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連合を混乱させた執行部は何が問題なのか?それは安倍政権と同類の個人の人権を否定するファッショ体質

2024-07-12 08:00:37 | 労働組合

 2017年7月13日から起った連合の混乱は、神津会長を含む執行部(逢見事務局長、村上総合労働局長ら)が起こしたものである事をしっかりと抑えておかなければならない。

 彼ら執行部は、「労基法改正案」について、3月末から独断専行で安倍自公政権と修正交渉し、7月19日までに経団連も交えて「政労使合意」を結び、安倍自公政権は今秋の臨時国会に出し直す予定をしていたようだが、その内容を7月8日に初めて連合傘下の主要産別の幹部に伝えた時点から、異議や反発の意思表明が噴き出し、結果的に7月27日、会長を含む執行部が「組織に混乱を招き、迷惑をかけ申し訳なかった」と陳謝し、「修正のみの政労使合意を模索したが、この趣旨についての一致点は現時点で見出せない。よって、政労使合意の締結は見送る」と逢見事務局長名の談話を発表する事によって一時的に収束を目指したようである。

 ところでなぜ執行部が厳しい批判反発を蒙ったのだろう。それは現執行部の体質にこそ問題が存在するのである。傘下の組合・組合員はそれを正確に分析し改善を施さなければ近い将来同じ過ちを繰り返す事になるだろう。それこそが最大の教訓として学ばなければならない事なのである。

 執行部の体質は、これまでの経過の中で見られる「姿勢」や「発言」にすべて表れている。たとえば、この執行部は、政府との交渉(要請内容)について傘下の主要産別の幹部に伝えたのは7月8日の会議においてである事。当然、紛糾したので11日に傘下の産別幹部を「懇親会」という形で召集し釈明したが、その際「組織内での議論や了承は必要ない」と、執行部の手続きに問題はないと自らの姿勢の正当性を主張している。

 執行部は21日に中央執行委員会を開き、方針転換への了解を得ようとしたが、10以上の産別や地方組織から異議が噴き出し、主要産別からも異議がでた。執行部はそれでもなお同じ場で、主要産別の三役会に対応を一任するよう示唆している。

 会長を含む執行部のメンバーは、自己の価値観を押しつける、独善的で傲慢で、ファッショ的体質を持っているという事である。そのため、傘下の組合や組合員という、個別の意思を尊重する姿勢や、個人の人権を尊重するという姿勢を有していないという事なのである。自分たちこそが優秀で、自分たちの考え方や価値観こそが正しいと信じており、だから自分たちの決めた通りにみんなは従えば良いのだ損はしないのだ、という思考体質なのである。つまり、労働組合で最も重要な「人権尊重」「民主主義」を軽視否定するものなのである。

 この、個人を尊重する、個人の人権を尊重するという姿勢を有していない、という姿勢は、ほかでもなく「安倍自民党政権」とまったく同様なのである。その事は、「自民党改憲草案」第13条に明確に規定している。それは、「全て国民は、(現行は「個人」)として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序(現行は「公共の福祉」)に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない(現行は「最大の尊重を必要とする」)」である。しかも、憲法改訂(改悪)が成立していない現状においてすでに、あらゆる面で現行憲法を軽視否定し、先の「草案」に基づいた姿勢を悪びれる事もなく堂々と国民の前に見せているのである。

 今回、連合の組合や組合員などはどのような反発をしているだろう。それは、「なぜ組織に諮らずに水面下で交渉したのか」とか「充分な組織的議論と合意形成の努力を行うべきだ。今回の対応は手続きの面で大きな問題がある」とか「労働者保護ルールの改悪は認めないという基本的スタンスを堅持すべきだ」とか「本当に危険な制度が、働き方改革実行計画の中でセットされている事が問題」とか「ずっと反対してきたのに、組織内の議論を経ずに突然方針を変えますと言われても困る。組合員は納得してくれない」とか「内部の合意形成もないまま執行部だけで急な動きを見せている。組織として非常にまずい」とか「なぜ内部で深く議論せずに結論を急ぐのか」とか「長時間労働の是正を呼びかけてきた組合員に対する裏切り行為で、断じて認めるわけにはいかない」とか「組織的な合意形成のあり方が粗雑だ」とか「向こうの言い値で買いましたって事だ。連合は主張していないのと同じではないか」とか「今の連合は労働者の代表とは言えない」とか「連合は勝手に労働者を代表するな」とか「要請内容はどれも根本的な修正ではない。政権が弱っている中、わざわざ塩を送るような真似をするなんて、政治的センスを疑う」とか「組織に諮らずこんな重要な方針転換を決めるのはあり得ない。会長になったらどれだけ独断で決めていくかわからない」などなどである。

