■朝日のあたる家 / Frijid Pink (Parrot / キング)
アマチュアバンドが人気のヒット曲をやる場合、例えばゼップであればボーカルとドラムスには絶対的に越えられない壁がありますし、練習したからといってギターやベースが一朝一夕にどうなるもんでもありません。
それはプロの世界では当然でしょうし、それがなければプロとして超一流とは認められないと思うのですが、反面、そこは親しみ易さも提供してくれるのが、これまたプロの仕事じゃないでしょうか。
例えば本日ご紹介のフリジド・ピンクが演じる「朝日のあたる家」は説明不要、アニマルズの大ヒットにして、秀逸なカパーバージョンも数多残されている人気曲ということで、サイケおやじと同世代のエレクトリックなアマチュアバンドならば、一度はやった、あるいはやってみようと志したに違いありません。
ところがアニマルズのバージョンには、エリック・バートンというワイルドな天才ボーカルリストが絶大な魅力を発揮していますから、これが下手にコピーなんかしたら笑われるのは必至……。
またインストバージョンではベンチャーズの強烈ギターサウンドが、実に暑苦しいばかりの名演を残していますからねぇ。
そんなところから素人には、やれそうでやれない演目のひとつが「朝日のあたる家」だと、私は観念していたところがありました。
しかし、念ずれば救う神は必ず現れるもんです!
昭和45(1970)年の春頃からラジオの洋楽番組でヒットし始めた、このフリジド・ピンクのバージョンは、如何に当時流行のハードロックなアレンジがど真ん中! しかもドタバタ気味のドラムスにリードされるリズムとビートの感じが、どこかしらハコバンっぽく、さらに初っ端からお馴染みの曲メロがエレキインストのハードロック版という感じで演じられるのですから、取っ付きが良いのも当たり前でした。
ちなみにフリジド・ピンクはトーマス・ビュードリー(vo)、ゲイリー・レイ・トンプソン(g)、トーマス・アール・ハリス(b)、リチャード・スティーヴァース(ds) という、所謂デトロイト系の4人組バンドで、これが一応の代表的なヒットながら、なかなか下積みの苦労が滲むサウンドとアレンジの妙は、サイケデリックロックの残滓というよりも、これが本来の姿なんでしょうねぇ~♪
失礼ながら、そういう時代遅れ感も、良い方向に作用していると思います。
なにしろ多重層的に重ねられたギターはファズとワウワウがダサ~いカッコ良さですし、エコーと濁った発音で歌われるボーカルの味わいは、なにかヘタウマの極北じゃないでしょうか。
そんなところも親しみ易さの秘密かもしれませんねぇ。
そこでサイケおやじもバンドに入れてもらえば、このアレンジで「朝日のあたる家」をやってしまうことが度々なんですが、既にご推察のとおり、初っ端からのギターインストのパートはベンチャーズのアンサンブルに挑戦!?
実に不遜なことをやらかして、ウケ狙いが失笑のシラケ鳥とはいえ、やっている側は真剣に楽しんでいるんですよ、恥ずかしながら。
ということで、「分相応」は絶対に必要というのが、本日の結論です。
しかし決してフリジド・ピンクをバカにしているわけではないので、そこはご理解願いたいのですが、B級グルメ大会でも絶対に入賞しないのは分かっていながら、堂々の自己表現が出来る姿勢は、やはりプロの佇まいってことでしょうねぇ~~♪
サイケおやじは、かなり好きなバンドなんですよ♪♪~♪
確かアルバムも3~4枚は出していて、如何にもブルースロックのギターバンドのような顔をしながら、メンバーチェンジが行われた中期以降はオルガンロックに転身を図った先進性(?)も侮れないところです。
こういう、あえて泥臭くいったグループが時折は出現していたからこそ、1970年代ロックは面白かったんじゃないでしょうか。
金魚よりは泥鰌の様にいく、と言い放った新総理大臣には、フリジド・ピンクの姿勢を知っていただきたいものです。