中国からの富裕層や頭脳流出が急増していると、WSJのナサニエル・タプリン氏。
世界に蔓延している「華僑」の存在が示す様に、元来人口流出はあり少なからぬ影響を世界に及ぼしてきてはいたが、近年の流出は、今後の中国に少なからぬ影響を及ぼしかねないと。
人口流出の動向は時代によって大きく変わると、ナサニエル・タプリン氏。
人口の純流出が増える傾向は、実際にはコロナ前に始まり、2017年以降生じた複数の重要な経済トレンドと時期を同じくしている。若者の失業率上昇や、国による金融セクターの締めつけ再強化、構造的な問題に見える経済成長の鈍化傾向など(によるもの)だと。
人口流出の急増は、中国全体の出生率低下という観点からも大いに注目される。この先さらに急激な景気減速を避けるためには、国内外を問わず有能な人材に、中国は定住するのにふさわしい場所だと納得させるもっと多くの手段を講じる必要があると、ナサニエル・タプリン氏。
近年の流出で、特に注目すべきは、富裕層。
高額の純資産を持つ層(資産総額100万ドル超)の純流出は10年代前半はおおむね年間9,000人前後で安定していた。だが10年代後半にその数は急増し始める。17年には富裕層の純流出が1万1,000人を超え、19年には1万5,000人を突破したのだそうです。
ヘンリー、ニュー・ワールド・ウェルスの両社の推計では22年の1万800人に続き、今年は1万3,500人が純流出するとみられると、ナサニエル・タプリン氏。
純流出は必ずしも悪いことではない。それは多くの場合、中国の発展に決定的な役割を果たしてきた。富裕層の出国が増えているのは富の創出スピードが増しているためかもしれない。野心的な国外移住者が資本やテクノロジーの本国還流を促す可能性もあるとも。
だが足元の国外流出の波は、折しも中国の経済成長が失速し、政府のポピュリズム(大衆迎合主義)志向が強まる中で起きている。
また中等教育以上の教育が急速に広まり、有資格労働者の供給が増えるさなかでもある。彼らの多くが採用されるはずのサービス部門で、雇用の伸びが停滞している。データ会社CEICの集計値によると、17年以降、サービス部門の雇用の伸びは平均で年率0.4%にとどまる。コロナ下のロックダウン(都市封鎖)で経済活動が停止した22年を除いても、平均伸び率は1.4%にしかならない。一方、17年までの5年間にはサービス部門の雇用の伸びが平均で年率4.4%だったのだそうです。
逆に、純流出の増加と呼応するように、外国から流入する人材がここ何年か急減しているのだそです。
中国が科学技術の階段を駆け上がるのを減速させかねないもう一つの潮流となっていると、ナサニエル・タプリン氏。
7月1日から改正・反間諜法(反スパイ法)が施行されることになりましたね。外国からの流入減は、一段と加速されることでしょう。
バイデン米政権が中国で活動する米企業に注意喚起、中国の改正反スパイ法施行を受け | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
中国は新しい千年紀を迎えてから大半の時期に、野心的で努力を惜しまず、幸運に恵まれた人が出世できるような場所だった。だが現在の中国では――安全保障と統制が重視され、経済成長は二の次――それがもはやどれほど真実なのか定かではない。
少なくとも一部の人々は、自分の足で態度を示しているようだと、ナサニエル・タプリン氏。
世界一の人口と、鄧小平の改革開放経済で世界第二位の経済大国に成長した中国。
人口は、このほどインドに抜かれ、少子高齢化のトレンド(先行する日本と同じ)入り。
習近平は、鄧小平が毛沢東の専制政治の弊害の反省から産んだ、集団指導体制とその定年制を廃し、毛沢東の専制政治への回帰を目指していますね。
どうなる、習近平独裁の中国!