 「合意」と言えば、安倍自公政権主導の日韓両政府による「慰安婦合意」に関する混乱も、上記と同様、両政府の体質が原因となって生じているものである。日本のNPO法人「言論NPO」と韓国のシンクタンク「東アジア研究院」の実施した今年の日韓世論調査(6~7月実施、18歳以上の約千人ずつから回答)によると、慰安婦問題が一昨年末の日韓合意によっても「解決されなかった」とする答えが、日本は53%、韓国は75%であった。日韓合意を「評価しない」としたのは、日本は25%、韓国は55%。その理由の最多が、韓国では「慰安婦の意見を反映せず合意した」が77%であるところに表れている。日韓合意に対する韓国人の不満をどう見るかでは、日本は「理解できない。合意を結んだ以上は履行すべきだ」が最多の49%、「なぜ不満があるのかわからない」が22%で、あわせて71%。日本人は日韓合意の内容をよく理解していないようだ。また関心がないようだ。

ところで、この執行部や安倍自公政権の思考体質は、実は明治維新から敗戦までの神聖天皇主権大日本帝国政府の為政者やそれによって作られた教育内容によって国民の隅々まで植え付けられた(洗脳された)体質と同様のものである事を知っておこう。植民地(人)に対する日本人(特に為政者権力者)の意識や、大東亜共栄圏の盟主としての日本人(特に為政者権力者)の意識と同じなのである。つまり、自らを優秀と見做し自己の価値観を押しつける、独善的で傲慢、ファッショ的な思考体質なのである。そこには民主主義も人権尊重の意識も見られないのである。

(2017年7月28日投稿)

    

 

 

 

 

 

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連合会長は偏狭な思考固執をやめ科学的(客観的論理的実証的)思考に基づいた労組運動を!新会長芳野友子氏も!

2024-07-12 07:51:11 | 労働組合

※2017年6月6日の投稿を再度投稿します。

 2017年3月1日の朝日新聞記事『連合 だれのために』を読んだ。連合会長の神津氏がインタビューに答えたものであった。彼は「私は幻想を抱かないし、幻滅もしません。現実を直視します」と話しているのであるが、彼の表明している考え方は、彼の言葉とは逆に、現実を直視していると思えないし、極めて非科学的(非論理的非実証的、主観的で偏狭)な思考に基づいているため現実が正確に見えていないとしか思えないのである。そして、その状態で思考停止(固執)しているとしか思えないのである。

 なぜなら彼は「ただでさえ強い自民党に立ち向かっていくのに、野党がバラバラでいいはずがない。でも、野党の候補者が共産党に一本化となった場合、連合が応援することは絶対ありません。共産党とはめざす国家像が違う。連合は左右の全体主義を排し、広い道の真ん中を歩く。」と話しているのであるが、これは極めて幼稚で非現実的な考え方あるとしか言いようがない。人はすべて考え方は異なるものである。政党もすべて考え方は異なるものである。しかし、現時点で野党が連帯する事が政治を変える唯一の方法であるならば小異を捨てて大同につく事が当然であろう。そのように柔軟に考える事ができないのであろうかと思う。もっと言えば、現時点において、彼の言う「共産党とはめざす国家像が違う。野党の候補者が共産党に一本化となった場合、連合が応援する事は絶対ありません。」という考え方が国民にどれほどの説得力をもっているだろうか。国民の多くは彼の理解に呆れているであろう。彼の理解は安倍政権の理解とまったく同じである。彼の思考形態は偏向した陳腐な紋切り型のパターンのままで停止しており、まったく非現実的思考としか言いようがないものである。こんな考え方では物事や状況を的確に分析できず誤った運動方針を導く事になり、誤った運動方針に基づいた労組運動しかできないのである。またあわせて、本来連帯すべき共産党に対して誹謗中傷する効果を生じさせる事になり、野党を対立させ分断を煽る事になるのである。それも連合会長みずからが。このような思考形態をする限り、安倍政権にとって「連合」は「敵」ではなく政権を利する扱いやすい「お友達」(翼賛団体)という事になっているであろう。

 また、神津氏は「連合は左右の全体主義を排し、広い道の真ん中を歩く」と話しているが、物事を分析判断するのに「客観的(科学的)」という事は極めて重要であるが、労組運動の現実の行動においては「真ん中」の道など幻想であり机上の空論であり、存在しない。その事を故意に認めず上記のような発言をしていると考えてよい。それをしめす直近の発言がある。

 たとえば、2017年5月24日の民進党幹部との会合で神津氏は、安倍首相の改憲表明を受けて、連合として憲法への対応をまとめる方針を明らかにし、「緊急事態条項などすぐやった方がいいものもあれば、安全保障のようにしっかりとした基本的な考え方とセットでやった方がいいものもある」と話しているように、安倍政権に対し「容認」の姿勢を表明した。この動きをみると、神津氏の今回のインタビューでの発言は野党の分断を目的として「意図的」に行われたものと考えてよい。神津氏は労働組合の会長でありながら、その価値観や思考形態は「労働者」の側には立っていないという事を公然と自ら証明したという事である。

(2017年6月6日投稿)

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