『パンズ・ラビリンス』
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すばらしい。完璧。
今年観た中では『パフューム』に並ぶか、もっと上くらいです。
もう何度でも観たいし、DVD出たら絶対買う。グッズとかあったら欲しい。マジで。
女の子なら誰でも、小さいころにはお姫さまや王子さまや魔法使いや妖精の存在を信じた時期があったはずだと思う。
もちろんぐりにもあった。サンタクロースは信じてなかったけど、いくつのころまでか、おとぎ話の世界の実在を信じていたことははっきり覚えている。
この映画は、そのころの気持ちを、信じられないほどあざやかに甦らせてくれる。むしろ現実から救い出してくれる非現実の世界なんか存在しないことを現実の支えにして生きている大人にとって、これほどショッキングなことはない。
途中、ヒロイン・オフェリア(イバナ・バケロ)に向かって母親(アリアドナ・ヒル)が「おまえにも私にも誰にも魔法なんかない」と叫ぶシーンがある。ぐりはそこで突然涙が溢れて止まらなくなってしまった。その台詞を聞くまで、映画を観ている自分までもが、オフェリアといっしょに、魔法の王国の幻想にしがみついていたことにまったく気づかなかったのだ。そのときオフェリアは言葉もなく涙ながらに母を見返すだけなのだが、ぐりの耳の中には「おかあさん!!お願いだからそんなこといわないで!!」という泣き声が最大音量で響いていた。いや、ぐり自身が心の中で必死にそうわめいていた。
監督は当初このヒロインを7〜8歳に設定していたそうだが、バケロは94年生まれなので彼女をキャスティングしてから台本をその年齢にあわせてリライトしたという。このリライトがまさしく魔術的な効果を最大限に発揮しているところが映画のマジックそのものだ。
劇中何度もオフェリアは「もうおとぎ話にうつつを抜かす年齢じゃないのに」と咎められるのだが、彼女にとって、生まれ育った町を離れ、山深い森の中の悲惨きわまりない前戦に連れてこられ、鬼のような継父(セルジ・ロペス)と再婚した母親はどんどん自分から遠ざかっていく、そんな危機的状況の中で孤独に耐え自分を支え勇気づけるために、ファンタジーが切実に必要だったのだ。
つまり血で血を洗う内戦の悲劇とゴシックな幻想世界とをリアルに結びつけ、さらにそれをリアルに観客に共感させるリンクとして、ほんとうならおとぎ話など忘れかけているはずのヒロインの年齢設定は機能している。
また、母親を助けたい、生まれてくる赤ん坊を守りたいという彼女の幼い自立心にも、思春期にさしかかろうかという微妙な年ごろだからこそ説得力が感じられる。
同時にこの物語のテーマのひとつは「自由」の意味と重さでもある。
戦争描写がもうもう目を覆いたくなるほど残酷で凄惨なのだが、レジスタンスの人々は自らが夢みる「自由」の絶対性を露ほども疑わないからこそ勇敢になる。
だが地元の医者(アレックス・アングロ)は最期に「疑いもなく盲目的に服従するなんて心のない人にしかできない」という。
オフェリアもまた最終的には「盲目的に」幻想を信じるのをやめ、自分の意志で運命を選びとる。
自分の意志で運命を選びとることこそが真の自由ではあるのだが、その結果もまた重い。平和な社会を自由に生きているわれわれはそういう部分では「真の自由」を知らないのではないかという気持ちにさせられる。
観る人によってさまざまな捉え方ができる、非常に奥行きのある豊かな物語でもあるが、ぐりは観ていて、幻想世界を信じたい自分と、現実の苛酷さの方を受け入れざるを得ない自分とに引き裂かれている自分、すなわち、どうにかしてピュアでいたい自分と、もう到底ピュアでいることなどできない自分との、ちょうど中間にいる自分を感じて真剣にうろたえたし、これまで味わったことのないそんな感覚に深く心を打たれた。
エンディングもまた人によってはハッピーエンドだと思うだろうし、アンハッピーエンドに決まってるじゃないかと思う人もいるだろう。ぐりはどちらにしても悲しいと思った。オフェリアにとって魔法の王国が現実だったとしてもそうでなかったとしても、この物語はやはり悲しい。
こんなにせつない映画は初めてです。
特殊メイクがどことなくマシュー・バーニーっぽくてなんか関連あるのかな?と思ってクレジットをみたけど、とくに具体的には関係はないみたいですね。
ところで子守唄って万国共通あんな風に物悲しいメロディなのかなー?なんでだろー。
