遊爺雑記帳

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サハリン2問題再燃も 日本のエネ安保板挟み

2023-07-15 01:33:55 | ロシア全般
 「西側諸国がロシア産石油禁輸と価格上限設定措置を発動する中、日本はサハリン2からの原油については例外を認めさせ、上限設定を超える価格でロシア産原油を購入している」
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は 4月、記事で日本をこう批判した。
G7広島サミットを控え、議長国が対露経済制裁の足並みを乱している、との指摘。
 
 対露制裁で、英石油大手シェルや、米石油大手エクソンモービルが、サハリン1, 2の事業から撤退。ロシアがやむなく自国での運営会社で引き継ぐことになりました。
 その新会社に、日本がしがみつくことにしている事は、制裁網破りだとは、当ブログで何度も触れさせていただいていました。
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は 4月、G7広島サミットを控え、議長国が対露経済制裁の足並みを乱している、と指摘していたのだそうですね。
 ゼレンスキー大統領が来日し、ウクライナ支援での結束を固めた会議でしたが、大いに恥じ入りるべき指摘です。

 
【ビジネス解読】サハリン2問題再燃も 日本のエネ安保板挟み - 産経ニュース 2023/7/13 産経新聞 経済部 次長 吉村 英輝

 日本も参画するロシア極東の天然ガス開発事業「サハリン2」が、日本のエネルギー安全保障を脅かす問題に再浮上する可能性が出てきた。ウクライナ侵略に伴う欧米の経済制裁に対抗してロシアは昨年6月、同事業を支配下に置くことを決定。日本は火力発電を支える液化天然ガス(LNG)の1割を同事業に依存しているため、権益を維持しガス調達を続けることを決めただが、今夏の大規模保守点検作業を理由に、ロシアがサハリン2の生産停止で日本に再び揺さぶりをかける事態が懸念されている

 「
西側諸国がロシア産石油禁輸と価格上限設定措置を発動する中、日本はサハリン2からの原油については例外を認めさせ、上限設定を超える価格でロシア産原油を購入している

 
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は4月、記事で日本をこう批判した。ウクライナ問題が主要議題となる先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を控え、議長国が対露経済制裁の足並みを乱している、との指摘だ。

 日本がサハリン2からの原油を例外として欧米諸国に認めさせた背景には、天然ガスに随伴して生産される原油を保管するタンクの容量に限界があり、原油を円滑に輸出できなければ、LNGの生産と出荷に影響が出てしまうという事情がある。

 また、
日本がサハリン2事業から欧米メジャーのように撤退してしまえば、その権益はロシア政府に渡り、ロシアにとっての「友好国」であるインドや中国などに分配されてしまう

 一方、
日本の2022年度の対ロシア貿易額でみると、LNG輸入は急増している。数量は前年比で6・2%減とやや減少したが、ロシアが欧州ガス市場を逼迫(ひっぱく)させたことによる価格高騰のあおりを受けて金額は44・0%増の2892億円となった。ほとんどはサハリン2からの調達分だ。

■日本のエネルギー安保の柱の一つ
 
サハリン2は、日本のエネルギー安保の柱の一つに位置付けられてきた。化石燃料の中東への依存を下げ、調達先を分散してリスクを減らすことができるためだ。また、日本との距離が比較的近く輸送費を抑えられる利点があり、石油に比べ二酸化炭素排出量が少ないため環境にも優しい。2009年の輸出開始以来、国内の電力・都市ガス会社がサハリン2からLNGの調達を拡大。年間生産能力1千万トンのうち、日本は約600万トンと過半を輸入している。

 
転機は昨年6月だ。ロシアのプーチン大統領が、欧米の経済制裁に対抗し、サハリン2の運営を新会社に移す大統領令に突然署名し、8月に新会社が設立された。事業から英石油大手シェルが撤退した一方、日本勢は新会社に出資する方針を決めてロシア政府の承認を得た。新会社にはロシア政府系企業ガスプロムが約50%、三井物産が12・5%、三菱商事が10%を出資する。シェルが保有していた約27・5%の株式はロシア企業が取得する予定で、その候補にガスプロムに次ぐ第2位のガス生産者であるノヴァテックが挙がっている

 露産石油の禁輸・制限措置に踏み込んだ日本と欧米だが、天然ガス・LNGの禁輸には至っていない。天然ガスは、ロシアに代わって生産できる供給余力が世界にまだある石油とは異なり、足元では需給が逼迫した際に追加の天然ガスを供給できる国はロシアだけだ。このことが、欧米制裁がまだロシア産天然ガスの禁輸に踏み込めない理由であり、昨年、ロシアが欧州向けの天然ガスを故意に止めることで、市場を逼迫させ、価格高騰を演出できた背景にもある。

■シェル抜きで生産を維持できるか
 
サハリン2の新会社の課題は、1990年代の計画段階からLNG関連技術を主導してきたシェル抜きで、はたして生産を維持できるかだ。設備は2年に1度、ガス需要が落ち込む7~8月に大規模な保守点検作業を行う。前回の2021年はシェルが担ったが、今年はガスプロムが引き継ぐ。一定のノウハウや情報は引き継がれているとはいえ、その能力は未知数だ。

 
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の原田大輔調査課長は、さらに危惧されるのは、シェルの撤退と保守点検作業を理由に、ロシア側が期間未定の生産停止といった「フォース・マジュール(不可抗力)」を宣言する事態だと指摘する。

