落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

Master of Puppets

2009年05月13日 | movie
『ニセ札』

1951年に山梨県で実際に起きた贋造紙幣事件をモデルにしたブラックコメディ。
昭和25年、山あいの小さな村の小学校で教師を勤めるかげ子(倍賞美津子)のもとに、教え子の大津(板倉俊之)が贋札づくりの計画をもちこんでくる。初めは反対するかげ子だが、元地主の戸浦(段田安則)、紙漉きの喜代多(村上淳)、写真屋の典兵衛(木村祐一)など計画に参加する者も集まり、貧しい村の子どもたちに教育を受けさせたい、少しでも楽をさせたいという親心から荷担を決意する。

んー。お話自体はとってもおもしろいんですが。全然悪くないんだけど。
でも冒頭に記録映像を持って来て時代背景を強調したわりには、時代考証が甘いよね・・・全体にさ。村の貧しさ、貧しさゆえの悲壮感にいまいちリアリティがない。だからなのか、戦争が終わって時代が急激に変わって、その変化についていけない、なにか釈然としないものを感じてる登場人物の内面にも、もうひとつ説得力がない。
べつに必要以上にシリアスにする必要はないんだけど、最後のかげ子の台詞だってすごくいいこといってると思うんだけど、それをきちっと聞かせるためにも、リアリティにはもっとこだわってほしかったです。
まあまあおもしろい映画ではあるし、観てソンってことはないんだけど。

ぐりが高校生のころ、川崎市の竹薮の中で持ち主不明の2億円の札束が見つかって大ニュースになったことがあった。バブル景気の真っ只中の出来事だった。
ちょうど学園祭の直前の時期で、ぐりのクラスではこの事件をモチーフに「Master of Puppets」というオリジナルの演劇を上演して賞をもらった。ふつうの高校生が2億円を拾って徐々に人間らしさを失っていくという物語で、最初の脚本はかなりシリアスというかペシミスティックなものだった。登場人物が死んだりグレたり、わりに荒廃したお涙頂戴な内容になっていた(これには脚本を書いたクラスメートの家庭に事情があったことが後に判明した)。何度もホームルームで議論をして、ぐりは「人が死ぬ話ではこの物語のテーマは伝わらない。“お金なんかただの紙きれ”だということを表現したいなら、もっと楽しくやるべきだ」と主張したのを覚えている。
それに脚本担当が賛同してくれたのか、結果的には物語はコメディに書きかえられ、そのおかげか2度の上演は2度とも超満員の大爆笑、大成功をおさめることができた。

ちなみにぐりはこのときの演劇では美術を担当した。2億円×2回ぶんの「ニセ札」ももちろんぐりが用意した。
映画にこの演劇のラストシーンそっくりの場面があって、ものすごく久しぶりに、あの学園祭を思い出した。楽しかったなー。みんな今ごろ、何してるかな?

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