落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

だまらっしゃい

2006年11月04日 | movie
『父親たちの星条旗』
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「オレは英雄なんかじゃない」「あそこでみたこと、したことで誇りに思えるものは何もない」
劇中で何度も繰り返されるこのふたつのセリフが、この映画のすべてだ。

これはぐりが年をとったからだと思うんだけど、戦争の報道写真をみると、以前はそこに「戦争」が写ってるようにみえたのに、今は、「ただのふつうの男の子たち」が写ってるようにしかみえなくなってしまった。
でもそれはある意味で真実だ。
彼らは英雄なんかじゃない。若くて、それぞれに思い出や家族や夢があって、友だち想いの、まさに「ただのふつうの男の子たち」なのだ。
この映画は、そんな「ただのふつうの男の子たち」が突然、偶然、「国民的英雄」に祭り上げられる悲劇を描いている。

ジョー・ローゼンタールが撮影しのちにピュリッツァー賞を受賞したこの写真?ノは、6人の兵士が写っている。うち3人は撮影後、硫黄島で戦死した。生き残って「国民的英雄」になった3人の主人公が背負った重圧、混?吹A罪悪感はどんなものだったろう。
そういう、「ただのふつうの男の子たち」としての兵士の苦悩を感情を、この映画は実に懇切丁寧に、ひとつひとつ歴史の編み目をほどいていくかのように、愛情深くしかも冷徹に描写している。とくにスターらしい出演者もいないし、セリフも少なめな、どちらかといえば地味な映画だが、それだけに描写のこまやかさが際立っている。
島での戦闘と“国債ツアー”と現代とを交錯させる時制の構成も非常に巧みだし、リアルなようで決してくどくはない戦闘場面の表現もうまい。あくまでも穏やかな音楽の使い方もいい。
既に巨匠の域に達したイーストウッドの映画の中でも、これは最高傑作の部類にいれてもいいのではないかと思う。彼のこのプロジェクトへの思い入れもよく伝わってくる。原作は登場人物のひとり、ジョン・“ドク”・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)の実子ジェームズ・ブラッドリー。亡き父親たちを苦悩させた「痛み」から解放してやりたい、という彼の想いが、映画からもにじみ出ている。
この原作『硫黄島の星条旗』もこんど読んでみようと思います。

実は以前の勤務先の同僚がVFXチームに参加してると聞いて楽しみにしてたんだけど(笑)、クレジットのスペル思いっきり間違ってたよ(愕)。ハリウッドでそれはアリなんですか〜?
『硫黄島からの手紙』の方はまだ作業中?かな?日本じゃ2ヶ月後に公開ですが。今ごろはタイヘンなことになってたりするのかなー?絶対劇場で観るからがんばってねー。

硫黄島探訪 現在の硫黄島と硫黄島戦の資料。
祖父の硫黄島戦闘体験記 家族に「必ず生きて帰る心配するな」といって出征した生存者の手記。

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