 
前例はある。ロシアは昨年6月、ドイツに天然ガスを送る主要なパイプライン「ノルドストリーム」のガス供給を6割削減すると発表した。運営するガスプロムは、カナダで修繕中のタービンが制裁で返却されず、稼働能力が下がることを理由とした。だが、この説明はロシアがガス不足に危機感を強めるドイツに圧力をかけるための詭弁(きべん)で、欧米の経済制裁の足並みを崩すことを狙った揺さぶりだったとみる向きは多い。最終的に8月末には設備点検を理由に輸出を停止してしまい、欧州のスポットガス価格は史上最高値を付けた。

 
サハリン2の保守点検を巡っては、撤退したシェル以外の懸念要素もある欧米各国はロシアに対するエンジニアリング・サービスの提供を禁止する措置を発動してきた。英国が9月、欧州連合(EU)は10月、そして、日米もG7広島サミット前後で発動している。

 サハリン2のプラントは、千代田化工と東洋エンジニアリング、米ゼネラル・エレクトリック(GE)などがコンソーシアムを組み主導し建設された。日本政府が発動したエンジニアリング・サービスの提供の禁止によって、サハリン2のガスプロムによる保守点検作業がうまくいかなかった場合、日本企業が支援するという選択肢が失われることになる。
日本政府の具体的な措置内容は財務省などが現時点でも調整中で、サハリン事業の例外扱いもあり得るだろう。しかし、それはWSJが指摘したように、日本による西側制裁の足並みの乱れを示すことにもなる

■ロシアによる揺さぶりも
 原田氏によると、2021年夏の保守点検作業期間中も、サハリン2からは生産能力の3割程度のLNG輸出があった。2系統あるため、一つを止めてもある程度は生産できるという。だが、日本の対応などを理由に、ロシアが生産を完全に停止したり、生産量の削減を保守点検後も続けたりといったゆさぶりが起こらないとはかぎらない。

 一方、
欧州はロシアへの天然ガス依存脱却に自信を深めている。前出のノルドストリームは昨年9月、何者かによる爆破工作によって、無期限の運用停止に追い込まれた。それでも欧州諸国は需要期の冬までに備蓄を95%まで高め、暖冬にも救われて節ガスで冬を乗り切った。これまでパイプラインでしか天然ガスを輸入したことがなかったドイツは急ピッチでLNG受け入れインフラを整え、昨年12月には最初のLNG輸入を開始している。露産天然ガスの欧州向け輸出は昨年、対前年比で4割と大きく減少した。

 
日本批判を展開したWSJは、日露関係の研究者を引用し、ウクライナ支援に真剣に取り組むなら「いずれサハリン事業からの撤退に動くべきだ」とも報じた。欧米に呼応したロシア制裁とエネルギー安保の板挟み状態は当面、続きそうだ。


 日本がサハリン2事業から欧米メジャーのように撤退してしまえば、その権益はロシア政府に渡り、ロシアにとっての「友好国」であるインドや中国などに分配されてしまうと言う言い訳。
 苦しい!

 サハリン1, 2は、日本のエネルギー安保の柱の一つに位置付けられてきた。化石燃料の中東への依存を下げ、調達先を分散してリスクを減らすことができるためだと言うのは、プーチンのウクライナ侵攻という暴挙の前までは納得できる良策だった。

 対露支援にも繋がり、北方四島返還にも寄与が期待された。

 サハリン1, 2の新会社の課題は、シェルやエクソン抜きで、はたして生産を維持できるか。
 
 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の原田大輔調査課長は、さらに危惧されるのは、シェル(& エクソン)の撤退と保守点検作業を理由に、ロシア側が期間未定の生産停止といった「フォース・マジュール(不可抗力)」を宣言する事態だと指摘。
 前例はある。ロシアは昨年6月、ドイツに天然ガスを送る主要なパイプライン「ノルドストリーム」のガス供給を6割削減すると発表。

 保守点検を巡っては、撤退したシェル(& エクソン)以外の懸念要素もある。欧米各国はロシアに対するエンジニアリング・サービスの提供を禁止する措置を発動してきた。英国が 9月、欧州連合(EU)は10月、そして、日米もG7広島サミット前後で発動しているのだそうです。
 
 日本政府の具体的な措置内容は財務省などが現時点でも調整中で、サハリン事業の例外扱いもあり得るだろう。しかし、それはWSJが指摘したように、日本による西側制裁の足並みの乱れを示すことにもなると、産経・吉村次長。

 欧州はロシアへの天然ガス依存脱却に自信を深めているとも。
 前出のノルドストリームは昨年 9月、何者かによる爆破工作によって、無期限の運用停止に追い込まれた。それでも欧州諸国は需要期の冬までに備蓄を95%まで高め、暖冬にも救われて節ガスで冬を乗り切ったのだそうです。

 また、これまでパイプラインでしか天然ガスを輸入したことがなかったドイツは急ピッチでLNG受け入れインフラを整え、昨年12月には最初のLNG輸入を開始。露産天然ガスの欧州向け輸出は昨年、対前年比で 4割と大きく減少したと、産経・吉村次長。

 日本批判を展開したWSJは、日露関係の研究者を引用し、ウクライナ支援に真剣に取り組むなら「いずれサハリン事業からの撤退に動くべきだ」とも報じたのだそうです。

 欧米と呼応したロシア制裁と、エネルギー安保の確保。
 岸田政権には、大きな課題への解決策(例=LNGの新規供給先開拓や、新エネルギー源導入拡大)が望まれます。



 # 冒頭の画像は、「サハリン2」の液化天然ガス(LNG)プラント



  チャイブと蝶


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