「異次元の少子化対策」をめぐり、岸田文雄首相は5月31日、来年度から3年間の集中期間に実施する「加速化プラン」の予算規模について、年3兆5千億円規模とするよう関係閣僚に指示しました。
それは、先送りされていた課題への取り組みと評価されますが、先送りされがちだった財源はどうするのか。
財政制度等審議会(財政審)は、少子化対策の財源について、赤字国債で賄うことは認められないという姿勢を明確にしたという。ほとんどの報道において、「赤字国債」という言葉が使われている。
岸田政権は、財源をどうする?
アベノミクス創設チームのメンバーだった、高橋洋一氏が、解説いただいています。
ほとんどの報道において、「赤字国債」という言葉が使われていると、高橋氏。
5月29日に公表された財政審の報告書をみると、基本認識のところで「新しい資本主義」では、少子化対策について、«恒久的な施策には恒久的・安定的な財源の確保が必要である。少子化対策の財源負担を、これから生まれるこどもたちの世代に先送りすることは本末転倒であり、そのような対応はあってはならない。全世代型社会保障の考え方に立って、医療・介護など社会保障分野の歳出改革を断行するとともに、企業を含め社会・経済の参加者全員が公平な立場で広く負担する新たな枠組みを検討していかねばならない»とされていると、高橋氏。
各論の少子化対策で«少子化対策の財源については、様々な税財源も組み合わせるなど、税も選択肢から排除すべきではないのではないか等の意見があった»とも書かれているのだそうです。
しかし、「国債」という言葉は用いられていない。
なぜ、国債はダメだと報告書で断言できないのかと、高橋氏。
財政法のコンメンタール(逐条解説書)『予算と財政法』には、モノ(有形固定資産)への投資である公共事業のみならず、無形固定資産は公債対象経費という記述がある。
そのロジックは«後世代がその利益を享受でき、その意味で無形の資産と観念し得るものについては、後世代に相応の負担を求めるという観点から公債対象経費とすることに妥当性がある»というものだ。人への投資も無形固定資産とみなせると、高橋氏。
岸田政権は、「新しい資本主義」で、人への投資を標榜している以上、少子化対策を人への投資ではないとは言えないはず。そこで、報告書では、国債という言葉を用いずに、国債は排除されていないと、高橋氏。
しかし、マスコミ向けのブリーフィングなどで、財務官僚が「国債」「赤字国債」と説明したので、国債を排除した報道になったのではないか。国債はダメだという世論誘導が行われている可能性もあるとみていると、高橋氏。
社会的に有用な投資で波及効果が長期に及ぶものについて、長期債で賄うのはファイナンス理論の基本中の基本と整合的だ。
人への投資なのに、物(有形固定資産)への投資と同じ国債では何故駄目なのか、財政審報告書は逃げていると、高橋氏。
耳障りのよいアドバルーンを揚げる岸田政権。しかし実現に向けた具体策は未定。
それがたんなる未定でなく、実現には大きな壁がみえているのにそこを先延ばしして、人気とりのアドバルーンだけ。
それで国民は騙せると思っているのか。国民は騙されるのか?
# 冒頭の画像は、意見書を取りまとめた財政制度等審議会
この花の名前は、フランスギク
↓よろしかったら、お願いします。
それは、先送りされていた課題への取り組みと評価されますが、先送りされがちだった財源はどうするのか。
財政制度等審議会(財政審)は、少子化対策の財源について、赤字国債で賄うことは認められないという姿勢を明確にしたという。ほとんどの報道において、「赤字国債」という言葉が使われている。
岸田政権は、財源をどうする?
