落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

『天邊一朶雲』

2005年06月07日 | movie
『天邊一朶雲』
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面白かったー。いやーサイコーっすよ。アホで。バカで。エロで。しかも力一杯。エロもギャグもいっぱいこっぱいです。
舞台は夏の台北、水不足で断水中のマンションに住む女(陳湘[王其]チェン・シアンチー)と、同じマンションで撮影中のエロビデオに出演する男優(李康生リー・カンション)が主人公。何でもかんでも拾うクセ(スイカとかペットボトルとか男(笑)とか)のある孤独な女と、毎日毎日職業的なセックスに明け暮れる男がふとした偶然からめぐりあい、恋に堕ち、じわじわと近づいていく。

今回小康は出演だけじゃなくて蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)と共同演出ってことになってます。
いつも蔡作品で「よくもまあそんなことまで」と呆れるほどの大胆演技をぶちかましまくっている小康、今回もスゴイです。もうね、言葉を失いますよ。やりきってますね。偉いよね。それとも本当にバカなのか(そんなワケない)。今回もまた台詞はなし。まっぱのシーンが多くて、そのせいかきっちりつくりこんだ肉体美を存分にさらしておられますです。昔は細くて少年っぽい体型だったけど、ちょっとイメチェン。アゴヒゲなんかも生やしたりしてね。相変わらずベビーフェイスでとても30代にゃ見えないけど。
陳湘[王其]もスゴイ。蔡明亮は孤独な人間の行動の滑稽さを描かせたらそれこそ右に出るものはいないけど、その演出を決して下品ではなく、キュートにセクシーに、ほどよく知的に見せる気品と演技力は毎度天晴れです。
この『天邊一朶雲』は98年の『Hole』と同じくところどころで唐突にミュージカルシーンが挿入されるんだけど、この歌と踊りと衣裳も最高(笑)。サイケでキッチュでそしてノスタルジック。私ゃこういうのホント大好きです。小柄な割りに筋肉質な小康の女装はもひとつ寒かったけど(笑)。一瞬子ども?赤ちゃん?に変装してんのかと思ったよ。

蔡さんはいつも「一生懸命何かやってる人の姿っておかしいじゃない?」というところにこだわった演出をするけど、今回はそのおかしさそのものがテーマ。何しろ断水中のマンションでエロビデオ撮るんだよ。そんな無茶なー。ありえなーい。でもやってる本人たちは超真剣。おかしいです。小康の相手役のひとりは日本の本物のAV女優さんで、この人のプロフェッショナルな(笑)アヘ声がまたおもろい。もー。思い出すだけで笑いがこみ上げてきてしまうよ。
あとねーおそろしーことに陸筏琳 (ルー・シアオリン) までAV女優役で出て来たよ。この人いつもは小康のおかーさんの役やってる人ですよ。たぶん50は完全に過ぎてるね。おかーさんもまっぱでアヘアへ叫ぶ。さらにボンデージルックで歌い踊る。わははははは。

しかしこの映画は日本で一般公開されるかなー?されるとしても絶対日本のスクリーンには映せないシーンとかあるんですけど。どーするんやろ。それが気になるよ(笑)。
空いてると聞いてたけど、映画が安い日だったからか割りとお客さん入ってました。しかも若い子ばっかり、カップルが多い。そしてみんなすごく静かに真面目に観ていた。ココは爆笑しても良いのでは?ってとこでもくすくす程度。反応がヴィヴィッドだと云う香港の観客と一緒にバカ笑いしたかったんだけどなぁ。
台詞が極端に少なくて1カットがすごく長い、独特の作風のアートムービーでもあるんだけど、途中で退席する人もいなかった。ぐり個人が大好きな作家の作品を、香港の若者も気に入ってくれたんなら嬉しいけどなー。

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