遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

「自由で開かれたインド太平洋戦略」で中国と協力?

2018-01-23 23:58:58 | 日本を護ろう
 第196通常国会が22日に召集され、安倍首相は衆議院本会議で施政方針演説を行いました。内容について各紙の社説が取り上げて論評しています。
 読売は、総花的に触れていますが、産経は、「中国の脅威に言及足りぬ」と、「外交・安全保障」の中の、「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」での「自由で開かれたインド太平洋戦略」に関連する中国に対する姿勢にフォーカスしています。
 毎日は「働き方改革」にフォーカス。朝日は首相が改憲にまえのめりと批判。日経は社説での論評はありませんでした。

 遊爺が注目したのは、世界情勢が大きく動いている今年、戦後最大の危機に直面している中、「自由で開かれたインド太平洋戦略」をかかげ、北朝鮮のうしろで動いている中国への取り組み姿勢です。
 南シナ海で仲裁裁判所の裁定に従わず、人口島を建設し軍事基地化し領有権・領海・領空権を主張し、力による現状変更を進め、東シナ海では尖閣諸島の領有権を主張し侵略をエスカレートさせている中国に、航行の自由、法の支配を旨としている「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、協力関係を進めることには矛盾を否めません。
 産経が「中国の脅威に言及足りぬ」と指摘する通りです。

 
施政方針演説 働き方改革で成果が問われる : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
 社説:安倍首相の施政方針演説 挑発を抑えたのは前進だ - 毎日新聞
 (社説)憲法70年 際立つ首相の前のめり:朝日新聞デジタル
 
施政方針演説 中国の脅威に言及足りぬ (1/23 産経 主張)

 
わが国が抱える難問を率直に語り、答えを提示する。それがリーダーの責務である。安全保障上の課題でも同様だ。
 安倍晋三首相は施政方針演説で、核・ミサイル開発を進める北朝鮮を「重大かつ差し迫った脅威」と指摘し、その計画を放棄させ、拉致問題を解決すると強調した。
 それは妥当だとしても、
安全保障環境を悪化させる元凶は北朝鮮だけではない。その点を素通りしているのは物足りない


 尖閣諸島を狙い、南シナ海で軍事施設を拡張する
「強国路線」の中国とどう向き合うか。肝心なところが分からない
ではないか。

 北朝鮮危機は、昨年の衆院選で首相が国難の一つに取り上げた。外交努力と、強固な日米同盟に基づいて「国民の命と平和な暮らし」を守り抜くと約束したのは当然だろう。
 安保政策の根幹は「自らが行う努力」とし、従来の延長線上ではない防衛力整備も約束した。

 一方、中国については日中平和友好条約締結40周年の今年、あらゆるレベルで交流を飛躍的に強化し、
日中関係を「新たな段階」へ押し上げていくとした

 昨年、打ち出した
法の支配や航行の自由を礎とするインド太平洋戦略も取り上げた。これに沿って中国と協力し、アジアのインフラ整備の需要に応えるという

 そのことが「安定的に友好関係を発展」させるというのは、
習近平政権が重視する経済圏構想「一帯一路」への協力を意味する
ものだろう。
 だが、
今の中国と法の支配や航行の自由、民主主義などの価値を共有するのは困難だ。それなのに、インド太平洋戦略に基づいて協力するとは甚だ疑問
である。

 対中債務に苦しむスリランカは、中国の援助で建設した港の管理を99年間、中国の国営企業に譲渡した。
「一帯一路」とは、中国に都合のよい経済、国際秩序をつくる手段
の色彩が濃い。
 権益を守るため、海軍を中心とする中国軍の活動がインド太平洋地域で広がっている。権益の伸長と軍事プレゼンスの増大は表裏一体である。
「一帯一路」への安易な協力は、中国の覇権に手を貸すことにならないか


 中国の覇権主義にどう対処するか。
関係改善の流れに水を差すまいとして、厳しい現実を国民に語れないような戦略では危うい

 
平成30年1月22日 第百九十六回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 平成30年 | 施政方針/所信表明 | 首相官邸ホームページ

<前略>
(地球儀を俯瞰(ふかん)する外交)
<中略>
 太平洋からインド洋に至る広大な海。古来この地域の人々は、広く自由な海を舞台に豊かさと繁栄を享受してきました。航行の自由、法の支配はその礎であります。この海を将来にわたって、全ての人に分け隔てなく平和と繁栄をもたらす公共財としなければなりません。「自由で開かれたインド太平洋戦略」
を推し進めます。
 
この大きな方向性の下で、中国とも協力して、増大するアジアのインフラ需要に応えていきます
。日本と中国は、地域の平和と繁栄に大きな責任を持つ、切っても切れない関係にあります。大局的な観点から、安定的に友好関係を発展させることで、国際社会の期待に応えてまいります。
 本年は日中平和友好条約締結四十周年という大きな節目に当たります。経済、文化、観光、スポーツ、あらゆるレベルで日中両国民の交流を飛躍的に強化します。早期に日中韓サミットを開催し、李克強首相を日本にお迎えします。そして、私が適切な時期に訪中し、習近平国家主席にもできるだけ早期に日本を訪問していただく。ハイレベルな往来を深めることで、日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります。

<後略>

 力による現状変更を推進する中国。東シナ海での国際法廷の裁定を無視する姿勢には、米国は「航行の自由」作戦を展開し、法の順守を求めています。
 習近平が進める「一帯一路」政策での海路では、各地に中国の軍港建設を進めています。
 これらは、およそ、航行の自由や法の支配とは逆の行動です。

 安全保障環境を悪化させる元凶は北朝鮮だけではない。「強国路線」の中国とどう向き合うか。肝心なところが分からない。と指摘する産経の社説。
 更に、法の支配や航行の自由を礎とするインド太平洋戦略に沿って中国と協力し、アジアのインフラ整備の需要に応えるという。「一帯一路」への協力を意味するものだろう。だが、今の中国と法の支配や航行の自由、民主主義などの価値を共有するのは困難だ。それなのに、インド太平洋戦略に基づいて協力するとは甚だ疑問である。と指摘しています。
 全く同感です。

 あえて中国とことを構えよと言っているのではありません。
 米国に追いつき追い越せと「軍事強国化」を推進する習近平の中国。その覇権主義を、自由主義陣営の、日米豪印の連携でけん制し抑止し、航行の自由と法の支配を確立しようというのが「自由で開かれたインド太平洋戦略」だと思っていましたが、安倍首相の説明は、インド太平洋戦略の下で中国と協力だと。。
 アフリカでの「一帯一路」との協力実施を既に打ち出していますが、中国が、航行の自由と、法の支配を、未だ実現してはいません。
 日中関係を改善することに異議を唱えているのではありませんが、「一帯一路」への安易な協力は、中国の覇権に手を貸すことにならないかとの産経の主張と同感です。
 関係改善の流れに水を差すまいとして、厳しい現実を国民に語れないような戦略では危ういとは、その通りと支持します。
 自由と国際法の支配を尊重する、日米豪印他の国々の連携での、力による現状変更を進める中国への抑止力こそが、関連諸国から求められていると考えていますし、日米豪印等が「自由で開かれたインド太平洋戦略」に賛同している所以でしょう。



 # 冒頭の画像は、衆院本会議で施政方針演説を行う安倍晋三首相




  この花の名前は、クラリーセージ




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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交





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