■The Real Elvis / Elvis Presley (RCA)
A-1 冷たくしないで / Don't Be Cruel
A-2 I Want You, I Need You, I Love You
B-1 Hound Dog
B-2 My Baby Left Me
好き嫌いは別にして、音楽や社会文化的な観点からだけでも、エルヴィス・プレスリーの偉大さ、凄さを否定するなんて事は出来ないでしょう。
極言すれば、今日のロックに繋がるロックロールという白人音楽は、エルヴィス・プレスリーが登場しなければ、決して出来上がらず、また定着もしなかったと思います。
しかし、そんな事を言い放つサイケおやじは、当然ながらエルヴィス・プレスリーが世界中に衝撃を与えた1950年代中頃の大ブレイク時をリアルタイムで知っているわけではありません。
恐らくは失笑されるにちがいない個人的体験の中でのエルヴィス・プレスリーは、街頭に貼られていた映画ポスターの中のスタアであり、少年期のサイケおやじは、この偉人を小林旭みたいな人かと思い込んでいたんですよ。
もちろん、この書き方は小林旭を軽んじているわけではなく、次元の異なる凄さが両者にはあるという事で、比較出来るはずもない強い存在感が偶然(?)にも映画という媒体によって、サイケおやじの前に提示されただけの事です。
で、そんな言い訳よりも認めざるをえないのが、ボーカリストとしてのエルヴィス・プレスリーが持ち前の「深い」声質から滲ませる特有のグルーヴ感でありまして、それは所謂「黒っぽい」フィーリングであると同時に、感傷的な気分も自然体としか思えない雰囲気で表現してしまう、そうした天性の才能でありましょうか。
エルヴィス・プレスリーが我々に残してくれたレコードの数々には、全てそうした魅力が詰まっていると断じてみれば、今年になってゴッサムシティでゲットしてきた掲載の4曲入りEP盤も、これが世に出た1956年から今日まで、リスナーをシビレさせ続けてきた宝物にちがいありません。
まずは何と言ってもド頭に収録された「冷たくしないで / Don't Be Cruel」こそが、まさに白人ロケンロールの完成形とも言うべき大傑作で、軽快なビートと調子の良い合の手バックコーラスを従えたエルヴィス・プレスリーのグイノリボーカルが実に痛快ですよねぇ~~♪
しかも要所でキメる独特のタメは、まさにナチュラルな名人芸でしょう。
それは強いグルーヴを発散する「Hound Dog」においても同様で、しかも当時としては白人がここまでエグ味を出してしまう節回しなんて、如何にも黒過ぎてアメリカの一般社会からは忌避されたという推察も今や伝説!?
若者を狂熱させるところは白人だからこそのギリギリの選択というか、素晴らしいとは分かっていても堂々と認めるわけにはいかなかった黒人音楽を公平に分け与えてくれるエルヴィス・プレスリーに対する感謝の気持ちの表れというコジツケも!?
ちなみに「Hound Dog」と「冷たくしないで / Don't Be Cruel」の初出は共にシングル盤の裏表に入れられ、1956年の夏に両面大ヒットになっていたんですから、その勢いは「飛ぶ鳥」だったわけですが、やはりその前作シングルとして発売されたのが「I Want You, I Need You, I Love You」と「My Baby Left Me」のカップリングであった事も認めざるをえません。
特に情熱的なバラードソングの「I Want You, I Need You, I Love You」は、白人C&Wと黒人R&Bが最良の形で融合したとしか思えない傑作で、楽曲そのものは普通っぽいポップス歌謡になってしまいそうなところが、エルヴィス・プレスリーだけの節回しが全開すれば、ここまでグルーヴィに仕上がってしまうという典型的な例かと思うばかり!
当然ながらエルヴィス・プレスリーに肖ろうと他の歌手によるカバーレコーディグも聞いたことがありますが、その規範は全てがエルヴィス・プレスリーであって、例えば我が国では内山田洋とクール・ファイブが「夢待ち人」の邦題による日本語バージョンを出していますので、前川清のリードボーカルからは、やはりエルヴィス・プレスリーが滲んでしまういうあたりは妙に嬉しくなりますよ。
また「My Baby Left Me」はCCRでもお馴染みのカバーが作られているほど、このエルヴィス・プレスリーのバージョンにおけるドラムスとベースのコンビネーションが鮮やかな演奏パート、そして威風堂々のソウル&カントリーなスタイルのボーカルを披露するエルヴィス・プレスリーは最高♪♪~♪
ということで、書き遅れてしまいましたが、このブツは4曲入りEPとはいっても、我が国の同形態である所謂コンパクト盤とは異なり、きっちり「45回転」仕様なので、アメリカプレスに特徴的な音圧の高さが、これまた素晴らしいですっ!
うむ、こういうレコードの溝を抉るような音の迫力って、現代の最新デジタル技術でも再現は難しいかもしれませんねぇ~~。