落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

被災地で聞いた話

2011年09月08日 | 復興支援レポート
8月26日(金)~9月4日(日)震災ボランティアレポートIndex

今回は活動期間が長く、またいろいろなボランティアメンバーや地元の方々とお話する機会があり、ここでしか聞けない話題を耳にすることが多かった。

そのひとつが「被災太り」。
震災直後、避難所に支援物資が行き届かなかったり、避難所が孤立したりして食事に困った被災者が多かった。
まだ寒かった3月、東北では雪が降っていた。ただでさえ基礎代謝力が低下するこの時期に、被災者の皆さんの身体は自然に自分で自分を守ろうとして、口に入れたものをすべて体内に蓄積するように変わってしまった。
物資が行き渡るようになっても身体は急に元には戻らない。しかもライフラインが復旧しない数ヶ月もの間、日常的に食べられたのは必然的にインスタント食品やレトルト、おにぎりやパンなど高カロリーで炭水化物の多いメニューが中心になる。これでは誰でも太ってしまう。
職場が被災し、仕事を失い、時間が余ってしまった上に、プライバシーのない集団生活のストレスもあり、よけいに太った被災者の方は少なくないという。

もうひとつが「関連死」。
先日も自殺者が多いらしいことについては書いたが、自殺でなくても、直接地震や津波で怪我をしたわけでなく、その後の生活への影響で亡くなられた方の話もいくつか聞いた。
こういう非常時にもっとも傷つくのはいつも弱い立場の人間だが、ぐりが今回聞いた関連死も、お年寄りばかりだった。
震災前は元気だったのに、生まれ育った故郷のあまりの惨状にひどいショックを受けてみるみるうちに弱ってしまい、火が消えるように亡くなった方もいた。
もともと療養していた医療施設が被災し、別の施設に避難したものの、混乱と物資不足・人手不足でケアが行き届かず、震災前には亡くなるような状態ではなかったのに、急激に悪化してそのまま亡くなられたという方もいた。
震災直後には報道された関連死も、今ではほとんどメディアで語られることがなくなった。しかし現地にいると、こうした不幸な話が、今なお決して珍しい話でもなんでもないことがわかってくる。

家を失くし、仕事を失くし、家族や友人を失くしていても、東北の皆さんは気丈に明るく振舞い、必死に復興のために頑張っておられる。被災地から参加しているボランティアも何人もいたけど、「おたくは大丈夫だった?おうちの皆さんは?」などという県外ボランティアの不用意な言葉にも口を揃えて「ここに比べたらどこだってまし」「うちの被害なんて大したことない」と毅然と答えていた。
不幸な話は数限りなくある。でも、どの方のお話を聞いても、誰ひとり、自分で自分を憐れんだり、自ら同情を買おうとしたりはしない。
仕方ないよ、誰かが悪いわけじゃない、しょうがないんだと、皆さん自分で自分に言い聞かせるように、まるでなんでもないことのようにさらりと話して下さった。
言葉通り、なんでもないこととして聞き流してはいけないと思う。全然なんでもないことじゃない。もしぐりが同じような目にあっても、絶対に皆さんのような態度ではいられないから。
東北の皆さんが人間として特別強いわけじゃないと思う。それでも、とくに意識せずとも、自然に強くあろうとする心もちと、その根底にある人としてのあたたかさや優しさには、素直に心打たれることが多かった。

そういう人たちとの出会いがあったからこそ、今後もずっと、続けられる限り、ボランティアは続けたいと思う。
なにもできないかもしれないけど、できることだけはしたいと思う。


破壊された倉庫?か何か、とにかく鉄骨の建物。
たぶんもともとここにあったものではなく、どこかから流されて来たものと思われる。

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Googleマップ 震災ボランティアレポートマップ(ver.3.0)

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