落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

士郎正宗の最先端

2004年05月13日 | movie
『イノセンス』
『アップルシード』
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ぐりは実はSFって全然興味ないです。アニメもヨーロッパのアート系作品と宮崎駿作品を除けばほとんど観ないです。
なのでこの2作に関しては純粋に職業的な興味で、やっとのことで観に行きました。内容に関してはさっぱり期待してなかった。原作の士郎正宗作品も一切読んだことないし、押井作品にもこれまで何の感銘も受けなかったし。
ところが観てみたらこれが面白い。『イノセンス』なんか終わってクレジットが流れた時思わず拍手しそうになったさ(しなかったけど)。

『アップルシード』の方は今回開発したとか云う「3Dライブアニメーション」と云う手法をちゃんと見てみたかったので、その目的は達成されてなんだかスッキリしました。これはごくカンタンに云うと、演技してるのは人間なんだけど画面に映るキャラクターは見慣れたセルアニメ調になるようにコンピューターでつくっちゃうと云う方法。なんで人間が演技してるのを撮影せんのかい、っつーと、CGで画面をつくるとカメラワークがかなり自由になるんですね。特にこの作品は巨大なメカや人間の繰り広げる迫力あるアクションシーンが見せ場ですから、ダイナミックなカメラワークはそれだけで非常に魅力的な表現技術になります。
アクション、かっこよかったですよ。ウン。アクションにさほどキョーミのナイぐりが見ても爽快でした。

『イノセンス』はスタッフに何人か知人がいた関係で観に行きましたが、下馬評で「難解だ」と云う評判を聞いてたせいもあってか、実際思ったほど難解には感じませんでした。普通にサスペンスとして楽しめました。
なんと云ってもやはりあの映像美は確かに凄まじかったです。昨日開幕したカンヌ映画祭にも出品されてるそうですが、これはもうまさに「一見に如かず」です。隅から隅まで豪華絢爛、一点の妥協も見受けられない、完璧な芸術作品に仕上がってます。コレつくってる方は観た人が楽しい楽しくないとかそういうことは全然考えてなくて、とにかく自分たちのやりたいことをやりたいように徹底的につきつめてつくってる、そういう感じの映像でした。だからゲージュツ。
あと音がすっごく凝ってて、リアルでした。ハリウッドのスカイウォーカーサウンドとか云う、最先端な会社がやっとられるそーですが。

ただ惜しむらくは2本ともストーリーが古臭いこと。特に『アップルシード』の方は原作が古いのかもしれませんが何のオリジナリティも認められない。ストーリーに加えて台詞とアフレコの芝居も古くさくて、画面の新鮮さを半減させているように感じました。
『イノセンス』はテーマは大変興味深いのだが、終わってみると「え、それで終わり?」みたいな、消化不良な終わり方のように思えました。この作品の台詞にはやたらめったら文豪やら思想家やら宗教家やらの格言が引用されるんですが、引用され過ぎてその意味や重さが途中から薄れて来るのが勿体無かった(狙ってんのか?)。何にせよコレがカンヌでどう受入れられるかは大変気になります。

ところで『イノセンス』にはバセットハウンドと云う犬が登場しますが、これは監督ご自身も飼われている犬種で前作『アヴァロン』にもやはり主人公の飼犬として登場しています。
押井さんは大変な犬好きで、現在お住まいになられている熱海のお宅もワンちゃんのために引越したおうちだそうですし、実際お目にかかると着ている洋服がみんな犬柄です。そんな監督を一部の人は「お犬様」と呼ぶとか呼ばないとか。
しかしこの『イノセンス』はまず今どきの日本映画にあるまじき時間とお金のかけ方をしてますが、なんでコレがふつーの実写映画で出来んのでしょーな?それがよく分からない。産業としてビジネスとして日本映画は何かを大きく誤っているような気がしてならんです。

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