ふくい、Tokyo、ヒロシマ、百島

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

たけくらべ

2012年12月08日 | 百伝。
唯何事も恥かしうのみ有けるに、或る霜の朝水仙の作り花を格子門の外よりさし入れ置きし者の有けり、誰れの仕業と知るよし無けれど、美登利は何ゆゑとなく懷かしき思ひにて違ひ棚の一輪ざしに入れて淋しく清き姿をめでけるが、聞くともなしに傳へ聞く其明けの日は信如が何がしの學林(がくりん)に袖の色かへぬべき當日なりしとぞ。

以上は、樋口一葉の小説「たけくらべ」の結びです。

24歳の若さで生涯を終えた一葉・・これを読むだけでも一葉の凄さに驚かされてしまいます。

樋口一葉の世界は、子供の頃に過ごした百島の世界と非常に似通っています。

「たけくらべ」に現われる少年少女は、悪態や暴言を吐きます。

それでも、どこかで「風(風雅)がわるい」ことは出来ない「淋しく清き姿」なのです。

故郷の百島を考える一人一人の想いだけでは、微力です。

その微力さを、もっと大きな楽しみの力にしたいものです。

物語は、或る霜の朝 水仙の作り花を 格子門の外より さし入れ置きし者の有けり・・から始まるのです。

「たけくらべ」の続きの物語の世界は、故郷を想う物語の世界に相通じるものがあります。