■ガラスの夏 / 柏原よしえ (フィリップス)
所謂1980年代アイドルとして、河合奈保子や松田聖子とトップを競うほどの人気を集めた柏原よしえは、歌手としての実力と共にセクシーアイドルとしての魅力もあり、それは多くのグラビアや映像で今もしっかり伝えられている真実なんですが、同時に例の飛行場での一件が、その真偽共々に芸能界の都市伝説として有名!?
という、まあ、様々にあった事から、今日では歌手としての評価が忘れられている感が無きにしもあらず……。
そんな思いがサイケおやじにはあるもんですから、本日は昭和56(1981)年初夏に発売された、おそらくは彼女にとっての最初の大ヒット曲「ガラスの夏」を取り出してみました。
柏原よしえの魅力とは、まずはど~してもルックスというか、実年齢以上に大人びた佇まいと色気がアイドルらしからぬ落ち着きに結び付いている事がそのひとつでしょうか、ですから、声質もしっとりとした情感を歌う時に一番に強い印象を残すという個性は、あながち的外れではなく、だからこそ矢鱈に明るく弾けた楽曲よりも、この作詞:松田侑利子&作曲:網倉一也、そして編曲:若草恵が提供した「ガラスの夏」がヒットしたのもムベなるかなっ!?
とにかく悪い予感としか言いようのないイントロからAメロの展開は、アイドルポップス歌謡というよりも、正統派歌謡曲に近く、二十代以上の女性シンガーが歌っても違和感が無いはずです。
そしてサビでは、一気に開放される秘めた思いという流れもお約束でしょう。
ところが、柏原よしえの場合、そのサビでさえも、妙に落ち着いた節回しであって、実は最初に聴いた時のサイケおやじは、これでいいのか……?
なぁ~んて思ったほどです。
しかし、それこそが同時期の河合奈保子や松田聖子を頂点とする女の子アイドルの世界では得難い、まさに柏原よしえの魅力と個性だったんじゃ~ないでしょうか。
この楽曲に限らず、彼女の歌には不思議な余韻が残るんですよねぇ~♪
もちろん、公の場に登場する彼女は愛くるしい笑顔やオチャメな仕草も自然体で見せていましたし、性格だって、決して暗くはなかったと推察出来るわけですが、山口百恵の大ブレイク以降、十代のアイドルであっても、内省的な、微妙に翳りが滲む存在感はひとつの十分条件として認められていましたから、柏原よしえは、そうしたものを求めるファンからも愛された存在だったのかもしれません。
そして確かに業界内では彼女のファンが多いという話も、なかなか説得力を伴っていると思うのですが、いかがなものでしょう。
ちなみにサイケおやじは、ルックス的にはそれほど魅力を感じないんですが、柏原よしえというボーカリストは好きです。
ということで、大雨や猛暑がゴッタ煮で表出している現在、音楽も夏向きを求めてしまうのは自然の摂理でありましょう。
拙ブログでも、折々に出していきたく思う次第です。