落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

知らないことは罪

2007年01月27日 | movie
『魂萌え!』
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ある日突然夫(寺尾聰)を亡くした主婦(風吹ジュン)が、死なれて初めて夫の浮気を知り、趣味を知り、友人を知り、そこから世間を知るようになり、やがて自立していくまでを描いたドラマ。
映画館ガラガラだったよ(涙)。いい映画なんだけどな。TVドラマにもなってるらしいし、話題性もありそうなもんだけど、初日にガラガラは寂しい。『グアンタナモ〜』もかなり空いてたな。
2時間はちょっと長かったかもしれない。おもしろいんだけどね。内容も濃いし、どこって欠点もないんだけど。けど長く感じました。
にしても風吹ジュンはきれいだった。設定では59歳だし(実年齢はもう少し若い)、ヘアメイクもぜんぜん若づくりではない。皺もたるみもくすみもクマもある。でも女性の美しさはそんなものでは決まらないのだなと、この映画の彼女をみているとつくづく思う。かわいく、女らしく、色っぽくあることは年齢とは関わりなく、人間としての魅力から醸し出されるものなのかもしれない。
色っぽさでいえば三田佳子もすごかった。凄みのある色気ってこういうのをいうんだよね。画面の向こうから強烈に匂ってくるような濃厚な「女の香り」。ぐりは今までこの人がこんなにいい女優さんだとはまったく思ってなくて、思わず映画館の座席で深く反省してしまった。彼女も年齢的にいえば「おばあさん」の域に入っているし、この作品では実年齢に近い設定かつ年齢相応な役づくりで演じているが、それでも美しい。

ヒロイン敏子は夫が死ぬことで、絶対的だった「妻」「主婦」「母」という立場がどれほどもろく危ういものだったか、どれほど自分が無知で無防備だったかに気づく。
結婚して、子どもを生んで、夫の世話をして、という主婦の社会的地位は一見平和に安定しているようにみえる。
だが実際にはその社会制度のためにみえなくなること、わからなくなっていくこともある。
人間のつくったものに「絶対」はないのと同じで、結婚制度にも「絶対」はない。結婚していても、相手は人間であり、人間にはそれぞれの世界、それぞれの宇宙がある。わかりあっている、受け入れあっていると思っていても、それはたまさかその世界なり宇宙なりの一部分が互いに重なりあっているだけのことで、重なりあわない部分は相手にはわかってもらえないし、わかりたくてもわからないこともある。
いずれにせよ、どんなに仲のいい夫婦でも、最後はどちらかが先に死んで、残された方はひとりになる。
そのとき一体何が起きるのか?ということを、妻側の視線で描いた物語として、とても丁寧につくられた、ちゃんとした映画だと思います。ぐりは好きです。オススメ。

『それボク』に当番弁護士役で出てた田中哲司が、こちらではヒロインの長男役を演じてました。カレ最近こーゆー無害なキャラが多いみたいだけど・・・うーん(笑)。つかやっぱ日本映画狭いわ。
今回豊川悦司もなかなかよかったです。ここんとこみょーに力入りすぎた熱演が暑苦しくて無意識に敬遠してたけど、この映画ではすごくいい演技してました。見直したよ。←何様
スケベじじい役の林隆三もめちゃハマってた。この映画もキャスティングよかったです。
ラストにソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ主演の『ひまわり』のラストシーンが挿入される。これもそういえば夫婦の不条理を描いた傑作。前回観てからもう十ン年になるけど、また観てみたいと急に思ったです。

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