遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

プーチン長期政権誕生に、獄中の元石油王が警告

2011-09-27 00:18:47 | ロシア全般
 プーチン氏が予定通り、メドベージェフ氏を首相の座に引きずりおろすこととし、任期を6年 × 2期に延長した大統領の座に戻りますね。選挙といっても反対派がことごとく圧制で潰されている形ばかりの現状で、帝国シンドローム現象人気のプーチン氏はやりたい放題で、まさにロシア帝国の皇帝として生まれ変わったと言えるでしょう。
 その中で、良くできたと思うのですが、産経が、獄中にいる反プーチン派の元石油王・ミハイル・ホドルコフスキー氏に書面インタビューに成功し、記事を載せています。
 ミハイル・ホドルコフスキー氏は、民間資本から強制的に国営化した露の産業構造で、脱資源での経済多角化はざれごととプーチン流を切り捨てています。

 
プーチン氏政敵、ホドルコフスキー氏 獄中から書面インタビュー/「プロパガンダと現実乖離」/将来の変革に望み - MSN産経ニュース
 
長期化するプーチン体制 高成長かけ声に疑問も (9/26 産経)

 【
モスクワ=遠藤良介】来春の大統領復帰が確実視されるロシアのプーチン首相(前大統領)は、メドベージェフ大統領を次期首相に据えて同大統領の経済「近代化」路線を継続、年6~7%の高度経済成長を目指す方針を示した。だが、プーチン氏は前大統領期(2000~08年)に、民間ビジネスを圧迫し、経済の国家統制を強める国家資本主義的な統治体制を築いた張本人であり、安定的な成長に向けた改革を行えるかには疑問の声も出ている。

停滞する改革

 ロシアの国内総生産(GDP)はプーチン前大統領期、石油価格の急騰にあおられて年平均6%台で成長。だが、2008年後半には米国発金融危機に石油価格の値崩れが重なり、09年のGDPは前年比7・9%減と深手を負った。
 ロシアでは
石油・天然ガス産業からの税収が国家歳入の約5割にのぼり、過度の地下資源依存と後進的な経済構造
といったもろさが成長率急落の背景にあった。
 08年就任のメドベージェフ大統領は「近代化」を掲げて経済の構造改革や汚職対策に乗り出したが、目立った成果は上がっていない。最近も欧州債務危機の余波で、通貨ルーブルの為替レートは政権の予測を大幅に下回る低水準が続く。
 メドベージェフ改革が停滞しているのは、プーチン前大統領が築いた国家資本主義的な経済体制が強固で、汚職もそれだけ深刻化していたためだ。

「官僚期待はざれ言」

 プーチン前政権が経済の国家統制を加速させる契機となったのが、石油王のホドルコフスキー氏が03年に拘束された「ユコス事件」だった。ホドルコフスキー氏は本紙の書面インタビューで、事件以降に「司法の独立」が失われ、「権力側が資産を奪うために刑事捜査をしたり、投獄するようなことが当たり前になった」と語る。
 プーチン前政権が
経済の主要分野を国策企業に牛耳らせるなど「国家セクター」の比率を高めた一方、治安・特務系機関の専横や汚職は深刻さの度を増した。「何万人もの事業家がビジネスの放棄に追い込まれ
、残りの絶対的多数は賄賂を払って自らの自由を案じている」とホドルコフスキー氏は現状を指摘する。
 プーチン氏は24日、メドベージェフ氏が重要課題とする経済の多角化や先端技術産業の育成を今後も重視すると表明したが、ホドルコフスキー氏は「
事業家を衰弱させ、官僚のイニシアチブに期待して経済を多角化するなどというのはざれ言だ
」と記していた。

 民間企業を国営企業が強奪したのは国内企業にとどまりません。2007年に「サハリン2」を、2008 ~ 2009年にかけて「サハリン1」を、開発のリスクを日本を含む外国資本に負わせ、操業の目途がつくや否やガスプロムが強奪し主権を握ったことは、諸兄がご承知の通りです。

 主要ガス田の枯渇が顕在化し、北極圏や極東での開発に依存せざるを得なくなっているロシアでは、メドベージェフ氏もプーチン氏も、資源依存の経済構造の改革が必要だとは認識はしているようです。そこで、日本を含む外国の資本や、先端技術の支援を必要としています。
 ホドルコフスキー氏が民間企業の経営者であり、プーチン氏によって投獄されていることを割り引いても、民間の成果を強奪し国営企業化することで成長している形態のロシア経済を切り捨てるのは、理にかなっていると考えられます。

 北方領土についてプーチン氏は、大統領時代には交渉姿勢を示していたのでと楽観視する見方もありますが、メドベージェフ氏が北方領土を訪問したのはプーチン氏との大統領選での路線対立かどうかではなく、両者が同じ方向を考えているのが現状で、先日もプーチン氏の側近を派遣していることからも、実効支配を強めこそすれ、攻勢を強める方向は変わらないと見るべきでしょう。
 しかし、その裏にホドルコフスキー氏が指摘する様な、脱資源経済構造改革のアキレス腱を抱えていることは、楽観視することではありませんが、頭の隅に入れてロシアとの外交に当たれば良いと考えます。
 
「静かな環境で議論」と、玄葉外務大臣は、ロシアのラブロフ外相との会談で菅時代の周到を確認していますが、主張すべきは主張し主権と国益をまもる姿勢で、プーチン帝国と対応していくことを期待します。
 強権を持つプーチン時代だからこそ、プーチン氏との交渉次第で決着できるとの見方もあります。






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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交



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