アベノミクス創設チームのメンバーだった、高橋洋一氏が、解説いただいています。
【日本の解き方】少子化対策の不可解な財源論、世論誘導の可能性も 財政審報告書では国債排除せず 「人への投資」なら活用可能だ - zakzak:夕刊フジ公式サイト 元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一 2023.6/3
財政制度等審議会(財政審)は、少子化対策の財源について、赤字国債で賄うことは認められないという姿勢を明確にしたという。ほとんどの報道において、「赤字国債」という言葉が使われている。
5月29日に公表された財政審の報告書をみると、基本認識のところで≪「新しい資本主義」では、人への投資、GX・DX、科学技術・イノベーション、スタートアップ等が重点投資分野とされている≫の後に、少子化対策について、≪恒久的な施策には恒久的・安定的な財源の確保が必要である。少子化対策の財源負担を、これから生まれるこどもたちの世代に先送りすることは本末転倒であり、そのような対応はあってはならない。全世代型社会保障の考え方に立って、医療・介護など社会保障分野の歳出改革を断行するとともに、企業を含め社会・経済の参加者全員が公平な立場で広く負担する新たな枠組みを検討していかねばならない≫とされている。
各論の少子化対策で≪少子化対策の財源については、様々な税財源も組み合わせるなど、税も選択肢から排除すべきではないのではないか等の意見があった≫とも書かれている。
これで分かると思うが、財政審報告書の少子化対策に関するところで「国債」という言葉は用いられていない。「これから生まれるこどもたちの世代に先送りすること」はダメであり、「税も選択肢から排除すべきではない」との一部意見があったということだ。
なぜ、国債はダメだと報告書で断言できないのか。実は、国債対象経費にはさまざまなものがある。財務官僚が書いた財政法のコンメンタール(逐条解説書)『予算と財政法』(小村武著、新日本法規、五訂版)には、モノ(有形固定資産)への投資である公共事業のみならず、無形固定資産は公債対象経費という記述がある。そのロジックは≪後世代がその利益を享受でき、その意味で無形の資産と観念し得るものについては、後世代に相応の負担を求めるという観点から公債対象経費とすることに妥当性がある≫というものだ。無形固定資産の典型としては研究開発であるが、人への投資も同じく無形固定資産とみなせる。
「新しい資本主義」で、人への投資を標榜(ひょうぼう)している以上、少子化対策を人への投資ではないとは言えないはずだ。そこで、報告書では、国債という言葉を用いずに、国債は排除されていない。しかし、マスコミ向けのブリーフィングなどで、財務官僚が「国債」「赤字国債」と説明したので、国債を排除した報道になったのではないか。国債はダメだという世論誘導が行われている可能性もあると筆者はみている。
財政法のコンメンタールは、筆者も現役時代には関与したが、社会的に有用な投資で波及効果が長期に及ぶものについて、長期債で賄うのはファイナンス理論の基本中の基本と整合的だ。
人への投資なのに、物(有形固定資産)への投資と同じ国債では何故駄目なのか、財政審報告書は逃げている。
財政制度等審議会(財政審)は、少子化対策の財源について、赤字国債で賄うことは認められないという姿勢を明確にしたという。ほとんどの報道において、「赤字国債」という言葉が使われている。
5月29日に公表された財政審の報告書をみると、基本認識のところで≪「新しい資本主義」では、人への投資、GX・DX、科学技術・イノベーション、スタートアップ等が重点投資分野とされている≫の後に、少子化対策について、≪恒久的な施策には恒久的・安定的な財源の確保が必要である。少子化対策の財源負担を、これから生まれるこどもたちの世代に先送りすることは本末転倒であり、そのような対応はあってはならない。全世代型社会保障の考え方に立って、医療・介護など社会保障分野の歳出改革を断行するとともに、企業を含め社会・経済の参加者全員が公平な立場で広く負担する新たな枠組みを検討していかねばならない≫とされている。
各論の少子化対策で≪少子化対策の財源については、様々な税財源も組み合わせるなど、税も選択肢から排除すべきではないのではないか等の意見があった≫とも書かれている。