# 冒頭の画像は、中国の移動者の風景
この花の名前は、モナルダ
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世界に蔓延している「華僑」の存在が示す様に、元来人口流出はあり少なからぬ影響を世界に及ぼしてきてはいたが、近年の流出は、今後の中国に少なからぬ影響を及ぼしかねないと。
中国から頭脳流出、経済に深刻な影響も - WSJ
多くの富裕層をはじめ、国外に脱出する国民が増えている ナサニエル・タプリン 2023年 7月 10日
中国は世界に再び門戸を開くのか、それとももう一度内向きになるのか。
多くの人は後者だと主張するだろう。だがある重要な点で、中国は依然として世界に向かっている。住民の出国がここ数年なかったペースで急増しているのだ。中国が近代化や投資を続けるために欠かせない富裕層や高学歴者もその中に含まれている。
国境を越える中国人が増えたのは驚くことではない。新型コロナウイルス流行下の規制が解除され、再び外国に行きやすくなった。だが人口の純流出が増える傾向は、実際にはコロナ前に始まり、2017年以降生じた複数の重要な経済トレンドと時期を同じくしている。若者の失業率上昇や、国による金融セクターの締めつけ再強化、構造的な問題に見える経済成長の鈍化傾向などだ。
人口流出の急増は、中国全体の出生率低下という観点からも大いに注目される。この先さらに急激な景気減速を避けるためには、国内外を問わず有能な人材に、中国は定住するのにふさわしい場所だと納得させるもっと多くの手段を講じる必要がある。
中国は米国とは異なり、かねて国外への移住が当たり前の国だった。各地に散らばった中国移民は世界で最も規模が大きく、影響力がある。
だが、人口流出の動向は時代によって大きく変わる。国連のデータによると、2000年代前半はおおむね毎年約50万人が純流出していた。だが08年以降、その数は激減した。恐らく世界金融危機から中国が力強く立ち直り、米国など主要経済国の回復が遅れたことが一因だろう。2010年代初めに中国経済が好調だった時期も、中国の労働年齢人口の緩やかな減少と重なっている。当時の経済成長は、野心的な国民にも中国に積極的に移り住む外国人にもチャンスを与えた。
だが10年代終盤にこれが反転し始める。国連のデータによれば、中国から純流出する人口は12年に12万5000人で底を打ち、18年に30万人近くまで戻した。コロナ下でその数は再び急減したが、最新の国連推計によると、21年には約20万人に達し、22年は再び30万人を超えるとみられている。
特に注目すべきは、国連のデータが、富裕層というより限定的な層を対象にした民間機関のデータと驚くほど軌道が似ていることだ。南アフリカの調査会社ニュー・ワールド・ウェルスと英国の投資移住コンサルティング会社ヘンリー&パートナーズの照合したデータは同様のパターンを示している。高額の純資産を持つ層(資産総額100万ドル超)の純流出は10年代前半はおおむね年間9000人前後で安定していた。だが10年代後半にその数は急増し始める。17年には富裕層の純流出が1万1000人を超え、19年には1万5000人を突破した。
ヘンリー、ニュー・ワールド・ウェルスの両社は20年と21年のデータを入手していない。だが中国のコロナ封じ込めが当初は成功していたため、この2年間に富裕層の純流出が大幅に減ったことはほぼ確実だ。両社の推計では22年の1万0800人に続き、今年は1万3500人が純流出するとみられる。
もちろん、純流出は必ずしも悪いことではない。それは多くの場合、中国の発展に決定的な役割を果たしてきた。富裕層の出国が増えているのは富の創出スピードが増しているためかもしれない。野心的な国外移住者が資本やテクノロジーの本国還流を促す可能性もある。
だが足元の国外流出の波は、折しも中国の経済成長が失速し、政府のポピュリズム(大衆迎合主義)志向が強まる中で起きている。また中等教育以上の教育が急速に広まり、有資格労働者の供給が増えるさなかでもある。彼らの多くが採用されるはずのサービス部門で、雇用の伸びが停滞している。データ会社CEICの集計値によると、17年以降、サービス部門の雇用の伸びは平均で年率0.4%にとどまる。コロナ下のロックダウン(都市封鎖)で経済活動が停止した22年を除いても、平均伸び率は1.4%にしかならない。一方、17年までの5年間にはサービス部門の雇用の伸びが平均で年率4.4%だった。
純流出の増加と呼応するように、外国から流入する人材がここ何年か急減しており、中国が科学技術の階段を駆け上がるのを減速させかねないもう一つの潮流となっている。公式データによると、20年の外国人居住者数は上海が16万3954人、北京が6万2812人で、10年以降それぞれ21%と42%減少した。コロナ流行が大きな要因となったのは明らかだ。しかし盛んに報じられる中国と西側諸国との緊張の高まりや、経済成長の鈍化、さらに以前は中国で外国人が行う日常的なビジネスと考えられていたことが今や拘束や捜査の対象になるリスクが高まっていることを考えると、この減少傾向の一部は今後も続く可能性が非常に高いと思われる。
