遊爺雑記帳

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「債務のわな」を持つ「一帯一路」 8カ国に債務リスクが 

2018-05-08 23:58:58 | つぶやき
 IMFのラガルド専務理事は講演で、「一帯一路」について「参加各国は、(中国によるインフラへの投資などを)フリーランチと考えるべきではない」と、「一帯一路」にともなうリスクを公に警告したのだそうです。
 米シンクタンクは、「一帯一路」が産み出す中国への債務返済が困難となる恐れがある 8つの国を指摘しています。
 「一帯一路」が生み出す巨額債務への負の側面への警戒感がここに来て急速に広がっているのだと。
 
【国際情勢分析】中国「一帯一路」が生む借金地獄 米機関が指摘する「高リスク」8カ国とは - 産経ニュース 2018.5.7

 援助を受けていたはずが、巨額の借金を抱えた上でインフラも奪われる━。中国が推し進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」が生み出す巨額債務への警戒感がここに来て急速に広がっている。米シンクタンクは、債務返済が困難となる恐れがある8つの国を指摘した。債務と金利が重くのしかかる、一帯一路の負の側面が浮かぶ。 (ニューデリー 森浩)

■「代償なし」ではない
 
「参加各国は、(中国によるインフラへの投資などを)フリーランチと考えるべきではない」
 国際通貨基金(IMF)の
ラガルド専務理事は12日の講演で、一帯一路についてこう指摘した。「フリーランチ」とは「代償なし」「無料」などを意味する。IMFトップが一帯一路にともなうリスクを公に警告した格好だ。

 巨額の債務による“代償”を背負う形となった
代表例が、スリランカだ。
 
スリランカ南部ハンバントタ港は2010年、親中派ラジャパクサ政権下で建設が始まり、建設費約13億ドル(約1421億円)の多くを中国からの融資でまかなった
 だが、スリランカに
重荷となったのが、中国側が設定した最高で年6・3%という金利だ。そもそも財政に余裕があるとは言えず、当初から返済に窮するようになる。最終的に昨年12月、港の株式の80%を中国国営企業に貸与し、リース料として11億2千万ドル(約1224億円)を受け取ることで合意した。
 リースという形を取ってはいるが、貸与期間は99年間で事実上の売却といえる。
スリランカ側からすれば、いつのまにか港が中国の手に渡った格好だ。

 
こうした手法は「債務のわな」と批判される。3月にはティラーソン米国務長官(当時)も、一帯一路の参加国が、完成したインフラを中国側に譲渡する事態に対し、「主権の一部を放棄しないで済むよう(事業契約を)注意深く検討すべきだ」と呼び掛けた

■対外債務がGDPの8割…返済能力に疑義
 そんな中、
米シンクタンク「世界開発センター」は今年3月、一帯一路参加各国の債務についての調査結果を公表した。返済能力や債務の中国への依存度などについて、IMFのデータなどから検証している。
 
債務にリスクがある国とされたのが、ジブチ、キルギス、ラオス、モルディブ、モンゴル、モンテネグロ、タジキスタン、パキスタンの8カ国だ。
 報告によると、東アフリカのジブチは対外債務が2年間でGDPの50%から85%に増加した。大半の債権を抱えるのは中国だ。東南アジアのラオスでは、最大67億ドル(7327億円)に達する鉄道プロジェクトが国のGDPのほぼ半分を占め、債務返済が難しくなる可能性を指摘した。
 中央アジアのタジキスタンでは、IMFと世界銀行が債務について「リスクが高い」と評価しているが、今後もさらなるインフラ投資が行われるという。

 調査で
「最大のリスクを負っている」と指摘されたのが、パキスタンだ。一帯一路関連プロジェクトである中国・パキスタン経済回廊(CPEC)に基づいて、インフラ整備が進行中で、中国から約620億ドル(6兆7800億円)の融資が見込まれている。調査は「高い金利が、パキスタンのリスクとなる」と警告した。

■「中国は東インド会社にはならない」
 
加盟国側で危機感は共有されてはいないようだ。

 パキスタン国内では表だってCPECへの異論は聞こえてこない。「中国がインフラ整備をして、働き口を作ってくれると歓迎する雰囲気がある」(現地ジャーナリスト)。
 むしろ、首脳からは中国からの投資を歓迎する発言が出ている。
 「CPECは債務のわなではない。中国が求めるのはパートナーシップだ」
 南部カラチで23日に開催されたCPEC関連フォーラムで、アッサン・イクバール計画相はこう述べ、中国への信頼感を示した。外部の懸念を意識した発言であることは明白だ。
 さらにイクバール氏は、17~18世紀にかけてアジアでの貿易を独占し、植民地経営にも関与した東インド会社を引き合いに出し、「中国は東インド会社にはならない。パキスタンにとって何も恐れることはない」とも発言した。

 もちろん、インフラ整備などによって、生産性が向上し、経済発展につながれば、債務返済も順調に進む可能性はある。外交筋は
「仮定をいくつか経ないと、良い結果にたどり着けないのが一帯一路だ」とした上で、「インフラが整うのは素晴らしいが、その背後に潜んでいるものを見極める必要がある」と話している。

 「債務のわな」に気づかず、完成したインフラを中国側に譲渡し、国家の主権の一部を中国に奪われしまう「一帯一路」の負の側面。
 調査で「最大のリスクを負っている」と指摘されたパキスタンでは、危機感はなく、現地ジャーナリストは「中国がインフラ整備をして、働き口を作ってくれると歓迎する雰囲気がある」と指摘。アッサン・イクバール計画相は「中国は東インド会社にはならない。パキスタンにとって何も恐れることはない」と中国からの投資を歓迎しているのだそうです。

 開発投資の支援を受けた国で、雇用や国内経済需要が増えて経済成長効果が産まれればよいのですが、アフリカでの中国の開発援助で実証されている通り、資材は中国から持ち込まれ、労働者も中国の余剰人口が流入。地元での経済効果は薄く、残るのは高金利の債務。
 こうしたアフリカでの中国の経済支援の負の側面の実績が知られていますが、「一帯一路」でも顕在化しつつあり、「一帯一路」が生み出す巨額債務への警戒感がここに来て急速に広がっていて、IMFの親中ともいえる、ラガルド専務理事ても公に警告を発せざるを得ない状況になっているのだと。

 そこで気がかりなのは、中国の債権の焦げ付き。建設するインフラは、元々財政投資として回収がないことも覚悟しているのでしょうか。(なので高金利?)
 国内の景気浮揚のための財政支出に加え、その打開策として海外での需要創出を狙う「一帯一路」への財政支出。
 中国の財政のバランスが気がかりです。
 「一帯一路」での日中協力。「AIIB」と「ADB」の接近。中国の日本への接近姿勢への転換と関係はないのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、「一帯一路」の債務リスクについて警告したラカルドIMF専務理事
  中国の「一帯一路」、進展あるが債務リスクも=IMF専務理事 | ロイター

 


  アスパラカスの花


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