遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米軍先端兵器に中国製偽部品が多量に混入 何故?

2012-05-30 23:54:20 | my notice
 世界最先端を誇る米国の先端兵器に、大量の中国製偽部品が使用されていることが判明したのだそうです。セキュリィティについても世界最先端の米軍のことですから、びっくりです。こういった事実が判明するところが米国の先進性ともいえるのでしょうか?
 仮想(?)敵国製のしかも偽部品が採用されてしまっているのですから、中国が戦略として混入させたとしたら究極の戦略成功と言えますが、何故こんなことが発生したのでしょう。
 

米兵器に中国偽造部品 「100件調査の70%超」 輸送機、ヘリに装備なら重大な危険 上院軍事委が調査、軍・政府に警告 (5/30 産経)

 
【ワシントン=古森義久】米軍のミサイル防衛(MD)システムや大型軍用機、ヘリなど近代兵器の数種類に、多数の中国製偽造電子部品が組み込まれていたことが、米議会上院軍事委員会の調査で28日までに明らかになった。この種の偽物部品は兵器の性能を大きく狂わせる危険があるとして、同委員会は米軍や政府に警告を発した。
 同軍事委員会(カール・レビン委員長)がまとめた報告書「国防総省の供給系統での偽造電子部品の調査」は、米軍の各種兵器の電子部品について多数の専門家を投入して1年以上かけて調査した結果として、「2010年までの2年間の国防総省への調達兵器のなかで合計1800件、部品個数だと100万個以上の偽造電子部品を発見した」ことを明らかにした。

 
偽造製品の製造元については、「約100件の追跡調査のうち70%以上が中国であることが確認された。残る大多数も他の諸国を経由したとはいえ中国製
の疑いが濃い」という。
 同報告書は具体例として、ロッキード・マーティン社が開発し、米軍がすでに配備を始めたミサイル防衛局の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)のミッション・コンピューターに中国製の偽造電子部品が使われていたと指摘した。
 また、レイセオン社製造の米海軍ヘリコプターSH60Bの前方直視赤外線システム(FLIR)内部の電磁妨害濾波器(EIF)3基に偽造電子部品が組み込まれていたことも発覚した。FLIRは暗視やミサイル発射照準の機能を持ち、内部のEIFに欠陥があれば同機能がそがれる。
 米国軍事部品企業のL3ディスプレー・システムズ社製の軍用機用表示盤でも、500基以上に偽造品のメモリーチップが内蔵されていたことが確認された。同表示盤は米空軍の輸送機C130JやC27J、C17、米海兵隊のヘリコプターCH46に装備され、パイロットにエンジンや機体、燃料の状況を知らせるが、欠陥チップは表示盤の機能をそぎ、重大な危険を招く。
 さらに、ボーイング社製の対潜、対艦戦闘用大型軍用機P8Aポセイドンの氷付着探知モジュールは、新品を装った偽造部品だった。同モジュールの欠陥は同機の飛行に危険を招きかねない。
 同報告書はEIF、同表示盤、同モジュールの3例の偽造部品の製造元として
中国・深センの中国系企業3社を特定
した。
 この種の偽造品・模造品は、
機能が当面は本物に等しい場合もある
が、障害を生じる危険性が高いという。
 同報告書は総括として、米軍当局に今後兵器類の調達に際し、製品や部品の製造企業の実態調査を厳しく実行し、警戒を強めることを勧告するとともに、米政府にも監視を強化することを求めた。

 何故こんなことが起きるのか、以下は遊爺の勝手な妄想です。
 先ず中国での偽部品の背景です。世界の工場中国誕生の背景は、米国や日本が産み出した人件費などの安価な中国への生産移管でした。以来進んだ生産移管=生産技術の移行が中国で米国や日本の国内で生産するものと変わらない品質の生産を可能にしつつあります。
 二番目が、米国の防衛費の削減推進です。当然調達段階でのコストダウンがいの一番に取り組まれているはずで、それもかなり強硬なものとは容易に想像されますね。そこに偽物の侵入する隙間が発生することも当然の成り行きですね。飛躍した極端な例が格安バスの事故です。
 三番目が、中国の戦略で新たな戦争の場の出現となります。
 敵国の先端兵器の部品に自国製品を忍ばせて、いざと言うときに誤作動させる。技術的にはそう難しいことではなく、障壁は忍び込ませることでしょう。
 その障壁が、故意か偶然か達成されていたということで、障壁が乗り越えられる可能性を示した事件です。
 当然米国としても、中国軍が使う兵器の部品を米国でコントロール出来るものを忍び込ませる戦略を、これを機に検討を始めることにもなる可能性があります。

 以下の記事では、産経の記事より詳しく報じて、何故にも踏み込もうとしていますが、未だ真相は判らない様です。
 

発覚!米軍兵器に巣食う大量の中国製偽造部品 ヘリコプターのレーダーから高度なミサイル迎撃システムまで

<前略>

見えてこない中国の本当の狙い

 果たして中国は、とにかく偽造品を大量に作って、売りまくるという
利益追求の違法行為の結果として、こんなことを起こすのか、あるいはもっと深慮遠謀があって、米軍の近代兵器を骨抜きにするために偽造品を流通させているのか、まだ結論は出せない
ようである。
 同報告書は総括として、米軍当局に対し、今後兵器類の調達に際して、製品や部品の製造企業の実態の調査を厳しく実行し、警戒を強めることなどを勧告していた。当然の勧告だと言えよう。
 また報告書は同時に米国の政府や軍部に対し、中国のその種の動向への注意や監視を増すことをも強く求めていた。
 今、軍事面で対立を深める米国と中国は近代兵器の電子部品という特殊な領域でも、このようなせめぎ合いを強めているのである。

  中国の在日外交官よるスパイ容疑で揺れている日本ですが、そんなへぼいレベルの話ではなく、共産党、政府、人民解放軍の3系統のスパイ組織が競い合う中国では、謀略戦がどんどん進化していることは当然ありうることで、敵国の武器の無力化に取り組んでいることは当然ありうると考えるべきでしょうね。
 
 とにかくびっくりする話で、今後の原因追及結果が待たれます。


 # 冒頭の画像は、氷付着探知モジュールが偽部品だった、P-3Cオライオン哨戒機の後継機P-8Aポセイドン



 この花の木の名前は、ウチワノキ

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