中国は新しい千年紀を迎えてから大半の時期に、野心的で努力を惜しまず、幸運に恵まれた人が出世できるような場所だった。だが現在の中国では――安全保障と統制が重視され、経済成長は二の次――それがもはやどれほど真実なのか定かではない。
少なくとも一部の人々は、自分の足で態度を示しているようだ。
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ナサニエルタプリンは、ウォールストリートジャーナルの経済および金融解説セクションであるハードオンザストリートの中国経済および政治経済の主要なコラムニストです。彼はまた、他のアジアを拠点とするコラムニストを管理および編集しています。主な懸念事項には、米中関係、技術競争、台湾と香港、中国の労働市場と人口統計が含まれます。
多くの富裕層をはじめ、国外に脱出する国民が増えている ナサニエル・タプリン 2023年 7月 10日
中国は世界に再び門戸を開くのか、それとももう一度内向きになるのか。
多くの人は後者だと主張するだろう。だがある重要な点で、中国は依然として世界に向かっている。住民の出国がここ数年なかったペースで急増しているのだ。中国が近代化や投資を続けるために欠かせない富裕層や高学歴者もその中に含まれている。
国境を越える中国人が増えたのは驚くことではない。新型コロナウイルス流行下の規制が解除され、再び外国に行きやすくなった。だが人口の純流出が増える傾向は、実際にはコロナ前に始まり、2017年以降生じた複数の重要な経済トレンドと時期を同じくしている。若者の失業率上昇や、国による金融セクターの締めつけ再強化、構造的な問題に見える経済成長の鈍化傾向などだ。
人口流出の急増は、中国全体の出生率低下という観点からも大いに注目される。この先さらに急激な景気減速を避けるためには、国内外を問わず有能な人材に、中国は定住するのにふさわしい場所だと納得させるもっと多くの手段を講じる必要がある。
中国は米国とは異なり、かねて国外への移住が当たり前の国だった。各地に散らばった中国移民は世界で最も規模が大きく、影響力がある。
だが、人口流出の動向は時代によって大きく変わる。国連のデータによると、2000年代前半はおおむね毎年約50万人が純流出していた。だが08年以降、その数は激減した。恐らく世界金融危機から中国が力強く立ち直り、米国など主要経済国の回復が遅れたことが一因だろう。2010年代初めに中国経済が好調だった時期も、中国の労働年齢人口の緩やかな減少と重なっている。当時の経済成長は、野心的な国民にも中国に積極的に移り住む外国人にもチャンスを与えた。
だが10年代終盤にこれが反転し始める。国連のデータによれば、中国から純流出する人口は12年に12万5000人で底を打ち、18年に30万人近くまで戻した。コロナ下でその数は再び急減したが、最新の国連推計によると、21年には約20万人に達し、22年は再び30万人を超えるとみられている。
特に注目すべきは、国連のデータが、富裕層というより限定的な層を対象にした民間機関のデータと驚くほど軌道が似ていることだ。南アフリカの調査会社ニュー・ワールド・ウェルスと英国の投資移住コンサルティング会社ヘンリー&パートナーズの照合したデータは同様のパターンを示している。高額の純資産を持つ層(資産総額100万ドル超)の純流出は10年代前半はおおむね年間9000人前後で安定していた。だが10年代後半にその数は急増し始める。17年には富裕層の純流出が1万1000人を超え、19年には1万5000人を突破した。
ヘンリー、ニュー・ワールド・ウェルスの両社は20年と21年のデータを入手していない。だが中国のコロナ封じ込めが当初は成功していたため、この2年間に富裕層の純流出が大幅に減ったことはほぼ確実だ。両社の推計では22年の1万0800人に続き、今年は1万3500人が純流出するとみられる。
もちろん、純流出は必ずしも悪いことではない。それは多くの場合、中国の発展に決定的な役割を果たしてきた。富裕層の出国が増えているのは富の創出スピードが増しているためかもしれない。野心的な国外移住者が資本やテクノロジーの本国還流を促す可能性もある。
だが足元の国外流出の波は、折しも中国の経済成長が失速し、政府のポピュリズム(大衆迎合主義)志向が強まる中で起きている。また中等教育以上の教育が急速に広まり、有資格労働者の供給が増えるさなかでもある。彼らの多くが採用されるはずのサービス部門で、雇用の伸びが停滞している。データ会社CEICの集計値によると、17年以降、サービス部門の雇用の伸びは平均で年率0.4%にとどまる。コロナ下のロックダウン(都市封鎖)で経済活動が停止した22年を除いても、平均伸び率は1.4%にしかならない。一方、17年までの5年間にはサービス部門の雇用の伸びが平均で年率4.4%だった。
