に行う次世代電力網「スマートグリッド」の導入に乗り出すことを決めた。都内の全エネルギー消費の35%を占めるオフィスビルの電力使用を効率的に制御することで電力会社への依存を減らし、災害で停電した時にも首都機能を維持するための基盤を整えるのが狙いだ。年度内にビル所有者と共同調査を実施し、来年度からの実施を目指す。
東京駅に近い丸の内や大手町、新宿副都心などで、延べ床面積が1万平方メートル(20階程度)を超える中高層ビルを含む複数の建物が対象になる。
スマートグリッドはITを活用して、電力会社や太陽光発電などの再生可能エネルギー、蓄電池など複数の電源の中から最も効率のいいものを選択する。電力会社から供給が停止した時は、不要な電気機器のスイッチを切り、不足分は複数の建物の間で蓄電池や、都市ガスを燃料にした電力と熱の同時供給(コージェネレーション)などによって融通し合う。
スマートグリッド
「賢い電力網」を意味し、ITを活用して電力の需給状況を監視して最適なバランスに自動制御する仕組み。通信機能を備えたメーターに使用電力が常時表示されることから、省エネ意識も高まり、米国では導入後に使用電力が10~20%減った事例もある。経済産業省が昨年から、スマートグリッドを活用した実証実験を、北九州市や横浜市などで行っている。
ITと言えば、本家は米国。ご承知の様に、電力自由化がなされている米国では、大停電が多発することと、CO2削減(高騰する石化燃料からの脱皮)とで、「スマートグリッド」の導入は進んでいて、電気が安定供給されていた日本には不要論がはびこり遅れをとっていたのでした。
「スマートグリッド」の特徴は、「デマンドレスポンス」による管理です。
懐かしいユピキタスの言葉を使う解説もありますが、ユーザーの細かな情報が管理出来たり、相互にやり取り出来たりすることで、電力の効率的な需給管理や、融通が出来ると言うものなのですね。
ピーク時の電力を節電するのが当面の課題ですが、ピーク時等、時間帯別電力料金設定が可能となりますから、節電する人や企業にも、どうしても使いたい人や企業にも、利用者が選択できることになり、節電のストレスが緩和されます。
再生可能エネルギーへの移行、企業や家庭での自家発電や蓄電の普及による小規模分散発電が進むことになりますが、これらの選択使用や、融通が容易になるとも言われていますね。
安く安定的に"提供"される原発(事故が無ければ)の電気を使う人、CO2を垂れ流す化石燃料の電気を使う人、高価で不安定だが、安全でクリーンな電気を使う人と、欧州の様に選択の自由が産まれるのでしょうか。
安全性に問題はあるけど安い中国産品を購入(=中国が儲けて軍事力を増強し、ブーメランとなって日本領土を侵食)するのか、国産品を購入するのか。似た話でしょうか...?
私たちや、外国と競争しながら、私たちに商品を提供したり、雇用してくれたりする会社は、どのような選択をするのがよいのでしょうか。
『スマートメーターを全国に配備するだけでも、1兆円以上の市場が新たに発生すると見られる。太陽光や風力、燃料電池、Liイオン電池の大量導入も数兆円規模の市場を生み出すだろう』(日経の以下のリンク)とも言われ、新規市場も期待できる「スマートグリッド」。
今後も各地で導入が進み、各種の新規発電事業者の参入が進むことを願っています。
今こそ日本にスマートグリッドを 計画停電では前進なし :日本経済新聞
# 冒頭の写真は、左の煙突がJ-POWERの磯子火力発電所、右が東電の南横浜火力発電所。
キクバヤマボクチの蕾 (撮影場所=六甲高山植物園)
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