これで分かると思うが、財政審報告書の少子化対策に関するところで「国債」という言葉は用いられていない。「これから生まれるこどもたちの世代に先送りすること」はダメであり、「税も選択肢から排除すべきではない」との一部意見があったということだ。
なぜ、国債はダメだと報告書で断言できないのか。実は、国債対象経費にはさまざまなものがある。財務官僚が書いた財政法のコンメンタール(逐条解説書)『予算と財政法』(小村武著、新日本法規、五訂版)には、モノ(有形固定資産)への投資である公共事業のみならず、無形固定資産は公債対象経費という記述がある。そのロジックは≪後世代がその利益を享受でき、その意味で無形の資産と観念し得るものについては、後世代に相応の負担を求めるという観点から公債対象経費とすることに妥当性がある≫というものだ。無形固定資産の典型としては研究開発であるが、人への投資も同じく無形固定資産とみなせる。
「新しい資本主義」で、人への投資を標榜(ひょうぼう)している以上、少子化対策を人への投資ではないとは言えないはずだ。そこで、報告書では、国債という言葉を用いずに、国債は排除されていない。しかし、マスコミ向けのブリーフィングなどで、財務官僚が「国債」「赤字国債」と説明したので、国債を排除した報道になったのではないか。国債はダメだという世論誘導が行われている可能性もあると筆者はみている。
財政法のコンメンタールは、筆者も現役時代には関与したが、社会的に有用な投資で波及効果が長期に及ぶものについて、長期債で賄うのはファイナンス理論の基本中の基本と整合的だ。
人への投資なのに、物(有形固定資産)への投資と同じ国債では何故駄目なのか、財政審報告書は逃げている。
ほとんどの報道において、「赤字国債」という言葉が使われていると、高橋氏。
5月29日に公表された財政審の報告書をみると、基本認識のところで「新しい資本主義」では、少子化対策について、«恒久的な施策には恒久的・安定的な財源の確保が必要である。少子化対策の財源負担を、これから生まれるこどもたちの世代に先送りすることは本末転倒であり、そのような対応はあってはならない。全世代型社会保障の考え方に立って、医療・介護など社会保障分野の歳出改革を断行するとともに、企業を含め社会・経済の参加者全員が公平な立場で広く負担する新たな枠組みを検討していかねばならない»とされていると、高橋氏。
各論の少子化対策で«少子化対策の財源については、様々な税財源も組み合わせるなど、税も選択肢から排除すべきではないのではないか等の意見があった»とも書かれているのだそうです。
しかし、「国債」という言葉は用いられていない。
なぜ、国債はダメだと報告書で断言できないのかと、高橋氏。
財政法のコンメンタール(逐条解説書)『予算と財政法』には、モノ(有形固定資産)への投資である公共事業のみならず、無形固定資産は公債対象経費という記述がある。
そのロジックは«後世代がその利益を享受でき、その意味で無形の資産と観念し得るものについては、後世代に相応の負担を求めるという観点から公債対象経費とすることに妥当性がある»というものだ。人への投資も無形固定資産とみなせると、高橋氏。
岸田政権は、「新しい資本主義」で、人への投資を標榜している以上、少子化対策を人への投資ではないとは言えないはず。そこで、報告書では、国債という言葉を用いずに、国債は排除されていないと、高橋氏。
しかし、マスコミ向けのブリーフィングなどで、財務官僚が「国債」「赤字国債」と説明したので、国債を排除した報道になったのではないか。国債はダメだという世論誘導が行われている可能性もあるとみていると、高橋氏。
社会的に有用な投資で波及効果が長期に及ぶものについて、長期債で賄うのはファイナンス理論の基本中の基本と整合的だ。
人への投資なのに、物(有形固定資産)への投資と同じ国債では何故駄目なのか、財政審報告書は逃げていると、高橋氏。
耳障りのよいアドバルーンを揚げる岸田政権。しかし実現に向けた具体策は未定。
それがたんなる未定でなく、実現には大きな壁がみえているのにそこを先延ばしして、人気とりのアドバルーンだけ。
それで国民は騙せると思っているのか。国民は騙されるのか?
# 冒頭の画像は、意見書を取りまとめた財政制度等審議会
この花の名前は、フランスギク
↓よろしかったら、お願いします。