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すばらしい。完璧。
今年観た中では『パフューム』に並ぶか、もっと上くらいです。
もう何度でも観たいし、DVD出たら絶対買う。グッズとかあったら欲しい。マジで。
女の子なら誰でも、小さいころにはお姫さまや王子さまや魔法使いや妖精の存在を信じた時期があったはずだと思う。
もちろんぐりにもあった。サンタクロースは信じてなかったけど、いくつのころまでか、おとぎ話の世界の実在を信じていたことははっきり覚えている。
この映画は、そのころの気持ちを、信じられないほどあざやかに甦らせてくれる。むしろ現実から救い出してくれる非現実の世界なんか存在しないことを現実の支えにして生きている大人にとって、これほどショッキングなことはない。
途中、ヒロイン・オフェリア(イバナ・バケロ)に向かって母親(アリアドナ・ヒル)が「おまえにも私にも誰にも魔法なんかない」と叫ぶシーンがある。ぐりはそこで突然涙が溢れて止まらなくなってしまった。その台詞を聞くまで、映画を観ている自分までもが、オフェリアといっしょに、魔法の王国の幻想にしがみついていたことにまったく気づかなかったのだ。そのときオフェリアは言葉もなく涙ながらに母を見返すだけなのだが、ぐりの耳の中には「おかあさん!!お願いだからそんなこといわないで!!」という泣き声が最大音量で響いていた。いや、ぐり自身が心の中で必死にそうわめいていた。
監督は当初このヒロインを7〜8歳に設定していたそうだが、バケロは94年生まれなので彼女をキャスティングしてから台本をその年齢にあわせてリライトしたという。このリライトがまさしく魔術的な効果を最大限に発揮しているところが映画のマジックそのものだ。
劇中何度もオフェリアは「もうおとぎ話にうつつを抜かす年齢じゃないのに」と咎められるのだが、彼女にとって、生まれ育った町を離れ、山深い森の中の悲惨きわまりない前戦に連れてこられ、鬼のような継父(セルジ・ロペス)と再婚した母親はどんどん自分から遠ざかっていく、そんな危機的状況の中で孤独に耐え自分を支え勇気づけるために、ファンタジーが切実に必要だったのだ。
つまり血で血を洗う内戦の悲劇とゴシックな幻想世界とをリアルに結びつけ、さらにそれをリアルに観客に共感させるリンクとして、ほんとうならおとぎ話など忘れかけているはずのヒロインの年齢設定は機能している。
また、母親を助けたい、生まれてくる赤ん坊を守りたいという彼女の幼い自立心にも、思春期にさしかかろうかという微妙な年ごろだからこそ説得力が感じられる。
同時にこの物語のテーマのひとつは「自由」の意味と重さでもある。
戦争描写がもうもう目を覆いたくなるほど残酷で凄惨なのだが、レジスタンスの人々は自らが夢みる「自由」の絶対性を露ほども疑わないからこそ勇敢になる。
だが地元の医者(アレックス・アングロ)は最期に「疑いもなく盲目的に服従するなんて心のない人にしかできない」という。
オフェリアもまた最終的には「盲目的に」幻想を信じるのをやめ、自分の意志で運命を選びとる。
自分の意志で運命を選びとることこそが真の自由ではあるのだが、その結果もまた重い。平和な社会を自由に生きているわれわれはそういう部分では「真の自由」を知らないのではないかという気持ちにさせられる。
観る人によってさまざまな捉え方ができる、非常に奥行きのある豊かな物語でもあるが、ぐりは観ていて、幻想世界を信じたい自分と、現実の苛酷さの方を受け入れざるを得ない自分とに引き裂かれている自分、すなわち、どうにかしてピュアでいたい自分と、もう到底ピュアでいることなどできない自分との、ちょうど中間にいる自分を感じて真剣にうろたえたし、これまで味わったことのないそんな感覚に深く心を打たれた。
エンディングもまた人によってはハッピーエンドだと思うだろうし、アンハッピーエンドに決まってるじゃないかと思う人もいるだろう。ぐりはどちらにしても悲しいと思った。オフェリアにとって魔法の王国が現実だったとしてもそうでなかったとしても、この物語はやはり悲しい。
こんなにせつない映画は初めてです。
特殊メイクがどことなくマシュー・バーニーっぽくてなんか関連あるのかな?と思ってクレジットをみたけど、とくに具体的には関係はないみたいですね。
ところで子守唄って万国共通あんな風に物悲しいメロディなのかなー?なんでだろー。