Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

SHAME -シェイム-

2013-01-27 | 外国映画(さ行)
★★★ 2011年/イギリス 監督/スティーブ・マックイーン 
(映画館にて鑑賞)


「わかるよ、わかるんだけどさ」

ややネタバレです。


とにかくマイケル・ファスベンダーありきの作品。
仕事の合間でも自慰にふけり、会社のPCのHDDもポルノビデオでいっぱい。
普通に考えりゃ、ド変態のキモ男ですけど、彼が演じると深みが出るっていうのが凄い。

ほんの少しでも時間が空いたら、の中毒っぷりは、ドラッグジャンキーと同じ。
依存症なんてものを超えてる。
しかし、ここまで病んでしまった理由は何なのか、というのは最後まで明示されない。
それが私には不満だった。
もちろん、原因が妹にあるってのは、わかるよ。
妹しか愛せないんでしょ?
わかるけどさあ、もう少し話してくれてもいいんじゃないかなあと思うワケ。

「誰も愛することができない」
これは、人間にとっては最大級につらいことだよね。
だから、ブランドンはあんな人間になってしまった。
そのヒリヒリするような痛みと孤独を描くことに監督は終始している。
潔いと言えば潔い。そのポリシーはよおくわかった。
その上でだねえ、思うわけですよ。
ブランドンがあんな風になってしまった理由をもう少し見せて欲しいと。

よく観客に委ねる映画なんて形容されるけれども、
委ねられた観客っていうのは、それまでの成り行きを自分なりに消化して、きっとこうなるだろうと予測する。
でもこの映画はその予測をさせる情報があまりに少ない。
この先、ブランドンとシシーはこうなるんだろうと、
映画を見終わった後に友人同士で語り合うこともできない。
ここまでの痛みを見せつけておいて、それでいいのかなあと思うんである。