純流出の増加と呼応するように、外国から流入する人材がここ何年か急減しており、中国が科学技術の階段を駆け上がるのを減速させかねないもう一つの潮流となっている。公式データによると、20年の外国人居住者数は上海が16万3954人、北京が6万2812人で、10年以降それぞれ21%と42%減少した。コロナ流行が大きな要因となったのは明らかだ。しかし盛んに報じられる中国と西側諸国との緊張の高まりや、経済成長の鈍化、さらに以前は中国で外国人が行う日常的なビジネスと考えられていたことが今や拘束や捜査の対象になるリスクが高まっていることを考えると、この減少傾向の一部は今後も続く可能性が非常に高いと思われる。
中国は新しい千年紀を迎えてから大半の時期に、野心的で努力を惜しまず、幸運に恵まれた人が出世できるような場所だった。だが現在の中国では――安全保障と統制が重視され、経済成長は二の次――それがもはやどれほど真実なのか定かではない。
少なくとも一部の人々は、自分の足で態度を示しているようだ。
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ナサニエルタプリンは、ウォールストリートジャーナルの経済および金融解説セクションであるハードオンザストリートの中国経済および政治経済の主要なコラムニストです。彼はまた、他のアジアを拠点とするコラムニストを管理および編集しています。主な懸念事項には、米中関係、技術競争、台湾と香港、中国の労働市場と人口統計が含まれます。
人口流出の動向は時代によって大きく変わると、ナサニエル・タプリン氏。
人口の純流出が増える傾向は、実際にはコロナ前に始まり、2017年以降生じた複数の重要な経済トレンドと時期を同じくしている。若者の失業率上昇や、国による金融セクターの締めつけ再強化、構造的な問題に見える経済成長の鈍化傾向など(によるもの)だと。
人口流出の急増は、中国全体の出生率低下という観点からも大いに注目される。この先さらに急激な景気減速を避けるためには、国内外を問わず有能な人材に、中国は定住するのにふさわしい場所だと納得させるもっと多くの手段を講じる必要があると、ナサニエル・タプリン氏。
近年の流出で、特に注目すべきは、富裕層。
高額の純資産を持つ層(資産総額100万ドル超)の純流出は10年代前半はおおむね年間9,000人前後で安定していた。だが10年代後半にその数は急増し始める。17年には富裕層の純流出が1万1,000人を超え、19年には1万5,000人を突破したのだそうです。
ヘンリー、ニュー・ワールド・ウェルスの両社の推計では22年の1万800人に続き、今年は1万3,500人が純流出するとみられると、ナサニエル・タプリン氏。
純流出は必ずしも悪いことではない。それは多くの場合、中国の発展に決定的な役割を果たしてきた。富裕層の出国が増えているのは富の創出スピードが増しているためかもしれない。野心的な国外移住者が資本やテクノロジーの本国還流を促す可能性もあるとも。
だが足元の国外流出の波は、折しも中国の経済成長が失速し、政府のポピュリズム(大衆迎合主義)志向が強まる中で起きている。
また中等教育以上の教育が急速に広まり、有資格労働者の供給が増えるさなかでもある。彼らの多くが採用されるはずのサービス部門で、雇用の伸びが停滞している。データ会社CEICの集計値によると、17年以降、サービス部門の雇用の伸びは平均で年率0.4%にとどまる。コロナ下のロックダウン(都市封鎖)で経済活動が停止した22年を除いても、平均伸び率は1.4%にしかならない。一方、17年までの5年間にはサービス部門の雇用の伸びが平均で年率4.4%だったのだそうです。
逆に、純流出の増加と呼応するように、外国から流入する人材がここ何年か急減しているのだそです。
中国が科学技術の階段を駆け上がるのを減速させかねないもう一つの潮流となっていると、ナサニエル・タプリン氏。
7月1日から改正・反間諜法(反スパイ法)が施行されることになりましたね。外国からの流入減は、一段と加速されることでしょう。
バイデン米政権が中国で活動する米企業に注意喚起、中国の改正反スパイ法施行を受け | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
中国は新しい千年紀を迎えてから大半の時期に、野心的で努力を惜しまず、幸運に恵まれた人が出世できるような場所だった。だが現在の中国では――安全保障と統制が重視され、経済成長は二の次――それがもはやどれほど真実なのか定かではない。
少なくとも一部の人々は、自分の足で態度を示しているようだと、ナサニエル・タプリン氏。
世界一の人口と、鄧小平の改革開放経済で世界第二位の経済大国に成長した中国。
人口は、このほどインドに抜かれ、少子高齢化のトレンド(先行する日本と同じ)入り。
習近平は、鄧小平が毛沢東の専制政治の弊害の反省から産んだ、集団指導体制とその定年制を廃し、毛沢東の専制政治への回帰を目指していますね。
どうなる、習近平独裁の中国!
# 冒頭の画像は、中国の移動者の風景
この花の名前は、モナルダ
↓よろしかったら、お願いします。