■無国籍ロマンス / 荻野目洋子 (ビクター)
荻野目洋子は女優の荻野目慶子の実妹として、昭和59(1984)年に歌手デビューした時から、なかなか知名度のあるアイドルだったんですが、業界内では既に小中学生の頃から様々な芸能活動をやっていた履歴が知られていたことから、そうではなくとも実力は認められていたのでしょう。
ですから、アイドルの楽曲にしては相当に難しい歌をそのデビュー時から幾つも出していて、例えば昭和60(1985)年に発売された掲載のシングル盤A面曲「無国籍ロマンス」は、かなりの歌唱力が必要とされるのは、実際にカラオケで歌ってみれば納得するしかないほどです。
う~ん、岡田富美子の綴った歌詞に大人っぽさがあるにせよ、坂本龍一の附したメロディが強烈に洒落ていて、全篇のサウンド構成がフュージョン系モダンポップなのに加えて、サビの後半から瞬時にファルセットで歌わなければらない!?
いゃ~、とてもアイドルシンガーの楽曲、つまりはそれほど音楽全般を聴き込んでいない若年層をメインリスナーに想定した作りとは言い難いほどハイブラウな狙いを企図した仕上がりだと思うんですが、いかがなものでしょう。
当然ながらジャケ写イメージとは異なる世界を表現している感じです。
しかし、だからこそというか、既に当時三十路のサイケおやじにはジャストミート♪♪~♪
楽曲そのものよりも、その難しい作品を立派に歌いこなしている荻野目洋子というシンガーに瞠目させられましたですねぇ~~~♪
皆様ご存じのとおり、彼女はこの直後ぐらいからユーロビート歌謡路線の諸作、「恋してカリビアン」「ダンシング・ヒーロー」「六本木純情派」等々の大ヒットを連発し、アルバムも統一感のある傑作盤を出していくわけですが、その大ブレイクもこの「無国籍ロマンス」で証明された抜群の歌唱力とリズム感があればこそっ!
そしてそれは近年、子育ても一段落しての芸能界本格復帰によるテレビ出演時にも、きっちり維持されているのですから、最高です。
ちなみに現在の彼女がアイドル時代のイメージを裏切らないルックスであるのも、嬉しいですねぇ~~♪
ということで、実は前述した頃からの彼女の全盛期の楽曲はほとんどがCDであるにもかかわらず、それを1枚も持っていないサイケおやじではありますが、車の中で聴くためにも、なにかベスト盤でも物色してみたい気分です。
でも、彼女は決してシングル曲だけのシンガーではなく、サイケおやじの愛聴盤「ラズベリーの風」とか、なかなか素敵なオリジナルアルバムを出しているので、侮れません。
ええぇ~いっ! 数年前に出た箱物「アルバムコレクション」を買ってしまいそうな自分が怖いです。