■新日本暴行暗黒史・復讐鬼 (ディメンション = DVD)
一昨日の夜、ゲットしてきたブツの中で最高に嬉しかったのが、本日ご紹介のDVD「復讐鬼」でした。
それは昭和43(1968)年に公開された故・若松孝二監督の大傑作!
もちろん、サイケおやじは当然ながら成人映画という壁に阻まれ、リアルタイムでの鑑賞は出来ませんでしたが、ようやく昭和50(1975)年に願いが叶っての拝観から瞬時、強烈な凄みに震えた記憶は今も忘れていません。
その物語は単純で、舞台は某地方の山村、そこに暮らす吉沢健と津島明子の兄妹が常に村人から理不尽に迫害され、ついには吉沢健が手足を縛られてのリンチ、さらに目の前で津島明子が村の男達から輪姦された後に発狂自害……。
そして吉沢健が村人を皆殺しの復讐をっ!
という展開は、もちろん有名な実際の事件「津山三十人殺し」をモデルにしている事は言わずもがな、同事件を題材にした「八つ墓村」や「丑三つの村」等々の映画が製作された中でも、この「復讐鬼」の濃密な緊張感はダントツ!
これは断言して、後悔致しません。
なにしろ、兄妹に対する村人達の虐めは陰湿過酷だし、犯される津島明子の泣き叫びと被虐の演技は大袈裟を通り越した、そのリアル過ぎる凄惨は、一度観たら、消し去る事が難しくなるほどで、それが様々な視覚効果を狙ったカメラワークと演出で活写されたモノクロ画面から痛いほど伝わって来るんですねぇ~~。
しかも、この後、死んでしまった妹と兄の二人っきりの時間では、ここだけが所謂パートカラーになっているという、如何にもの成人映画の常套手段が、心情描写共々に鮮烈過ぎる名場面!
特に妹の死体と一緒に入浴し、近親相関的なキスシーンを見せた後、いよいよ復讐へ向かう吉沢健の潔さは痛烈で、それから白昼堂々、褌姿で日本刀を手に村人を次々と惨殺する場面では、セックス真っ最中の男女を串刺し、男の目の前で女の乳を切り裂き、秘所を突き刺し、さらに男を惨殺するという処刑(?)の連続!!
う~ん、これは成人映画だからこそ可能なエログロ描写を極限まで使っての映像表現による人間の本性!?
それを見せつける意図があったのでしょうか……?
そこにある怒りと緊張感が、何の救いも無く提示された映像は激しく、ありきたりのホラー&スプラッター物よりも格段に怖いばかりか、それでいて決して目を背ける事が出来ない、我知らず引き込まれるブラックホール的なパワーを感じてしまいます。
また、効果音的な配慮も感じられる音楽が実に陰鬱で、せつなく、これまた秀逸!
物語はこの後、村人を皆殺しにした吉沢健が、そこから去っていく時、自然に振り返ってしまう演出がニクイばかりで、その悄然としながらも、達観したような表情と佇まいが、何時までも忘れられない余韻として残ります。
ということで、実はこれが嬉しかったのは、なんとっ!
これほどの傑作が、初DVD化であったという現実も含んでいるのですっ!
もちろん、かなり以前にはセル版ビデオも出ていたのですが、それも廃絶されて久しく、だからこそのご紹介となりました。
ちなみに、これは若松孝二監督が撮った「日本暴行暗黒史シリーズ」中の3作目で、今回の再発では同時にその他の「異常者の血」「暴虐魔」「怨獣」も出ていたもんですから、纏めてゲットしてきた次第なんですが、何れも名作・人気作という中で、どれか1本という皆様には、やはりこの「復讐鬼」を強くオススメしたく思います。
最後になりましたが、先日の健康診断から心臓に問題ありとされたサイケおやじが医師から頂戴したアドバイスは、とにかくストレスと疲労を溜めないような、だったんですが、現状じゃ~~、その解消はなかなか難しいので、だったら自分の欲望を満たすことがストレスの解消!?
そんな大義名分を得た気分で、こんなDVDを鑑賞しているのでした。
うむ、やっぱり若松孝二監督、恐るべしっ!