■ソング・フォー・ユー / Leon Russell (Shelter / 日本フォノグラム)
またひとり、偉大なミュージシャンが天国へ召されました。
それが殊更1970年代ロックに親しんだ皆様ならば説明不要のレオン・ラッセルで、実際当時は故人の活動・活躍が、ロック&ポップスを過言では無く、牽引していました。
その素晴らしい偉業は夥しく、それゆえに拙稿で述べることは叶いませんが、少なくとも洋楽に興味を抱き、あるいは自然体で耳から音楽を感じている現世の我々にとって、レオン・ラッセルの書いた名曲、裏方ミュージシャンとしてのプレイしていた演奏の数々、そして所謂「しゃがれ声」による刹那の節回しで聞かせてくれた故人の歌唱は、それと気がつかなくとも心に残る音楽的な思い出でありましょう。
ですから、ここに衷心よりのお悔やみとして、サイケおやじは本日、何を取り出せばそれに叶うのかと自問し、やはり故人の存在を一般的に知らしめた名曲「ソング・フォー・ユー / A Song For You」を朝イチで聴いてしまいました。
もちろん、この楽曲はカーペンターズが1972年に出した4枚目のアルバムタイトル曲としてのカバーバージョンが世界的に知られていますが、レオン・ラッセルは既にその2年前、自ら関わった新レコード会社のシェルターから出したリーダーアルバムで自作自演! 忽ち業界を中心に認められた傑作となり、カーペンターズがカバーしたのも当然が必然だったわけですが、我が国では件のシェルターレーベルの発売が1973年まで遅れていたのが結果オーライというか、前述したとおり、カーペンターズが歌った「ソング・フォー・ユー / A Song For You」が大ウケだったという下地が出来上がっていたもんですから、この本家の歌もすんなりと売れていた記憶があります。
それはなによりも哀切のメロディとレオン・ラッセルの男気ハードボイルドな歌声による節回しが、違和感どころか逆にジャストミートしていた、至極当たり前の結果ではありますが、今日まで夥しいカバーバージョンが多様なスタイルで作られてきた中にあっても、最高にリアルな魅力です。
いろんな場所で、様々な曲を歌ってきたけれど……
俺の人生が終わっても
俺の人生が終わっても
君のために この曲を歌っていたことを
忘れないでくれ……
あぁ……この歌詞は故人の生き様にオーバーラップするに留まらず、音楽を愛する我々全てに共感される、せつなくも幸せなものと思うばかりです。
ありがとう、レオン・ラッセル!
サイケおやじは、決して忘れません。
合掌。