落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

斬り落とされた乳房の唄

2008年07月17日 | book
『光州事件で読む現代韓国』 真鍋祐子著
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1980年5月、政府軍と光州市民の軍事衝突によって数千人ともいわれる犠牲者を出した光州事件を描いた映画『光州5・18』
どうにもあやふやな事件についての知識に何かの手がかりでもと思って観にいってみたものの、画面の中には答えはほとんど見いだせなかった。圧倒的強者=軍隊を前に自らのヒロイズムに陶酔するかのように狂気の階段を駆け上っていく登場人物たちの盛上りに、みればみるほど却って事件のことが遠く、わかりにくく感じられてしかたがなかった。とにかく、いったいなぜ、何が、誰が、いつ、どのようにして事件を引き起しあれほどの大惨事にしてしまったのかが、やはりあやふやなのだ。5W1Hのうちではっきりしてるのは、場所が光州だったということだけ。
これはちょっと勉強しないとなと思ってさっそく図書館でこの本を借りてみたのだが。

うーん。失敗だったかも・・・。
結論からいえば、この本にも「なぜ、何が、誰が、いつ、どのように」という疑問は具体的には書かれていない。ぐりが知りたかったのは、5月18日以前にどんなデモと鎮圧が行われどれだけ死傷者が出て市民はどう反応したのか、誰がいつどのようにして市民軍を結成したのか、市民軍はいかなる組織であったのか、市民軍と政府軍の間でどのような戦闘が行われどれだけの死傷者が出たのか、鎮圧後の光州市民はどうなったのかという、ごくごく具体的な、光州事件そのものをクールかつクリアに俯瞰的に解説した資料だった。でもこの本には、こういうことはほとんど書かれていない。思いっきり空振りでしたー。
その代り、光州事件に至る韓国民主化運動の流れと、軍事政権が失脚してから事件がどんどん伝説化する過程、実際に事件に関わった人々のその後など、事件周辺を基盤にした韓国現代史については相当細かく書かれている。
けどやっぱし、それが読みたかったテーマじゃなかったってのもあるし、あと描写がやけに細かくて客観性に乏しいってのもあって、途中から飛ばし読みしちゃいました。読みにくいしい、おもろくないしい(爆)。
著者の真鍋氏は韓国民主化運動や現代韓国文化についての本を何冊か出されてるんだけど、思い入れが深すぎるのか文体が暑苦しくってしょーがなかったですー。『プリンス近衞殺人事件』ほどではないけどね。しかしそれにしてももうちょっと読み手を意識した書き方はでけんもんですかいな。

ただこの本読んでると、一般的な日本人が感じる以上に、韓国と日本ってずいぶん違う国だなってことがすごくよくわかる。そんなん当り前やろなんちゅーツッコミもあろーかと思いますが、ぐりの目からみると、どーも日本人て韓国のことを外国=日本と全然違ってて当り前の国、とは思ってないよーなフシがある気がする。日本人と韓国人の顔だちが似てるせいもあるからかもしれないけど。
たとえば、ぐりが日本で生まれ育って日本の学校出て日本で働いてて国籍も日本で母国語も日本語、っちゅーと「それ日本人じゃん」っていう日本人もおられるわけですよ。正直「それはどーか?」と思うのね。心の中ではね。いちいち口に出しては反論せんけどね。たとえぐりのような出自でも、違うなって感じる部分はけっこうある。だからどーやっちゅーこともないんですが。
とはいってもどこがどんだけどー違うのか?ってのは自分でもなかなかうまく理解出来てなかったんだけど、この本読んでるとなんとなく「あーそうそうそれそれ」という気分にはなれました。そこはビミョーにスッキリ。

でもやっぱし読みたかったのはこれじゃないーっ。
どなたかオススメの本があったらおせーてちょーだいな。
それとー。ぐりが読んだ版には奥付がついてなかったですこの本。珍しくないですかー?なんでかな?